無人島 〜俺の10枚〜 【MAS編】

2010年11月10日 (水)

無人島

無人島 〜俺の10枚〜 【MAS 編】

音楽好きには、超定番の企画“無人島 〜俺の10枚〜” !!なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらいます!ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別です!今回のお客様はMAS!

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MAS

MAS
緻密にプログラミングされたエレクトロニクス、複雑でありながらポップに響くメロディとリズムを重視した楽器アンサンブル、そしてダブが絡み合う独特のサウンドスケープを展開するバンド。
日本のエレクトロニカ黎明期を支えたレーベルflyrecより、ツジコノリコ・miroqueが参加した1st"turn"、降神参加の数曲とturnのリミックスを含む2nd"steppers+"の2枚のアルバムをリリース。それらは国内外で高く評価され、菊地成孔から「ジャズ・エレクトロニカの真の始まりを告げる傑作」と評される。
コラボレーションなども精力的に展開しBALLOONS, asana, pasadenaのリミックスを手がけたほか、現代美術作家ヤノベケンジの豊田市美術館、横須賀美術館でのインスタレーションやDVDにも参加。
ツジコノリコやtoto(suika)のプロデュースを手がけるヤマダタツヤ(Tyme.)をリーダーに気鋭の批評家/音楽家である大谷能生、ライヴシーンで話題を振りまくsgt.の成井幹子をメンバーに含む5人組。



えんけい / En Kei
『えんけい / En Kei』
11月10日発売


円径、遠景、、、点と点がつながる輪や線。彼方の景色。 Rock, Dub, Jazz, Electronicaを内包した音楽性でflyrecより2枚のアルバムをリリースしたMASの3rdアルバムが遂に完成。 格段に進化したサウンドそして様々な情景や感情をゆさぶる美しいメロディやリズムが踊る最高傑作。 アフロ・ダブを含みつつポップに響くTr.1、反復される旋律が恍惚へと誘うTr.2、ダブロックのNEWスタンダードと言えるTr.3、凄まじいまでの疾走感と美しさを誇るTr.6、Tr.7のエレクトロニックジャム、アバンギャルドに激しく駆け抜けるSAXとドラムのTr.8。疾走するリズムの上をサックス・バイオリン・電子音を中心としたアンサンブルがダイナミックかつ緻密に絡み合うMASでしかなし得ないサウンドスケープを展開。ゲストプレイヤーとしてpasadena/あらかじめ決められた恋人たちへの石本聡がdub mixで、BALLOONSの塩川剛志がギターで参加。ジャケットを手がけるのは創作漫画集団mashcomixメンバーでありMASの1st, 2ndと共に手がけてきた仙こと軍司匡寛。シンプルで複雑、ポップでアンチポップな全9曲収録。






MAS が選んだ10枚!

    01.Terry Riley / 『Poppy Nogood And The Phantom Band All Night Flight』

ヤマダ選は無人島みたいな状況の中で脳内で彩りを添える感じで選んでみました。 密室感と開放感は表裏一体な感じです。 1963年にNYで行われたテリー・ライリーのライヴ音源。 サックスとオルガンのリアルタイムループ、ミニマルでドローン。 一定の気温の中でじーっと波を見ているような音楽。 ボクはいつも一聴しただけで時間が消えて脳のスイッチが切り替わる感覚になります。 脳がジンワリと和むというか緩んで、どこにいても遠い景色を感じるし底の見えない深い谷なのか海なのかを見ている感じでもあったり…スゴいです。 MASでもかつて一度オマージュを捧げたライヴをしてみました。

ヤマダタツヤ(Guitar, Programming, Sound Design)

 

    02.Massive Attack vs. Mad Professor / 『No Protection』

これはもう説明不要かと思いますが、ボクはとにかく爆音でその空気を楽しんでます。 今だにこの音響に驚きや発見を見いだしてます。 これも脳がジワーンと…。 たき火を見ながら聴きたい。

ヤマダタツヤ(Guitar, Programming, Sound Design)
 

    03.小林大吾 / 『オーディオビジュアル』

1枚目のアルバムから大好きなんだけどこの3枚目はホントにマスターピース。ボク的に2010年のNO.1です。(11/1の時点で) シニカルぽい響きなんだけどユーモアと実はかなりのひた向きな熱ささがあります。 情景と音も完全にマッチしてて最強。 無人島で寂しい夜には小林大吾の語る物語を聴きたくてそこに尋ねに行くかのような感覚で聴くと思います。

ヤマダタツヤ(Guitar, Programming, Sound Design)
 

    04.Meredith Monk / 『Meredith Monk』

個人的な経験ではありますが、NYのホイットニー美術館で見たMeredith Monkのコンサートが素晴らし過ぎて、彼女の音を聴くとその時に感じた事や個人的な思いが溢れてきます。くじけそうな時でもこれを聴くと乗り越えられる。総勢30名ほどが入れ替わったり混ざり合ったりで繰り広げたパフォーマンス自体はもちろん圧巻だったんですが、その姿勢やメッセージに打たれました。 世界は美しくて強いな、と思わせてくれた特別な人そして音です。 どんな音楽でも(音楽じゃなくても)その人の経験や感情によって景色は色んなものに見えますよね。 コンサートの帰り道、冬のセントラルパークで見た月を無人島でも思い出して、またがんばる事だと思います。

ヤマダタツヤ(Guitar, Programming, Sound Design)
 

    05.Duke Ellington / 『Blanton - Webster Band』 ※廃盤

ベースにジミー・ブラントン、テナーにベン・ウェブスターを擁した最強1939−42年時代のエリントンのスタジオ録音を集めたもの。三枚組全66曲。これだけ持っていければいいです。

大谷能生(Sax)
 

    06.Lee Konitz & The Gerry Mulligan Quartet / 『Meets Mulligan』

モダンが聴きたいときはこれでなんとかなるかな。一九五〇年代初頭の切れ切れのリー・コニッツは本当にスゴイ。アンサンブルもソロも最高。西海岸ジャズの最終クール・アイテム。

大谷能生(Sax)
 

    07.Thelonious Monk / 『The Blue note years』

一曲ずつ楽曲分析していけば無人島でも一〇年は楽しめるかも。上記の三枚のCDはすべてSP盤をあとからコンパイルしたものなのですが、三分半ほどにまとめられているどの収録曲を切り出してオリジナル盤で持っていっても、A面B面ひっくりかえしていれば充分に無人島の一年は持つんじゃないかな。

大谷能生(Sax)
 

    08.Plastikman / 『music』

1994年頃にシリーズ化して何枚もこの名義でリリースしてたと思う。全部聴いた訳じゃ ないけど、このアルバムは大好き。今でも鮮度が落ちない。音数少なめで音の隙間で 表現してるカンジがかっこいい。全曲同じ質感でワンパターンな作り方なんだけどちゃ んと展開があって全然飽きない。今と比べるとかなりローテクな環境で作ってると思 うけど、全然ハイクオリティに聴こえます。

外間正巳(Bass, Trumpet)
 

    09.Water Melon / 『Field Trip』 ※廃盤

1999年の作品です。この時期いろんな名義で活動してて彼らの名前がクレジットされ てるリミックス盤とかは必ず購入してた。「サンプラーやシーケンサーなどのテクノ ロジーと生演奏の融合」(←超ダサイ言い方でスンマセン)みたいなのをずっと考え てた時期で、そういう手法の完成されたパターンだと解釈してます。でもハイセンス 過ぎて全く参考にはなりません。こういう「ほど良い」カンジつくるのってめちゃ難しい。シャーデーのメンバーが参加してるのも面白い。 違う観点でシャーデーもめちゃ好きです。

外間正巳(Bass, Trumpet)
 

    10.Ry Cooder/Manuel Galban / 『mambo sinuendo』

熟練したミュージシャンがリラックスした雰囲気で軽くちゃちゃっと録音したカンジ が想像できてすごくうらやましいです。部屋鳴りがガンガンかぶってるのも最高。 こんなレコーディングできたら死んでもいい。6曲目アルバムタイトル曲 御大herb alpertがtpで参加してるんだけど、すげえダサくて笑える。このアルバム2002年。ノ ラジョーンズより売れてチャート1位になったと記憶してる。アメリカ恐るべし。  カニエウエストとかジェイジーとかよりずっと良い。

外間正巳(Bass, Trumpet)