【HMVインタビュー】 狐火

2011年4月18日 (月)

interview
--- HMV ONLINE 初登場という事になりますので、まずは簡単に自己紹介からお願いします。

福島県から来ました、けど、今は東京に住んでます。自分で言うのも難ですが普段は口数少なく大人しくて典型的なNOと言えない日本人です。自己主張とかほとんどないです。狐火と申します。

--- 日本全域に伝わる怪火「狐火」を名乗った理由を教えてください。

2つ理由があるのですが
まず1つめは、中学3年の冬の夜中に受験勉強をしていて、ふと裏山を見た所、山が燃えてまして火事だと思い父親に報告しました。父親の車のヘッドライトが火を照らした瞬間消えました。翌日、焼け跡も見つかりませんでした。受験ノイローゼでは?と心配される中、祖母が原因は狐だと教えてくれました。乾燥した冬に狐がたくさん集まると尻尾の摩擦等で起こる静電気の影響で発光している様に見える、恐らくそれが妖怪や怪火とされる狐火の正体だと言っていました。狐はただ集まっていただけなのに人間が恐怖心や憎しみから妖怪(狐火)を生み出したものだと。昔から理解出来ない障害や天災を妖怪の仕業とする風潮があったようです。以上の事から、人間の想像力が生み出した産物的なニュアンスが『火』、それに囲まれながらも1本芯を通す無邪気な現実が『狐』で、『狐火』。
2つめの理由は気合いが入るからです。

--- 狐火として活動を開始したのはいつ頃からでしょうか?

もともとは福島中心に活動する5MCのグループだったのですが、狐火としてソロで活動を始めたのは2008年1月です。

--- 狐火のHIP HOPとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

高校の部活帰りに父親の車のラジオで聴いたドラゴンアッシュです。

--- ラップを始めたきっかけを教えてください?

大学生特有のノリみたいなものがあったと思います。友達や先輩と『やってみよっか』的な感じです。今でもその頃の事を思い出すとニヤけちゃいます。

--- 狐火にとって創作の源となっているものは何ですか?

インターネットですね。YouTube等で作った曲を即日全国の不特定多数の方に聴いてもらえるじゃないですか。僕は創作する時に今日中に誰かに聴いてもらえると思うとワクワクします。それが源です。

--- どのような時にリリックを書きますか?

仕事の合間、1日中休みの前日の夜、新幹線の中等です。

--- ラップは自分に対してうたっている部分も大きいのでは?

自分で自分を勇気付ける、または、忘れてはいけない感情を留めておく為に歌う部分は大きいと思います。

--- 違っていたらすいません。狐火のリリックは、現実と想像の境界線が曖昧なストーリーが一つの特徴と思います。そのストーリーの情景描写と登場人物の心情が、狐火の赤裸々な心情としてリアリティーを持って伝わってくると思うのですが、いかがでしょうか?

ありがとうございます。多分、僕は欲張りなんだと思います。格好良く言えば大きくても小さくても世界を全て歌いたいというような。実際に起きた事件を元に登場人物に自分を置き換えて描く事もありますし、自分で自分を信じ込ませて丸5日くらい人に会わずに完全に没頭して作った曲もあります。ただ心情の根底にはだいたい家族への感謝があります。

--- 韻を踏むよりも、自分の心情を優先する事で浮かび上がるストーリーに整合性と説得力が生まれていると思います。このスタイルを選んだ覚悟のようなものがあれば教えてください。

東京で自分は通用しないと思って地元福島に帰ろうと思った事がありました。けど、それがすごく悔しくて、その週末遊びに行ったクラブで即興LIVEの誘いがあり、その時に今日までの気持ちを『僕に5分だけ時間をください』って歌いました、なのでこのスタイルを選んだというよりはこのスタイルしかもう自分にはなかったという自然な流れです。

--- 前作『BTTB』の時と違い、フィーチャリングなしの作品ですが、その辺りの思い入れについて聞かせてください。

偶然です。特に思い入れはありません。

--- アルバムに収録された楽曲の中で、特に思い入れの強い楽曲を3曲選び、楽曲解説をして頂けますか?

「27才のリアル」
この曲は本当に自分を励ます為に作りました。実際昨年の夏は再就職活動をしてまして、その時にある企業の最終面接まで進んだのですが、不採用になってしまい、自分の面接の対応等を反省しているうちに何だか『こんなはずじゃない』ってなって作った曲です。その企業の採用担当の方に曲をメールで送りました。返信はありませんでした。

「モスコミュールなんてもういらない」
お酒が好きで去年は良く終電逃して朝、いや、気付けば昼くらいまで飲んでました。終電を逃すきっかけが店員さんの出すモスコミュールだったりするんですよね。ただ去年一番飲んだお酒はハイボールです。

「頭角2011」
5MCのグループで活動していた頃に作った曲でトラックはそのグループのリーダーが作ってくれたものです。その頃は無名で自分達の音楽がリリースされるなんて遠い夢の話だと思っていました。その頃に自分達のやっていた音楽には自信を持て無かったのですが、実際は自信を持ってリリースしても十分通用する曲だったと思わせてくれる1曲です。

--- 福島出身のMCとして、東北地方太平洋沖地震に対し思う事も多いかと思います。MySpaceにて既に「【PRAY FOR JAPAN】 被災地のあなたへ」「【PRAY FOR JAPAN pt.2】 何度でも」の2曲を発表していますが、改めてこの震災に対しメッセージをお願いします。

東北地方太平洋沖地震で犠牲になられた方々、ご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申しあげるとともに被災された方々、ご親族の皆様にお見舞いを申しあげます。【PRAY FOR JAPAN】はpt.4まで現在制作しました。僕なりにメッセージは全てそれらの曲中に詰め込んでおります。 在り来りで使い古された言葉ですが、一緒に頑張りましょう。

--- 最後に今後の予定を聞かせて下さい。

本当に予定なのですが年内に出来れば3.5 th Album『計画売名(2005〜2011)』や【PRAY FOR JAPAN】震災に関して曲中心に何らかのアルバムをリリース出来たらと思っております。本当に予定ですが。。。あとは、実家の庭でバーベキューしたいです。皆で。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


新譜『27才のリアル』 狐火
NOSTALGIA TRUSTのコンピレーションアルバム『FEELING TRUST』に収録された「一身上の都合のうえ炎上」を初めて耳にした時、驚いた事を今でも覚えている。"狐火" 前々から気になる存在ではあったものの、ここまでとは!その楽曲は、焼身自殺した兄の心情、そしてその家族である弟の心情描写を綴ったもの。感情的且つ情景描写は的確で、狐火が描き出す風景は、僕の頭の中でありありと想像出来たのだ。その楽曲を含む、狐火の3rdアルバム『27才のリアル』。タイトル曲は就職活動のもどかしさを切実に歌っている。赤裸々な心情を露にする悩めるリリシスト狐火。今後ますます話題になることだろう。

【HMV ONLINEオリジナル特典】 未発表音源CD-R
※こちらの特典は店舗ではお付けしておりません。 ご了承くださいませ。

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     狐火
    『27才のリアル』

    2011年04月20日発売

    NOSTALGIA TRUSTのコンピレーションアルバム『FEELING TRUST』に収録された「一身上の都合のうえ炎上」を初めて耳にした時、驚いた事を今でも覚えている。"狐火" 前々から気になる存在ではあったものの、ここまでとは!その楽曲は、焼身自殺した兄の心情、そしてその家族である弟の心情描写を綴ったもの。感情的且つ情景描写は的確で、狐火が描き出す風景は、僕の頭の中でありありと想像出来たのだ。その楽曲を含む、狐火の3rdアルバム『27才のリアル』。タイトル曲は就職活動のもどかしさを切実に歌っている。赤裸々な心情を露にする悩めるリリシスト狐火。今後ますます話題になることだろう。

    [収録曲]
    01. 3rd intro
    02. 頭角2011
    03. ノーボーダーポエトリーリーディング
    04. あの娘は夜通しツイッター
    05. 裏BTTB
    06. merry go round
    07. コンクリート
    08. モノクロの中に見た血の色
    09. H.I.V(ヒトアイウイルス)
    10. 27才のリアル
    11. モスコミュールなんてもういらない
    12. 一身上の都合のうえ炎上
    13. 最後の曲だとしても

    【HMV ONLINEオリジナル特典】 未発表音源CD-R
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