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『冷たい熱帯魚』 園子温監督 インタビュー

2011年10月24日 (月)

interview
園子温


『冷たい熱帯魚』を完成させた園子温監督に『愛のむきだし』以来、2度目のご登場を頂きました。連日満員&立ち見が出るほどの盛況ぶり!映画館で勃起&濡れる男と女が急増中!今後も多くの人々を巻き込み、増殖を続けるであろう本作。園監督作品はその圧倒的な爆発力やスケールの大きさ、エンタテインメント性はもちろんですが、観たことのない世界や刺激をユーモアも含みながら提示し、俳優のお芝居でうっとりと魅了させてくれる。本作はその極み、受け取る側が油断なんかしていたら、あっという間にでんでんさん演じる村田にボディーを○○にされてしまう。『冷たい熱帯魚』に続く、さらなる新作『恋の罪』がカンヌ国際映画祭 監督週間正式出品決定!そういうことだ!よろしくな!INTERVIEW and TEXT and PHOTO: 長澤玲美

当時の僕の状況がすごく救われなかったので、救いのある話で自分が救われるよりも、徹底的に救いのない映画にすることが今大事だなって思ったんですよね。


--- 1月20日に行われた三池崇史監督 presents 「大人だけの空間」に遊びに行ったのですが、園さんと三池さんと吹越満さんのトークがおもしろ過ぎたので、あれ以上のお話を今日お聞き出来るかすごく不安なのですが・・・(笑)、よろしくお願いします。

園子温(以下、園) すみません。思い出したくないくらい、完全に出来上がっちゃってましたね(笑)。普段はビールなんですけど、待合室にいたら次から次へとジントニックが運ばれて来て。慣れてないのを飲んだことで酔いが計算出来てなかったんです。気付いたらあんな状態になってましたね(笑)。本当に何を言ったか、全然覚えてないんですよ(笑)。

--- 「『冷たい熱帯魚』の脚本を書いていた時期は、歌舞伎町にウィークリーマンションを借りて住んでいて、酔っ払ってはホストとかにも絡んで殴られながら書いていた」とおっしゃっていたり・・・(笑)。

 そんなこと言ってました?(笑)。

--- ええ(笑)。本作はプロデューサー(千葉善紀、木村俊樹氏)さんから実際に起きた事件を題材に映画を撮って欲しい」とお話があり進んだ企画だったそうですが、実際に起きた事件にインスパイアされた映画となると、そのようにご自身を肉体的にも精神的にも追い込まないと描けないと思われたんですか?

 いや、追い込んだんじゃなくて、僕がそういう状況に追い込まれていた時期に書いた作品ということですね。だから、ちょうどその状況とシンクロした感じで書きやすかったっていうのはありますけど、改めて、この映画はああいう時期にしか作れないのかなって思いますけどね。そんな時にゴールデン街で共同脚本の高橋ヨシキくんと会って、一緒に脚本を書くことになったっていう経緯ですね。


千葉善紀 1965年生まれ。91年にSFアクション『ゼイラム』(雨宮慶太監督)を初プロデュース。その後、『極道戦国志 不動』(96/三池崇史監督)、『エコエコアザラク』(95/佐藤詞麻子監督)、『地獄甲子園』(03/山口雄大監督)などアクション、ホラー、漫画原作映画を中心に30本以上を製作。08年の『片腕マシンガール』(井口昇監督)と『東京残酷警察』(西村喜廣監督)では過激なバイオレンスシーンが海外で話題となり、北米で10万枚を超えるDVDセールスを記録。13年ぶりのタッグとなる三池監督『ヤッターマン』(09)が4週連続1位の大ヒットとなる。10年、海外向日本映画専門レーベル SUSHI TYPHOONを立ち上げ、第1弾『AVN』(11年公開予定/千葉誠治監督)他、5作品を製作中。

木村俊樹 1962年生まれ。プロデューサーとして、三池崇史監督『極道戦国志 不動』(96)、石川均監督『集団殺人クラブ』シリーズ、望月六郎監督作品『鬼火』(97)など数々の話題作を手掛ける。02年、映像企画制作会社 ステアウェイを設立。タナダユキ監督『赤い文化住宅の初子』(07)、吉田恵輔監督『机のなかみ』(07)、熊切和嘉監督『ノン子36歳(家事手伝い)』(08)など、新進気鋭の監督を活躍の舞台へと導く。また脚本家・龍一朗としても活躍。他、井口昇西村喜廣坂口拓監督『戦闘少女 血の鉄仮面伝説』(10)、坂口拓山口雄大監督『極道兵器/YAKUZA WEAPON』(11年公開予定)など、SUSHI TYPHOONレーベル作品にプロデューサーとして参加。

高橋ヨシキ 1969年生まれ。高校時代にホラー映画雑誌のアルバイトとしてキャリアをスタート。早稲田大学を経て、CMプランナー、広告会社勤務を経験。99年より雑誌、「映画秘宝」にアートディレクター兼ライターとして参加。主な著書に「ショック!残酷!切株映画の世界」など。グラフィック・デザイナーとして『片腕マシンガール』(08/井口昇監督)、『ヤッターマン』(09/三池崇史監督)をはじめ、数多くの映画ポスター、DVDジャケット、装丁を手掛ける。『東京残酷警察』(08/西村喜廣監督)のDVD特典では監督を務めた。『HELLDRIVER』(10年制作/西村喜廣監督)、『電人ザボーガー』(11年公開予定/井口昇監督)にモーション・グラフィックスによるメインタイトルを提供している。


冷たい熱帯魚


--- 様々な猟奇事件を調べられたと思いますが、いろいろな要素をミックスして脚本を書き上げる際に苦労された部分はありますか?

 ミックスというより自分の経験を含ませたりしているという意味です。事件に関しては非常に綿密に裁判記録を照らし合わせたり、周辺情報を丁寧に調査したりして、事件に対しては忠実にありつつもあくまでフィクションとして脚本を書きました。

--- 高級熱帯魚店「AMAZON GOLD」にはハワイアンの音楽が流れていて、魚が泳いでいる水槽がずらーっと並んでいる店内にタンクトップにショートパンツの若くてかわいい女の子達がいるという設定がすごくキュートで印象深かったんですが、何かからインスパイアされたものなんですか?

 アメリカに「フーターズ」っていうレストランがあるんですけど、女の子達がああいう衣装で接客しているんですよね。でんでんさんが演じる村田幸雄は好きそうだなと思ったのでそういう要素を取り入れましたね。

--- 女の子、みんなかわいかったです(笑)。

 タレントですからね(笑)。リアルに普通の女の子にすればいいっていうのもあったかもしれないですけど、僕の場合はやっぱり、「エンタテインメント映画を撮る」というのがあるので、別にわざわざリアルにしなくてもいいかなと思いまして。


冷たい熱帯魚


--- 園さんは、今まで何となく定着している役者さんのイメージを全く覆すようなキャスティングや演出をされるのでその部分を拝見するのも毎回すごくたのしみなのですが、でんでんさんには以前から、「悪役をやらせたかった」とありました。

 『ちゃんと伝える』で少し出てもらった時に(国語の先生役)、彼に大きな役でそれも悪役でやってもらいたいって思ったんですよね。僕はでんでんさんにすごく興味があったんです。確か光石研さんも「実はでんでんさんはものすごいものを持ってるに違いないってずっと思ってたんです」って言っていて。プロの役者から見て、でんでんさんもものすごいものを持ってるっていうのを気付いてたみたいですよね。だから今回は「(社本信行役)吹越満さんとでんでんさんを中心にしておもしろいことが出来るな」っていうことがまずありましたよね。あと、脇役としてすごくいい感じだった(顧問弁護士 筒井役)渡辺哲さんを主演にいつか映画を撮りたいなって思ってますね。フランスの古い映画に出てくるジャン・ギャバンとかリノ・バンチェラみたいな役でやると哲さんはいいんじゃないかなって思ってますね。日本にはそういう映画が全然ないですけど、哲さんとでんでんさんと吹越さんみたいなああいうおじさんが組んで銀行強盗の集団とかをやったらおもしろいんじゃないかなって思いますね。


でんでん 1950年1月23日生まれ、福岡県出身。81年、森田芳光監督『の・ようなもの』で映画デビュー。その後、独特な存在感と味わい深い演技で映画、TVドラマ、舞台、CMなど、幅広く活躍。主な映画出演作は、『雪に願うこと』(06/根岸吉太郎監督)、『クライマーズ・ハイ』(08/原田眞人監督)、『母べえ』(08/山田洋二監督)など。特に10年は『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(三浦大輔監督)、『ゴールデンスランバー』(中村義洋監督)、『座頭市 THE LAST』(阪本順治監督)、『孤高のメス』(成島出監督)、『悪人』(李相日監督)など、出演作が多数公開されている。園組へは『ちゃんと伝える』(09)に参加し、2作目の本作で自身初の本格的な悪役を演じた。

吹越満 1965年2月17日生まれ、青森県出身。84年劇団ワハハ本舗に参加。99年、退団。90年の『つぐみ』(市川準監督)を始め、主な出演作には『SF サムライ・フィクション』(98/中野裕之監督)、『たそがれ清兵衛』(02/山田洋二監督)、『LIMIT OF LOVE 海猿』(06/羽住英一郎監督)、『BALLAD 名もなき恋のうた』(09/山崎貴監督)など。園組へは09年『愛のむきだし』、『ちゃんと伝える』に参加。また、「殴る女」(99/CX)、「どんど晴れ」(07/NHK)、「警視庁捜査一課9係」シリーズ(ANB)、「同窓会 ラブ・アゲイン症候群」(10/ANB)など、TVドラマでも活躍。また、89年から続けている「フキコシ・ソロ・アクト・ライブ」では実験的な演芸に挑み続けるソロパフォーマーでもある。

渡辺哲 1950年3月11日生まれ、愛知県出身。73年、「シェイクスピアシアター」創立に参加。黒沢明監督『』(85)で映画デビュー。他、伊丹十三監督『ミンボーの女』(92)、北野武監督『HANA-BI』(97)など出演作多数。また、個性的な演技でドラマ、CM、舞台など多岐に渡る活動を展開。近年は『インスタント沼』(09/三木聡監督)、『RAILWAYS』(10/錦織良成監督)など、今後を期待される若手監督作品にも精力的に参加している。


--- SUSHI TYPHOONレーベルがあると、企画が実現にさらに近付く感じがありますか?

 自由度が高いです。低予算というのもありますけど、それは苦ではないです。『冷たい熱帯魚』はSUSHI TYPHOONレーベルの一環で海外を意識して作ったんです。海外では本当に役者の有名度は重要ではないので、そういう意味ですごく重要度が高かったですね。


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--- 吹越満さんはでんでんさんも出演されている『ちゃんと伝える』にも、さらには『愛のむきだし』にも出演されていますが、今作も吹越さんは本当に素晴らしかったです。下北沢の喫茶店でキャスティングを相談していたところにふらっとお客さんとしていらっしゃったそうですね?

 誰と迷ってたかはちょっと覚えてないんですけど、吹越さんでいこうか考えてた時に入って来たんで、「もうこれは吹越さんだ!」って思いましたね。

--- 豹変した後のパワーが凄まじかったですし、そのあたりからの後半が特に堪らなくセクシーでした。役者さんの底力といいますか、上手いお芝居に存分に魅了されて、うっとりさせて頂きました。

 吹越さんを主役にした理由の1つは、もう言うことがないくらい芝居が上手いと思ってたんで、安心してやれるということがありました。でんでんさんは謎のプラスαを持っているので、吹越さんとはまた違った魅力を感じていました。


冷たい熱帯魚


--- 女優さんのお話もお伺いしたいのですが、「裸になれない女優は今すぐ実家に帰れ!」という園さんの発言を以前聞いたことがあり、強く印象に残っています。

 その一言を言いたいのではなくて、要は「しっかり芝居をしてくれればいい」っていうことだけなんです。毎回脱ぐシーンがあるわけじゃないので、「絶対裸になれ」とは言わない。でも、日本は他の国の女優に比べて出し惜しみが激しいから、そういうのも含めてそう言ったんですよね。

--- そんな日本の女優さんの状況に対して、本作の(村田愛子役)黒沢あすかさんや(社本妙子役)神楽坂恵さんは「脱ぐ」という部分も全てクリアになった上で出演が決まったんですよね?

 あのそれぞれの役は脱げないと困るので、もちろん、脱ぐのを前提でお願いしましたね。


黒沢あすか 1971年12月22日生まれ、神奈川県出身。子役からスタートし、テレビドラマを始め、数々の映画作品に出演。特に塚本晋也監督『六月の蛇』(03)でオポルト国際映画祭最優秀主演女優賞を獲得し、国内外で高い評価を得た。他、『愛について、東京』(93/柳町光男監督)、『現代任侠伝』(97/降旗康男監督)、『サンクチュアリ』(06/瀬々敬久監督)、『嫌われ松子の一生』(06/中島哲也監督)、『女の子ものがたり』(09/森岡利行監督)など。

神楽坂恵 1981年9月28日生まれ、岡山県出身。04年グラビアアイドルとしてデビューし、07年に自身の著書を通してアイドル活動を卒業。本格的に女優としての活動を始める。『遠くの空に消えた』(07/行定勲監督)、『プライド』(09/金子修介監督)、『童貞放浪記』(09/小沼雄一監督)、『13人の刺客』(10/三池崇史監督)、TVドラマ「嬢王3〜Special Edition〜」(10/TX)などに出演。11年1月にはシアターXにて高瀬一樹演出「セレブレーション」で初舞台。女優として活躍の場を広げている。


--- 特に黒沢さんは一時、子育てなどで女優業をお休みされていたそうですが、かなり特訓されたんですか?

 特訓というか、彼女はまず彼女自身が取材でも言っているように、母親から愛子になるまで時間がかかったみたいで非常に苦労してがんばったみたいですね。演出としては黒沢さんというよりも、神楽坂恵さんと梶原ひかりさんには『愛のむきだし』の満島ひかりくらい相当厳しく稽古していじめたので、今後はもうこれで大丈夫だろうなって思ってるんですけど。


梶原ひかり 1992年12月21日生まれ、東京都出身。子役としてデビューし、TVドラマ「転がしお銀」(03/NHK)、「女王の教室」(05/NTV)、「演歌の女王」(07/NTV)、「セクシーボイスアンドロボ」(07/NTV)、「学校じゃ教えられない!」(08/NTV)、映画『仮面ライダー剣 MISSING ACE』(04/石田秀範監督)などに出演。また、熊坂出監督『パークアンドラブホテル』(07)での演技で注目を集めた。


--- それぞれにタイプやお芝居に対するスタンスが違う役者さんに対して、どう演出するかという判断は園さんの中に感覚的にあるんですよね?

 ちょっと見てればわかりますよね。女優自体も「自分は褒められて育つ方だ」って思い込んでる人もいて、実は厳しくされた方がよくなるって人も初めて気付かされて思う人もいますからね。

--- 園さんの残酷描写がある作品の場合は特にエロ要素も強くあると思うのですが、それに対してのお考えはありますか?

 本当は今回のこの映画、最初は受けたくないなって思ってたんです。その理由の1つなんですけど、残酷描写をちょっとお休みしようと思ってた時期だったから。だから、なるべく残酷描写は抑えてそういうところじゃないところを見せようと思ったんですけど、浴室のシーンに関してはさすがに撮らないとしょうがないんで。でも、あのシーン用に特殊造型の西村(喜廣)くんがかなりすごい人体を作ってくれたんですけど、それを見せちゃうとめちゃくちゃグロいので、浴室の向こうにちらっといるくらいにしたんですよ(笑)。みんなには控えめだって言われないですけど、そういう意味では僕的には控えめなんです。人体をバラバラに切ってるシーンとかもないじゃないですか?今回はそういう部分はあまり強調したくなくて、人間のおもしろさの方が描きたかった。でも、後半の黒沢さんのシーンに血が多いのは血とエロというのは非常に似合うし、下着姿でちょっと血が付いて微笑んでる彼女がすごくエロティックだったので、ちょっと血の量が増えたというか(笑)。あのあたりのシーンは血がいい効果を生んでると思ってそうしましたけどね。僕ね、現実の血は嫌いですけど、生粋の・・・って言ったらおかしいですけど、小さい時から映画の血が大好きでよく赤絵の具で遊んでたんですよ。


西村喜廣 1967年生まれ。中学生時代から自主映画制作を行い、造型、撮影、照明、美術、特殊メイクなどすべて独学で修得。 95年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門で自主映画『限界人口係数』が審査員特別賞を受賞。その後、園監督『自殺サークル』(02)、『愛のむきだし』(09)や坂口拓監督『魁!!男塾』(08)、井口昇監督『片腕マシンガール』(08)、『ロボゲイシャ』(09)などでも特殊造型を担当。劇場監督デビュー作『東京残酷警察』(08)は世界のファンタスティック系映画祭で絶大な人気を呼ぶカルト作となった。


--- そうですか(笑)。

 なので、血に対してはものすごくこだわるんですよ。僕の場合は血がいっぱい出ればいいっていうんじゃなくて、少量でも素敵な血っていう(笑)、質の方ですね。量じゃないんですよ!

--- 小さい時から血に惹かれるというのは、どういうところだと思われますか?

 まあ、そういう映画をよく観てたからなんですけど、血が出るって言ったって、『ゴッドファーザー』とか『ジョーズ』とか、その程度の流血シーンをわくわくしながら観てて、浴室でサメの模型に血を付けて遊んでたりとかしましたね。夢中になっていつのまにか浴槽が真っ赤っかになって親に怒られたとかはありますけど、当時はそういう他愛のないことですね。

--- 本作は撮影、照明、メイク待ちがあまりない代わりに、ほとんどが血糊待ちだったそうですが・・・(笑)。

 血のことはやっぱり、誰にも任せないで僕がやります。血が出るシーンは、床に滴ってる血から体に付着してる血まで全部自分でやります。血でかっこ悪いのは嫌なんで、自分の好みにしますね。


冷たい熱帯魚


--- 本作で特にお気に入りの血のシーンはありますか?

 僕は特に血の筋が好きなんですよ。血で筋が出来てる感じ。だから、黒沢さんが刺されて、胸の辺りに血の筋があるあのシーンがすごくセクシーで好きですね。

--- 『愛のむきだし』の時もそうですが、本作でもキリストやマリア像、ロウソクなどのキリスト教のイメージがたくさん使われています。

 高橋(ヨシキ)くんは厳格なクリスチャン一家なんですけど、お父さんに相当いじめられたトラウマからキリスト教が大嫌いになって、今はサタニスト、悪魔主義者になっちゃったんですけど、そういうのを聞いているうちに「そういうトラウマはいいな」って思って取り入れましたね。あとはある意味、80年代ホラーに対するオマージュがありますね。でも、僕も小さい頃からイエス・キリストが大好きですね。ソロとしての彼のファンなので、クリスチャンになりたいはなりたいけど、キリスト教信者ではないですね。でも、現代にキリストが生まれる話をずっとやりたいって思ってたのは確かなので、そのくらいの愛着はあります。だから、自然とどの映画にもその要素がちょっと入りますけど、そのイメージもあまりにも言われるから、今回はあえて強く入れないように意識したのかもしれない(笑)。

--- 神楽坂恵さん演じる社本妙子は、料理を一切作らずに冷凍食品を電子レンジで温めて食卓に出しますよね?寒々しい、温度のない冷えた家庭みたいなものの象徴としてすごく印象に残っています。

 実際にそういう人もいると思うんですよね。とある30くらいの女性が「自分でご飯を作ったことがない」って僕が脚本を書いてる時にたまたま言っていて、「それはいいな」って思って、あれを思い付きましたね。

--- 食卓を囲んでいるあの家は、園さんの作品に度々登場するあの家ですか?

 あの家は似てるけど、今回は違うんです。もうあの家はだいぶ使って来て、さすがにもういいだろうと(笑)。本当にどの映画にも出てるから、ちょっとお休みしようってことで意識的に避けましたね。でも、あれはこだわってるんじゃなくて、低予算が自然と辿り着くロケ地なんですよね。あと、今回は他にも理由があって、ワンカットワンシーンで神楽坂さんをレイプするシーンのくだりで都合のいい家があそこだったので、それも大きかったと思いますね。

--- 「徹底的に救われない家族を描こうとした」と書かれていました。

 別にそんなことを考えたわけじゃないんですけど、当時の僕の状況がすごく救われなかったので、救いのある話で自分が救われるよりも、徹底的に救いのない映画にすることが今大事だなって思ったんですよね。

--- 救いのない展開や描写が続いていても、見終わった後、すっきりしましたし、完全なエンタテインメント作品だと思いました。

 それは一番うれしいですよね。あれだけのものを撮っておいて、みんながどんよりしないで、「すっきりした」とか「笑った」とかって言ってくれると、「よかった、よかった」って本当に思いますね。

--- SUSHI TYPHOONレーベルでも今後も作品を撮られますか?

 さっきも言った自由度の高い唯一と言ってもいい会社なので、企画があれば撮りたいですね。


冷たい熱帯魚


--- 「日本映画に救いのない映画が多い」と仰られていますが・・・。

 その意味は癒しとか人生の応援歌みたいなのばっかりなので、今の日本映画は逆に言うと、救いのない映画が少な過ぎる。だから、もっと過激な、おもしろい映画をどんどん作るべきですよねということです。

--- 『冷たい熱帯魚』に続く、さらなる新作が完成されたそうですが、最後にそのお話もお聞かせ下さい。

 『冷たい熱帯魚』はもちろん最高ですけど、それと同じくらい最高なものが出来ました。次回作のタイトルは『恋の罪』です。今年公開になります。今年はそれも含めてどんどん映画を撮ります。と宣言しちゃいます。


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--- 今後もたのしみにしておりますね。本日はありがとうございました。

 ありがとうございました。真面目過ぎたかな?(笑)。


『冷たい熱帯魚』 予告編!

(おわり)



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※内容はすべて予定です。商品仕様・特典等は変更になる場合がありますので予めご了承下さい。


監督・脚本:園子温(『自殺サークル』『愛のむきだし』『ちゃんと伝える』)

吹越満でんでん黒沢あすか神楽坂恵梶原ひかり渡辺哲

© NIKKATSU


『冷たい熱帯魚』に続き、園子温が世界に放つ究極作!『恋の罪』、カンヌ国際映画祭 監督週間正式出品決定!


この秋公開、園監督最新作『恋の罪』が5月11日から22日まで開催される第64回カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品決定!2009年ベルリン国際映画祭(『愛のむきだし』出品、「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」受賞)、2010年ヴェネチア国際映画祭(『冷たい熱帯魚』オリゾンティ部門出品)に続き、2011年、カンヌへの初参加が決まった園監督は3年連続、三大映画祭出品という快挙!

この物語は、21世紀直前に起きた渋谷区円山町ラブホテル街の事件である。あの日、どしゃぶりの雨がふりしきる中、崩れ落ちそうなアパートでその女は死んでいた・・・。3人の女の生き様をSEX・言葉・狂気・生と死・家族を通して鮮烈な映像で美しく描ききる壮絶な作品。

監督・脚本:園子温 
出演:水野美紀 冨樫真 神楽坂恵 児嶋一哉(アンジャッシュ) 二階堂智/小林竜樹 五辻真吾 深水元基 内田慈 町田マリー 岩松了(友情出演) 大方斐紗子 / 津田寛治
製作:「恋の罪」製作委員会 
配給・宣伝:日活 

© 2011「恋の罪」製作委員会

11月、テアトル新宿他、全国ロードショー

オフィシャルサイト:http://www.koi-tumi.com/index.html

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園子温 (そのしおん)

1987年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。ぴあスカラシップ作品として制作された『自転車吐息』(90)は、ベルリン映画祭正式招待の他、30を超える映画祭で上映。以後、『自殺サークル』(02)、『奇妙なサーカス』(05)、『夢の中へ』(05)、『紀子の食卓』(06)、『HAZARD』(06)、『エクステ』(07)、『ちゃんと伝える』(09)など衝撃作を続々と誕生させ、各国での受賞作多数。09年『愛のむきだし』で、第59回ベルリン映画祭「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」、第9回東京フィルメックス「アニエスベー・アワード」を受賞。『冷たい熱帯魚』に続く、最新作は『恋の罪』(11年公開予定)。青春物からホラー、詩や小説と自在なスタイルで活躍する日本映画界の異端児である。