ニューヨーク・パンクの女王、パティ・スミスが自己グループ名義で発表した1976年2ndアルバム。ジャック・ダグラス制作のメタリックなロック・サウンドを背にした失望と希望のリリックがアリの心にまっすぐ突き刺さる。「Ask the Angel」はN.Y.パンク古典。
生パティ、どうしよう!! 絶対あたしのこと見て歌ってた! あんたじゃないはず、絶対あたしよ! 「Gloria」とか「Time is on My Side」とかってジュークボックスに閉じ込められてるようなカビくさい曲だけどさ、パティが歌うと全然違うものになるのよね。アソコびりびりしちゃったもん。え? あぁこのヒト? パーマ・ロメラよ。さっきトイレで火貸してくれてさ。やぁ〜ね、もちろんスプリフよ。極太の。「あんたもパティ好きなの?」って話ししてたら盛り上がっちゃってさ。つっても、彼女7つも年上なんだけどね。クールなヒッピー。実家、スペインだっけ? ”パルモリヴ” って呼んであげて。いい趣味してんのよ。すっごい音楽に詳しくてさ、やっばいバンドたくさん教えてもらったわ。ブレイズ ]とか。ディクテイターズとか。
前略 ママ、レコーディングは順調よ。スタジオの周りは農園で、毎日野菜ばっか食べれて幸せ。あたしたちベジタリアンでホントよかった! アルバムは全部で10曲ぐらいになりそうかな。うまくいけば、夏ぐらいにリリースされるって。あとね、アルバムとは別にBBCラジオの「Grapevine」っていう番組のテーマ曲も録ることになったの。番組名に合わせて、ママの好きだったマーヴィン・ゲイの「I Hear It Through The Grapevine」をカヴァーする予定よ。聴きたいでしょ? 一応デモは録り終えたんだけど、これがかなりヤバイ仕上がり。今までにない感じよ。C.C.R.のカヴァーなんて目じゃねぇっつーの。で、ママも思わずキッチンで「Good Sick!」って叫んじゃうみたいな(笑)。今度音源送るから感想訊かせてね。それと、アルバム・リリース後のプロモーション・ツアーも今日決まったの。ジャズ・トランペッターのドン・チェリーとか、去年ぐらいにデビューしたクリエイション・レベルっていうダブ・グループとのパッケージ・ツアーよ。ママも忙しくないとき是非観に来てね。ではでは。
アルバム・タイトルは「Cut」よ。色んな意味合いが込められてるけど、「道を切り拓く」的な感じがぴったりかな。「ケンカ腰になる」なんてニュアンスで受け取ってもらってもいいわ。男上位の社会なんてクソ。たとえ所属してるレコード会社でもね。石頭社長は、ラジオのテーマ曲用に録った「I Hear It Through The Grapevine」をシングルのA面にしろって言ったけど、そんなの絶対にイヤ。「Typical Girls」でぴょんぴょん跳ね回りたいの! たかがアルバム1枚こっきりの契約だけど・・・何事にも屈せずにやりたいことをやって、自由な表現や人生を大いにたのしむ。それしかないじゃん? ただ暴れたいだけじゃないのよ。あたしたちにも平等に発言する権利があるってこと。パティやニーナみたいにね。三歩下がっておっ立てた男根経済に頬ずりするだけの人生なんて、まっぴらごめん!
1981年の2ndアルバム『Return Of The Giant Slits』以来実に28年ぶりとなるオリジナル・スタジオ・アルバムにして、女帝アリ・アップ最期の”スリッツ・パーティ”。2006年5月の再結成ライヴをキッカケに活動を再開した彼女たちは、オリジナル・メンバーであるアリ・アップ、テサ・ポットに、ホリー・クックらを加えた5人で本格的な活動を開始。本作のミックスは、旧知のエイドリアン・シャーウッドが行なっており、アルバムからの1stシングル「Ask Ma」や、日本語で歌われているという「Be It」など全14曲を収録。日本盤のみボーナス・トラック2曲を追加。
クラッシュの「ホワイト・ライオット・ツアー」にバズコックスらと一緒にサポート・バンドとして参加したことをきっかけに注目を集めるようになった、恐るべき”割れ目ちゃん”ことスリッツ衝撃のデビュー・アルバム。パンク、レゲエ、ダブ、ファンクなどの間を自由に行き来するフリーフォームなサウンドは21世紀の耳で聴いても今なお新鮮だ。ジャケットの写真からして相当にショッキングだが、デニス・ボーヴェルによる低音を強調させたプロデュースもまた過激。「レゲエと結婚した女」と呼ばれるアリ・アップはこの当時まだ17、8歳という早熟ぶり。こちらは発売30周年を記念してリリースされた2枚組デラックス・エディション。オリジナル収録曲に加え、デモ、ラフ・ミックス、ダブ・ヴァージョン、さらには77年に録音された「John Peel BBC Radio 1 Session」音源などトータル30曲近くのレア音源が追加収録されている。
『Cut』以前となる1977年のパフォーマンスに加え、80年USツアー、81年ハマースミス・パレスでのステージなど貴重なライヴ音源を中心に収めた編集盤。ニーナ・ハーゲンをフィーチャーした「Number One Enemy」のアコースティック・ヴァージョンや、ネナ・チェリーが歌う「In The Beginning」の別ヴァージョンも収録。
ON-U の前身となるHIT RUN レーベルからリリースされたプリンス・ファーライのセルフ・プロデュース・ダブ・アルバム第3弾。ルーツ・ラディックス/ダブ・シンジケート面子による演奏陣、さらにはアリ・アップ、ヴィヴイアン・ゴールドマン(コーラス)、スティーヴ・ベレスフォード、デヴィッド・トゥープ(ノイズ&トイ・シンセサイザー)といったニュー・エイジ・ステッパーズ組がゲスト参加。JAチャンネル・ワン録音のロンドン・ミックス。ミックスはもちろんエイドリアン・シャーウッド・・・
エイドリアン・シャーウッドとスタイル・スコットを中心としたユニットに、ニュー・エイジ・ステッパーズ勢、ビム・シャーマン、プリンス・ファーライ、ジャー・ウーシュらが全面参加。「Reaching the Bad Man」はN.A.S.「Nuclear Zulu」のダブ・・・
『God』 Rip Rig & Panic (1981)
元ポップ・グループのギャレス・セイガーとブルース・スミスに、マーク・スプリンガー、ショーン・オリバー、ネナ・チェリーらが加わって制作されたリップ・リグ&パニックのフランク・ザッパも腰を抜かした衝撃の1stアルバム。フリーキーなサックス、不協和音を放つピアノが鈍く冷たく海馬を揺さぶる前人未到のアナーキーなジャズ・パンク。アリは「Change Your Life」、「Shadows Only There Because of The Sun」に参加・・・
ブリストル・シーンのゴッドファーザー、マーク・スチュワートの12年ぶりとなる通算6枚目のフル・アルバム。バックのザ・マフィアやエイドリアン・シャーウッドをはじめON-Uクルー一丸となっておくるごった煮サウンドに過激なアティテュード。何もかもが「健在」。アリは、ヤードバーズのカヴァーとなる「Mr You're Better Man Than I」に参加・・・
リー・ペリー、アリ・アップの欧州ツアーのバックも務めていたオーストリオのダブ・ユニット、ダブル・スタンダート。ダブ・シンジケート「Wadada」、ホレス・アンディ「Money Money」、ケン・ブース「When I Fall in Love」、タッパ・ズッキー「MPLA Dub」カヴァーを収録した通算10枚目のアルバム。アリは「Island Girl (J Star remix)」に参加・・・
スラッカーズが凡百のネオスカ、スカコカ・バンドを蹴散らした2ndアルバム。「You Must Be Good」、「Rude and Reckless」といった代表曲に加え、トミー・マクックに捧げたロックステディ「Cooking for Tommy」、レブロン・ブラザーズのブーガルー古典「Mary Mary」を組み込んだ「Fried Chicken Song」、チャノ・ポソとディジー・ガレスピーのアフロ・キューバン定番「Tin Tin Deo」など、ひと味もふた味違うハイセンスなN.Y.スカ・サウンドが入り乱れる・・・
名エンジニア、ヴィクター・ライスがプロデュースを手掛けた記念すべき1stアルバム。バンド初期ならではの荒々しさと、フェイク・ジャズ風の渋みが奇跡の融合を果たした、当時「ニューヨークの音楽シーンを最も的確に体現したサウンド」と評された1枚。現在もライブでおなじみの「Soon or Later」や「Sarah」などキラー・チューン満載・・・