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HMVインタビュー:瀬戸智樹(Cradle Orchestra)&DSK Kojima

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2011年8月31日 (水)

interview

cradle orchestra

9月7日に1st『Velvet Ballads』、2nd『Transcended Elements』からセレクトされた楽曲を渋谷慶一郎、INO HIDEFUMI、藤原ヒロシ、PE'Z、Anan Ryoko、DSK Kojimaなどの豪華布陣を迎えた リミックス・アルバム「Reconstruction Series」をリリースするCradle Orchestra。そのCradle Orchestraのブレインにして<Palette Sound>を主宰するSeto Tomokiと、 Aloe Blacc参加の「Make Life」をリミックスしたDSKを迎え、強い日差しに汗ばむ猛暑日の中インタビューを敢行。
これまでCradle関連としてオリジナル・アルバムはじめ、レーベル・コンピレーションやミックスCDも含め数々のリリースがあったが、何と今回が初めてのインタビューといことで、 SETOくんはもちろん、Cradleファンのみなさま、大変お待たせしました。
当日はランチしながらのリラックス・ムードという訳で、インタビュー終盤でレコーダーの電源が落ちているといったアクシデントも交えつつも、内容の濃いインタビューとなりました。
(聞き手:HMVイオン浦和美園 徳重)

--- CradleとCradle Orchestraの棲み分けはありますか?

SETO: んー、特にないですね、、、。

--- あ、そうなんだ(笑)。今回はリミックス集という事で1st 、2ndから楽曲ピックアップしたベスト盤的な内容でもある訳で、人選や曲選びの基準はありましたか?

SETO:単純に僕の好きな音楽家の方々と、僕が本当に信頼しているアーティストを中心にお願いしました。 曲選びはアーティストの皆さんに選んで頂くパターンと、藤原ヒロシさん×GURUのようにで決め打ちでお願いしたパターンがありますね。DSKさんには4曲くらいの中から選んで頂きました。

--- 誰にお願いしようかと悩んでるの楽しそうだし、羨ましいと思っている人多そう。DSKさんがメンバーとしてリリースしたIDFの御三方(他に藤原ヒロシ、INO HIDEFUMI)が全員参加していること知って、 個人的に激しく興奮しました。DSKさんへオファーした理由やきっかけなどあれば、教えてください。

SETO:誰かギタリストのリミキサーにお願いしたいなっ、と思っていて、今回はDSKさんへお願いしました。曲の仕上がりを聞いて、やっぱりDSKさんに頼んでよかった!って思いました。しかも、その後Port Of Notesのライブに誘って頂いたのですが、これが本当に良かった、、、。涙が出るくらい音楽の力を貰ったライブでした。     

--- DSKさんがリミックスするというのは、あまり見聞きした事無かったのですが、DSKさんのリミックス方法やこれまでのリミックス・ワークなどありましたか?

DSK:瀬戸君に喜んでもらえてよかった。今回のリミックス・アルバム、自分のリミックスだけ暗くて浮いてんじゃないかって心配してた(笑)。実は他の方のリミックスを正式にやったのは今回が初めてなんですよ。制作方法は、歌を単純に構成通りに並べてメインになるコードとビートを決めてからいろんなフレーズのギターを重ねて行きました。それからちょこっと構成をいじったりして。

--- やはり、初だったんですね!では、DSKさんがこの楽曲「Make Life」をリミックスすると決めた理由はありましたか?

DSK:いくつかの候補曲をもらったんですが、それらを聴いてみて、Aloeの声と曲調が自分に合ってるかなと思って決めました。

--- ご本人を目の前にしてですが、DSKさんのリミックス曲の感想はいかがでしたか?

SETO:まず、締め切りをキッカリ守ったのはDSKさんでしたね(笑)。

DSK:締め切りの日に京都に行くことになってたんですが、その前日までにとにかく作ってから行こうと思って。結局、京都で聴きなおしてから送りました。こういう時は勢いが大切ですよね(笑)。

SETO:真面目なんですね(笑)。僕、DSKさんのギターの重ね方が凄く好きなんですよ。アコギとエレキをあんなに上手に持ち替えできる方って、意外と少ないんですよね。コードもオシャレだし、あえて展開せずに引っ張る感じがいいですよね(笑)。ギタリストだと誰が好きなんですか?

DSKPat Methenyはずっと好きですね。あと、最近はKings of Convenienceも好きです。

SETO:じゃあ、次作はECMからリリースですね(笑)。

DSK:あっ、いまでも、やってるよね!

--- では逆に、今回のリミックス・アルバムの中でDSKさんの気になったリミックス楽曲はありましたか?

DSK:藤原さんのリミックスは、リミックスって感じでよかったなー、オールドスクールな手触り感があって。久しぶりに聴けてうれしかったし。それとSRリミックスって好きだったんだけど、これって誰???

SETO:えー、そこに引っかかってくれたんですか!バラしちゃうと、それは僕とAnan Ryokoのユニットで、瀬戸のSとRyokoのRをくっつけてSRってしてるだけなんです。デモナンバーをそのままアーティスト名にしちゃったっていう、、、(笑)。

DSK:そうなんだ、実はこれ一番好きだった。そういえば昔は、今回のようなバラエティーに富んだリミックス、企画盤は多かったよね。聴いてたら、ふと思い出した。いろんな人が入っててすんごいオリジナルな解釈でやってる人もいて、ぶっ飛んでるのもあって面白かったなあ!

--- そうですね、やりたい放題な感じで。そんな中での今リミックス・アルバムはヒップホップのイメージが強いCradleが、この人選をした事が本当に意外でした。しかも、企画盤的にこちゃこちゃとしたゴッタ煮になっているかと思いきや、アルバムを通して聴き込める統一感があったことは、かなり興味深い。今回のポップなアートワークにも驚かされました。個人的には、ダブステップのようなビートで、大胆にGIOVANCAのヴォーカルを切り刻んでた渋谷慶一郎さんのリミックスが印象深かったです。 ところで、今回のリミックス・アルバムからアナログ・リリースの予定はありますか?間違いなく、期待してる人多いとおもいますよ。

SETO:リリースしたいなって思ってます。今、横でレコード会社の偉い人が、「瀬戸君がアナログ出したいなら、いくらでもウェルカムですよ」って言ってくれたんで。

DSK:便乗して旧譜もだしちゃえば?

SETO:そうですね、まとめて出します(笑)!

--- 話かわりますが、3.11の震災以後の心境の変化などありますか?

SETO:年始から休み無く働いていたので、少しゆっくりしようと思ったんですが、震災以降逆に仕事が増えて、より忙しくなった感じです。でも、音楽をこんなに一生懸命出来てほんとに満足というかありがたく思ってます。

DSK:僕は、Port Of Notesで美由紀ちゃんの故郷の気仙沼に行ってふたりで慰問ライブをやって来たんですよ。実際に被災地に行って町の被害を見たり、そこに住んでいる人達と話しをすると、もう何だかいたたまれなくて。だから僕は、せめて音楽は誠実にやらなきゃって思いました。あと、自分を大切にしなきゃって。

--- 今後の活動/リリース予定などありましたら、告知願います。

DSK:DSK名義でのインストアルバムが年内に出ます。今回は、アウトドアをテーマにして作ってるんですよ。Port of Notesのライヴが9/21に代官山UNITで、9/24に山梨県の白州村である大きなフェスにも出ます。あと、井上薫くんとのAurora Acousticでは8/26に那須のUNICOでライヴ。最近のAURORAはヨガのバックで演奏したりもしてるんですよ。そして来年は誰かをフィーチャーしてヴォーカル・アルバムも作りたいなあ。それとすんごい静かなアンビエント・アルバムも作りたい。

--- DSKさんのアンビエント、最高に心地良さそうですね!女性をターゲットにヨガやライフスタイルなどの書籍とDSKさん制作の音を組み合わせて出せたら面白そうだし、良いものできそうですね。自分も欲しいです。

DSK:是非是非!

SETO:僕は今も複数のアルバムのプロデュースを控えていて、沢山のオファーがあるので大事に制作したいと思ってます。

--- 最後にHMVオンラインを見ていただいているみなさんへコメントを。

SETO:興味がある方は試聴して頂けると嬉しいです。

DSK:いい意味でのクロスオーバー感を存分に味わえる内容。楽しんで下さい!



新譜Reconstruction Series
ワールドワイドな水準で日本が世界に誇るアーティスト、Cradle Orchestraの大ヒットアルバムを、渋谷慶一郎、Ino Hidefumi、藤原ヒロシ、PE'Z、Anan Ryoko、DSK、Tomoki Seto、H Zett M、TRI4TH等、日本を代表するアーティストが再構築した歴史に残るリミックス・アルバム。 クラブ・ミュージックに第一人者であり、ヒップホップ黎明期のパイオニアである藤原ヒロシ×Gangstarrというヒップホップ界のレジェンドGuruの「You Got To Luve It」、先鋭的な音楽家として唯一無二のスタイルを確立している渋谷慶一郎×オランダの歌姫Giovancaの「The Night Is Right」、フェンダー・ローズに愛された男Ino Hidefumi×いまや世界的に有名な孤高のソウルマン、Aloe Blaccの「Mountain Top」他、1st、2ndから人気曲が新たな解釈で蘇る。


profile

Palette Sound主宰にしてDJ、TrackMaker、ProducerとしてCradleの核である瀬戸智樹、Inherit aka DJ Chika、ヴァイオリニスト望月明香(もちづきあすか)、ベーシスト島本道太郎、フルーティスト石井あやのメンバーを中心とし、様々なアーティストやミュージシャンとのコラボレーション・プロジェクトがCradle Orchestraである。2007年後半、Cradle Orchestra名義の第1弾「The Good People / About You-Cradle Orchestra Remix-」、続いて「Saint / Can’t Relate-Cradle Orchestra Remix-」、さらに2008年には「The Antidotes / Got Rhymes-Cradle orchestra Remix-」「Nieve & Cook / Another Day Comes-Cradle Orchestra Remix-」を手掛け、加えてピアニストをフィーチャーしたCradleプロデュース「Chronic Intoxication-Ryoko Anan Natsu no Yuki Remix」(韓国の配信では総合チャート1位を獲得)など、次々にヒット作品を制作。その楽曲はGOON TRAXのレーベル・コンピレーション『In Ya Mellow Tone』に収録され、このコンピレーションを“モンスター・コンピ”を言わしめる筆頭作品となった。このシリーズはこれをきっかけにのちに累計10万枚をたたき出すこととなる。2009年1月、満を持して発売となったCradle Orchestra名義の1stアルバム『Velvet Ballads』では、The RootsのBlack Thought、CL Smooth、Talib Kweli、OC等のアーティストと競演を果たした。さらにiTunesでは1ヶ月に渡りチャートを独占、CDは累計3万枚を突破しマーケットを席巻した。そして2010年11月、更にパワーアップし、GURU、De La Soul、GIOVANCA、HOCUS POCUSなどワールドワイドのフィーチャリングを引っさげ、セカンドアルバム「Transcended Elements」を発表。HipHopというジャンルながら、その洗練されたメロディーラインと、ヒップホップを生演奏と打ち込みで高次元に見事に融合させ、新たなジャンルを作り上げることに成功した。