【HMVインタビュー】志人(Triune Gods/降神 )

2011年1月12日 (水)

interview
--- まずはTriune Godsという新しいグループについて教えて下さい。Bleubird (Endemik / アメリカ)、Scott Da Ros (Endemik / カナダ) とはどのような経歴のアーティストでしょうか?

志人from降神(TempleATS/日本)、Bleubird (Endemik /アメリカ)、Scott Da Ros (Endemik /カナダ)から成るグループTriune Gods-2008年のBleubird来日ツアーで3人は出会いを果たす。お互いの音楽のファンになった彼らは唯のコラボレーションではないグループを 出来ないかと考え始める。そして2010年、彼らはカナダ モントリオールで再会した。Triune Gods (三位一体の神)となる為に。

志人from 降神(sibitt/シビット)
降神のMC。降神非行期. 玉兎なるオルターエゴ(別人格)を持つ。時には歌う変幻自在のフロウを持ち、従来の日本語のHIPHOP観を覆す唯一無二の存在であり、ジャンルの壁を超え音楽空間を彷徨う旅人。内なる宇宙からとめどなく溢れ出す言葉は、聴く者の脳裏に映像を浮かび上がらせ、まるで一つの映画を見ているかのような感覚へ誘う。また演劇的とも評されるライブは、見る者の感情を心の奥底から導き出し、音楽の新たな世界へ連れて行く。国境を越えたリス ナーがじわじわと増えてきている降神のアルバムや、数々の客演を経て、2005年ファーストソロアルバム『 Heaven’s 恋文 〜ヘブンズ・レンブン〜』を発表。その後、DJ DOLBEE、画家戸田真樹とのタッグにより「失われて行くメディアに焦点を当てた企画」を提唱し、ポストカードレコード、8cmCD、など様々な形態で のリリースを重ねている。志人×DJ DOLBEE×ANIMATION(岡田昭憲)の作品「夢境〜Mukyo~」がNHKでその内容を取り上げられるなど活動の幅を広げている。

Bleubird(ブルーバード)
アメリカ生まれ。Endemik Music所属。世界を旅するラップアーティスト。2003年の1st「sloppy doctor」で世界中に衝撃を与えた。彼のスタイルはまさに自由、色々なアーティストと曲を作り、作品ごとに違った顔を見せる。2007年にはDJ Bakuによるリミックスを収録した12インチをリリースしその後2008年に来日。熱いライブパフォーマンスでリスナーを虜にした。昨年はベルリンの オーディオテックJayropeとのユニットPrinzenalleeでストーリーテリングの妙味を見せている。現在は改造し音響設備を整えたキャンピングカーを走らせ北米各地でライブして回るまさしくDIYなスタイルで活動中。

Scott Da Ros (スコット ダ ロス)
カナダ生まれ。Endemik Musicの創設者でありトラックメーカー。2005年に多数のMCを招いて発表されたアルバム「One Kind of Dead End」は彼の特徴であるディープでアーティスティックなサウンドが前面に押し出された傑作となった。近年ではその独特な作風が様々なアーティストに支持され、ビート提供も行っている。日本ではKaigen21Meisoの1stアルバム内の「時計仕掛けの蓮」を手掛けた。

--- Bleubird、Scott Da Rosとどのような出会いがありグループが結成されたのでしょうか?

Bleubirdの来日ツアーで互いの作品を交換し、僕らはお互いの音楽のFANになりました。 ScottDaRosが是非sibittとbleubirdとで音源を作りたいという話があり、コラボレーションではなくグループを組まないかという話になりました。Granma Musicの方々がサポートして下さいまして、現地での7日間の録音が可能になりました。

 
--- この作品は、モントリオールで音楽制作を行った濃密な7日間の記録との事ですが、そのレコーディング作業はどのようなものでしたか?

まずアルバムの楽曲はScottDaRosが候補曲である全7曲を2年間かけて制作したそうです。その音源を聞かせて頂いて、bleubirdと私(志人)がまっさらな状態からリリックを同時に書き出しました。リリックは全て7日間でお互い出し合ったIDEAです。朝起きて、Scottが録音の準備が整うまでひたすら二人でリリックを書き、スタジオはモントリオールのSpaceMoonSnowCatsスタジオで録音し、サラダを作って、掃除をして、またリリックを書いて、録音するという日々の流れでした。

--- 志人さんの日本語とBleubirdの英語、2種類の言語でのラップですが、言語の違いが作品に及ぼした影響はありますか?

Scottの音楽が既に映画音楽の様に叙情的なものでありましたので、 曲の雰囲気から想起されるリリックが両者共に多かったと思います。曲単位で歌詞の内容は違いますが、二人とも現代版のビートニクの詩人の様な内容かも知れません。私としては、人間が目の前のお金や個人の利益の為に失いかけた”人間らしさ”を取り戻す為の様々な生命からのアドバイスを聴く心の旅の様なリリックを書きました。意外や意外、後にbirdのリリックを翻訳してみると実に同じ様な話題に触れているのも興味深く大変面白かったです。言葉は違えど、僕らの濃密な7日間に知らず知らずのうちにお互いの魂がシンクロしていったのだと思います。

 
--- 志人さんにとって、創作の源となっているものは何ですか?

今回の制作はソロの制作や降神の制作と明らかに違う所としては、限られた時間の中でどれだけ脳みその引き出しを開けられるかという点だったと思います。本作品のインスピレーションの源は、ScottのシネマミュージックとBlueBirdという人間とモントリオールという場の力、そして私が来た不思議な島国:日本でしょう。

--- アルバムに収録された7曲を、それぞれ解説して下さい。

1. Aurora Aura
BlueBirdはアブストラクトなリリックで私との馴れ初め、そしてこのプロジェクトの話をしています。 私は拝金主義なアメリカンニホンを抜け駆けして極地へと赴く旅人の心情を描きました。

2. Sacred Forest
志人が神聖な森の嘆きと威厳を語り、それに対しbleubirdは森を破壊する人間の業の深さを物語っています。

3. The Voyage
船に乗って精神の海に旅に出掛けます。 たどり着く先で見たものは?

4. Core
核について物語っています。 ハートのコアについて

5. Wonder's Answer
この曲はBlueBirdと私が出会って初めて作った楽曲です。 掛け合いやユニゾンはお互いIDEAを出し合いました。志人ははじめてこの曲で英語のサビを作りました。

6. Plus Minus
これは僕らの中での反戦歌です。前半は太陽の歌う愛の唄を志人が、後半バースは最前線で戦う兵士の姿をbleubirdが双方両極端に描きました。

7. Same Train
どこまでも続く長い道のりをいつまでも同じ列車に乗って。トラックIDEAはScottDaRos、そしてbeatはshortfacedbear.が手がけました。曲中のギターリフはHeliodromeのy.p.lが参加しています。アルバムの最後に相応しい安息の地へ運んでくれる音の表情がとても豊かな曲です。

--- Triune Godsは“唯のコラボレーションではないグループ”との事ですが、今後はどのような活動をしていく予定でしょうか?

ScottDaRosが志人のアルバムをカナダで作る準備を進めているそうです。志人が2011年春よりモントリオールに活動拠点を移して制作をするので、TriuneGodsの新作も作ろうという話になっています。TriuneGodsは本当に始まったばかりです。これからも色々な楽曲をこの世に残して行きたいです。2011年秋にTriuneGodsが来日予定です。降神と共に新作を引っさげてツアーを回る予定です。

--- 志人さん自身のTriune Gods以外の活動予定を教えてください。

ソロの活動としては、2010年は非常に前衛的なアーティストとのインプロビゼーションライブが主でした。JAZZ ピアニストのスガダイローさんや、様々な画家との即興演奏や、東京月桃三味線とのセッション、カムアソトライブとのレゲエバンドスタイルのセッション。心の残るセッションばかりでした。楽曲制作としては、DJ DOLBEEさんと夢が夢であると自覚してみる夢「明晰夢」の音源を時間をかけて煮詰めています。本作品は名古屋のアニメーションクリエーターの岡田昭憲さんと共に映像作品も作っておりまして、「夢境〜Mukyo〜」という作品がNHKにて取り上げられ、NHKのドキュメンタリー番組にて楽曲が紹介されました。「ジレンマの角」という作品では尊敬する画家戸田真樹さんと12インチアナルグレコードをリリースしました。又、koducerというトラックメーカーの「Center of Mandara」というアルバムに参加予定です。DJ440と2010年に制作した「No More War」など歌をメインにした作品も発表致します。又、密かに「Pocket Poet」というハンディーサイズの詩集や朗読カセットテープなどを制作しています。現在DJ BAKUと楽曲を制作中です。降神も2011年、本格録音に入ります。プロジェクトごとの進行となりますが、後世に残る新作を熟成させております。

--- 有り難う御座いました。
新譜『Seven Days Six Nights』 トライウンゴッズ
デビューアルバム「Seven Days Six Nights」は志人、Bleubird, Scott Da Rosの三人がモントリオールで音楽制作を行った濃密な7日間を記録したまさに序章となる作品である。神秘的な大自然の静寂をイメージさせるScottのビート上でBleubird、志人が雪深い大地の中を踏み出す様にラップするM1で幕が開き、豊かな森の喜び、嘆きを歌うM2、ストリクトリーな雰囲気のビートとラップで有無を言わさない迫力を持つM4、英語と日本語がタイトに絡み合い不思議なグルーヴを生み出しているM5など新しい音楽観と確かな技術に裏打ちされた楽曲群は常にリスナーの想像力を刺激する。やがてラストの開放感溢れるM7を聴き終えた後、あなたは本作をまた最初に巻き戻すと同時に彼らの次の作品を期待してしまうだろう!アートワークを手掛けたのは独特の世界観で世界中の注目を集めるNYブルックリン在住の画家HIRO KURATA。まさにTriune Godsの音楽性を象徴したジャケットを作り上げた。彼が手掛けた12ページブックレットにも注目!

message from Bleu Bird

トライウンゴッズは長い時間をかけて熟成されたんだ。みんなお互いに離れてたし、プランを動かすには時間がかかって大変だった、それでも一度みんながモントリオールに集まってからは電撃的に進んだんだよ! "Seven Days Six Nights"を完成出来て幸せだしこれは自信作だね、みんなが聞いてくれるのが待ち遠しいよ。まずは日本ツアー、、、そしてワールドツアーだ!!

message from Scott Da Ros

トライウンゴッズのメンバーは2008年に東京で出会ってファーストアルバムを2010年にモントリオールで録音したんだ。もっとこのグループで音楽をやるのに凄く興奮してるし今年も新しい作品を作るよ!まずはデビューアルバムを楽しんで!!

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     トライウンゴッズ
    『Seven Days Six Nights』

    2011年1月19日発売

    デビューアルバム「Seven Days Six Nights」は志人、Bleubird, Scott Da Rosの三人がモントリオールで音楽制作を行った濃密な7日間を記録したまさに序章となる作品である。神秘的な大自然の静寂をイメージさせるScottのビート上でBleubird、志人が雪深い大地の中を踏み出す様にラップするM1で幕が開き、豊かな森の喜び、嘆きを歌うM2、ストリクトリーな雰囲気のビートとラップで有無を言わさない迫力を持つM4、英語と日本語がタイトに絡み合い不思議なグルーヴを生み出しているM5など新しい音楽観と確かな技術に裏打ちされた楽曲群は常にリスナーの想像力を刺激する。やがてラストの開放感溢れるM7を聴き終えた後、あなたは本作をまた最初に巻き戻すと同時に彼らの次の作品を期待してしまうだろう!アートワークを手掛けたのは独特の世界観で世界中の注目を集めるNYブルックリン在住の画家HIRO KURATA。まさにTriune Godsの音楽性を象徴したジャケットを作り上げた。彼が手掛けた12ページブックレットにも注目!

    [収録曲]
    1. Aurora Aura
    2. Sacred Forest
    3. The Voyage
    4. Core
    5. Wonder’s Answer
    6. Plus Minus
    7. Same Train

    無人島 俺の10枚 志人



    商品ページへ

     YAMAAN
    『12 Seasonal Music』

    2011年1月6日発売

    降神も所属するアーティスト集団、TempleATS から音楽家YAMAAN の1st アルバムが登場!日本の12ヶ月の季節の情景を12曲で表現した音楽絵巻!!ブレイクビーツ・アンビエント・ダブ・テクノ・・・様々な音楽的背景を感じさせる、と言うよりも様々なジャンルを縦断するかのようなサウンドは、ジャンル問わず音楽を偏愛する者の琴線に触れるはず。そして何より、このアルバム全体から放たれる見事なまでの美しさ。侘び寂びを感じさせる世界観。2011年最初にドロップされるドススメ盤!

    [収録曲]
    01. Dawn
    02. 旅する思い出 feat.なのるなもない
    03. Sprout
    04. Blossom (Chorus by CHIYORI)
    05. Grassland
    06. Rain
    07. Lightning
    08. Sea
    09. Higurashi
    10. Fallen Leaves
    11. Recollection
    12. Light Snow

    今月のドススメ YAMAAN


    無人島 俺の10枚 YAMAAN


Triune Gods
profile

Triune Gods(トライウンゴッズ)
志人(TempleATS/日本)、Bleubird (Endemik /アメリカ)、Scott Da Ros (Endemik /カナダ)の才気溢れる3者が海を越えて集結した。時に詩人とも評される志人とBleubirdが様々な感情を英語と日本語で表現し、その言葉をScottの繊細で深いビートがイマジネイティブに支える。それぞれが個別に活躍していた2000年代を経て2010年代-彼らは”三位一体の神”として動き出す。