【インタビュー】Reliq / Serph

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2011年11月16日 (水)

今年4月にリリースされた3rdアルバム『heartstrings』からわずか7ヶ月、Serphによる自身のペルソナ的名義“Reliq”でのアルバム『Minority Report』、そしてSerphとしてのクリスマス・ミニアルバム『Winter Alchemy』、2つの作品が11/18に同時発売となる。今年に入り上記計3枚のアルバム、そしてメジャー/マイナー問わず数々のRemixワークをこなすなど、エレクトロニカ/エレクトロニック・ミュージックシーンの枠を越え、尋常ではないペースで独創的な作品を発表し続けるこの稀代の音楽家・Serphに、約2年半ぶりのメールインタビューを敢行。今回リリースされる2タイトル、あるいはReliqという名義について、また楽曲制作時における心情など、いくつかお話を伺った。

ページ後半では、Serph作品をリリースするレーベル“noble”の全カタログアイテムをご紹介。

--　まずは、今回このReliq名義を始めるにあたった経緯をお教えください。: Serphとは全く違った雰囲気の曲も制作していて、リリースしたら面白いのではということでアルバム発表という運びになりました。
--　このReliqという名前には何か由来があるのでしょうか？: 聖遺物を意味する宗教用語のreliquaryからとりました。
消費されるだけでなく、長く聴かれる作品になるよう願いを込めて命名しました。
--　特に5曲目「rushhour」のブレイクビーツ使いなどに顕著ですが、Serphに比べビートに重きを置かれた作風であると感じました。 本作はそのようなテーマをあらかじめ設けて楽曲制作を始めたアルバムなのでしょうか？: Serphでは出せなかったリズムの遊びや、体に来る感覚、ミニマルな感じを意識しました。
--　普段の楽曲制作時は、ビートや上モノなど、どの部分から着手することが多いですか？: SerphもReliqもハーモニーを最重要視して制作しています。
きっかけになるのがビートのときも上モノのときもあります。
--　昨年のクリスマスにnobleのレーベルサイトで期間限定無料配信された楽曲「noel」を含む、Serph名義でのクリスマス・ミニアルバム『Winter Alchemy』も同時発売となります。 2ndアルバム『Vent』にも「snow」「iceyedit」といった楽曲が収録されており、冬やクリスマスの季節に何か特別な思い入れがあるのでは、と感じましたが？: 冬の冷たい乾燥した空気は、感覚が鋭敏になる気がするので大好きです。
--　2009年の1stアルバム発売から絶えずリリースを続けていますが、そのモチベーションはどこから来るのでしょう？ また、自分の作品の最も「（自分）らしい」部分はどこにあると思われますか？: モチベーションは、睡眠と栄養を摂ると、自動的にチャージされる感じです。
音楽に対するハングリーな気持ちが生来ある気がします。
自分らしさを、ハーモニー、アイデアの柔軟さ、自由度の高さで表現できればと常に思っています。
--　これまでにSerph名義でリリースされた3枚のアルバムが軒並み話題となり、Remixのオファーも増えていることと思います。 他のアーティストの楽曲をRemixする時に心がけていることはありますか？: なるべく元の楽曲とは異なった、意外な雰囲気にすることです。
--　最近、もっとも刺激になった音楽や映像、人、出来事などがありましたらお聞かせください。: ・BOILER ROOM のpodcast
・セルゲイ・パラジャーノフ監督『ざくろの色』（DVD）
・New Amsterdam labelのリリース作品
・ライアン・ラーキン『路上に咲いたアニメーション』（DVD）
--　最後に今後の予定、展望などありましたらお願い致します。: リリースをこれからも続けていければと思っています。

新譜 Reliq 『Minority Report』: 今やその動向が最も注視されるアーティスト・Serph。独自の音楽性でエレクトロニックな幻想郷を突き進む彼が、自身のペルソナ的新名義“Reliq”（レリク）を始動させる。Reliqとしての初アルバムとなる本作『Minority Report』では、Serphでのドリーミーな音楽感とは異なり、ミニマルかつエキゾチック、ブレイクビーツをカットアップで使用するなどダンス・ミュージックとしての要素が強い、アグレッシヴな音像となっている。初出時から我々を驚かせてきたSerphが、このReliq名義で更なる驚きを与えてくれるだろう。

新譜 Serph 『Winter Alchemy』: 新名義“reliq”での1stアルバム『Minority Report』の発売に併せ、Serphによるクリスマス・ミニアルバム『Winter Alchemy』が緊急発売。昨年末、nobleのレーベルサイトにて期間限定で無料配信された楽曲「noel」を含む全7曲を収録、オリジナリティー溢れる幻想的なサウンドが冬の一幕をドラマティックに彩る、まさしくSerphからのクリスマス・ギフトといった1枚。ジャケットはSerph作品ではもはやお馴染みの、イラストレーター・河野愛による描き下し。

noble catalog collection

今回リリースとなる上記2作品をはじめ、Serphのアルバム（2nd 以降）の他にも実に魅力的な作品をリリースするレーベル“noble”。
ここからは、今年で10周年を迎えるこの老舗レーベルから過去リリースされた作品を一挙ご紹介致します。

【noble】
2001年にスタートし、今年10周年を迎える音楽レーベル。これまでにworld's end girlfriend、テニスコーツ、グーテフォルク、kazumasa hashimoto、kashiwa daisuke、Serphなど、ジャンルに囚われないフリーフォームでユニークなアーティストの作品を数多く発表している。

noble レーベルサイト

　　　V.A. 『invisible folklore』
10年に渡り確かな活動を続けてきたレーベル“noble”。近年ではSerphがアルバムをリリースしたことでより一層の注目を集めるこのnobleの10周年の節目を記念し、レーベル初のコンピにして全曲書下ろしのコンセプトアルバム『Invisible Folklore』をリリース。本作のコンセプトの元となるのは、フランス文学者にして作家・澁澤龍彦の遺作『高丘親王航海記』。「儒艮」「蘭房」「獏園」「蜜人」「鏡湖」「真珠」「頻伽」の七章からなる、平安時代に天竺を目指して旅立った高丘親王の逸話をモチーフに、レーベルゆかりのアーティスト・敬愛するアーティスト達が各章になぞらえ楽曲を制作。 Serphに始まり、石橋英子 / グーテフォルク / KASHIWA Daisuke / kazumasa hashimoto / Ametsub、そしてラストを飾るworld's end girlfriendまで、国内幻想文学の最高峰を音楽で翻訳した、音楽の旅と言える作品です。

Velveljin 『Nostalghia』パリ在住でヨーロッパを中心に活動するユニット、velveljin（ヴェルヴェルジン）。		Serph 『Heartstrings』 2011年04月発売、Serph 3rdアルバム。
Yasushi Yoshida 『Grateful Goodbye』優美で格調高いアンサンブルを構築したYasushi Yoshidaの3rdアルバム。		Serph 『vent』架空の世界を旅する「冒険旅行のためのサウンドトラック」、2010年7月発売の2ndアルバム。
films 『messenger』気品と狂気と美しさと醜さを全て内包したダーク・ファンタジー。films 1stアルバム。		kazumasa hashimoto 『strangeness』グーテフォルクをゲスト・ヴォーカルに招いたノスタルジックなまどろみの1枚。
nakaban 『Dear Meteor』音楽はトウヤマタケオが担当、映像作家・nakabanによるレーベル2作目となる映像作品。		Yarn: Moor 『So, I'll Take Your Hand And..』 MANTISのメンバーでもあるmossと、neuma、taoによるユニット。
Kashiwa Daisuke 『5 Dec.』坂本龍一も絶賛のkashiwa daisuke、ノイズとピアノがコントラストを描く3rdアルバム。		橋本和昌『トウキョウソナタ』黒沢清監督映画のサウンドトラック。kazumasa hashimotoが初の映画音楽を担当。
midori hirano 『klo:yuri』インプロヴィゼーションの緊張感、宗教音楽を想わせる厳かな旋律。midori hiranoの2ndアルバム。		テニスコーツとセカイ『テニスコーツとセカイ』セカイを制作パートナーに迎えたテニスコーツ快心のコラボレーション・アルバム。
Yasushi Yoshida 『Little Grace』前作とはうって変わり、大々的にアコースティック楽器を導入した2ndアルバム。		kazumasa hashimoto 『Euphoriam』ジャンルの縛りをくぐり抜ける普遍の輝きに満ちたポップ・ミュージックの新たな金字塔。
kashiwa daisuke 『program music I』「銀河鉄道の夜」「走れメロス」をモチーフとし、音でその物語を表現した長尺曲2曲を収録した2nd。		Piana 『Eternal Castle』電子音やエディット感が影を潜め、アコースティック楽器が淡く色を重ねながら響くPiana 2ndアルバム。
Nakaban ＋ Atsuko Hatano 　『三つの箱』絵画の発表を中心に活動するアーティスト・nakabanの、波多野敦子との共同制作による映像作品。		Gutevolk 『グーテフォルクと流星群』 kazumasa hashimotoを共同プロデューサーに迎えた1枚。
midori hirano 『Lush Rush』楽曲制作全ての作業をほぼ1人で行うmidori hiranoの記念すべき1stフルアルバム。		Yasushi Yoshida 『Secret Figure』日常で起きる細やかな感情の動き、その変化の質感を圧倒的な穏やかさで表現した吉田靖の1st。
kazumasa hashimoto 『Gllia』多彩な要素を独創的なアレンジと深い空間処理で奏でる、1年10ヶ月振りとなるフルアルバム。		taylor deupree ＋映糸『Every Still Day』バンド・映糸のアルバム『Awaawa』の、NYの音響アーティスト・Taylor Deupreeによる再構築盤。
world's end girlfriend 『The Lie Lay Land』 WEG総指揮によるバンド編成で大阪/東京でレコーディングされた全10曲約80分の超大作。		cinq 『DAY OFF』 “電子音のつづれ織り”と称される穏やかなcinqの世界。二階堂和美/dj klockほか参加。
映糸『awaawa』ボーカル/アップライトベース奏者のmujika率いる大阪在住の3人組、映糸（えいし）の1stアルバム。		Gutevolk 『suomi』西山豊乃によるGutevolk名義の、自身初となるバンド形態によるアルバム。青柳拓次ほか参加。
棗 -なつめ- 『マラケシの花』 CALM作品にも参加するフミノスケ率いる“音響フォーク桃源郷”、棗 -なつめ- の1stアルバム。		world's end girlfriend 『dream's end come true』ヴォーカルに七尾旅人を迎えた25分に及ぶトラックが圧巻の、全4曲収録のミニアルバム。
テニスコーツ『The Ending Theme』さやと植野隆司を中心とした不定形ユニット・テニスコーツの、2002年リリースのミニアルバム。		cinq 『Sketch』 Snoweffectのメンバーとしても活動する竹村理明のソロ名義・cinqの1stアルバム。
world's end girlfriend 『farewell kingdom』 nobleからの記念すべき第1弾リリースは、world's end girlfriendの大傑作2ndアルバム。

[Serph]

東京在住の男性によるソロ・プロジェクト。
2009年7月、ピアノと作曲を始めてわずか3年で完成させたアルバム『accidental tourist』をelegant discよりリリース。
2010年7月、2ndアルバム『vent』をnobleよりリリース。
2011年4月、3rdアルバム『Heartstrings』をnobleよりリリース。
2011年11月、別人格プロジェクト“Reliq”の1stアルバム発売に合わせて、クリスマス・ミニ・アルバム『Winter Alchemy』をリリース。

関連サイト（外部サイト）

過去のSerph 特集

【PickUp】Serph 早くも3rd発売

前作『Vent』から約9ヶ月、Serphの最新作『Heartstrings』が早くも発売。新譜紹介に加え特別企画『Serph 架空のRemixアルバム』を公開！[2011年04月掲載]
【PickUp】2度目の驚異 Serph 2ndアルバム

驚異的な才能を我々に魅せつけた1stアルバム『Accidental Tourist』から1年、早くもSerphの新作が登場。自身による楽曲解説など掲載中。[2010年07月掲載]
【PickUp】驚異の才能・Serph

久しぶりに素晴らしい才能に出会った。Serph(サーフ)。魔法の子供が紡ぎ出す極上の電子音楽物語。[2009年06月掲載]