HMVインタビュー: agraph

2010年10月29日 (金)

interview

agraph

石野卓球のお墨付きアーティストとして2008年に1stアルバム『a day,phases』で鮮烈なデビューを果たした agraph。今回、約2年ぶりとなる待望の2ndアルバム『equal』を完成させたご本人にメール・インタビューで迫りました!ひとつひとつの質問にとても丁寧に答えてくれる真面目さと、気さくな人柄が伺えるナイスなインタビューとなりましたので、どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみください。

もしちょっと一人でぶらぶら散歩して、詩的な気分になることがある時は、是非今回のアルバムをお供にしてやって下さい。


--- まずはじめにセカンド・アルバムのリリースおめでとうございます!agraphさんをご存知ない方のために自己紹介をお願いします。

agraph: agraph、牛尾憲輔と申します。08年に一枚目の『a day,phases』をリリースしてから2年弱、ようやく2枚目を出せる事になりました。
agraphとしての活動以前は03年から電気グルーヴ/石野卓球さんの技術的なサポートスタッフをするようになり、その後DISCOTWINS、琉球ディスコなどの制作/ライブもお手伝いさせて頂きました。
…という経歴を書くとダンサブルな4つ打ちテクノと思われることが多いのですが、どちらかというと叙情的な感じの曲をやっております。

--- 今回のアルバムにコンセプトやテーマといったものはありますか?また、タイトル「equal」にはどんな意味が込められているのでしょうか?

agraph: 今回のコンセプトには、「静的なもの、均衡、等価」などが根源に あると思いまして、equalというタイトルになりました。…まだ制作の熱が冷めやらぬ、なのでコンセプトを客観的に分かりやすく説明するのが中々難しいです。

--- アルバムの制作期間はどのくらいで?曲は普段から作りためているタイプですか?

agraph: まるまる2年近くかかりました。筆が遅いんですね。普段からずっと曲は作っているのですが、作りためると言うより習作を重ねていくタイプです。なので曲の断片はたくさんありますが、曲として貯まっているものはほとんどありません。

--- アルバムの制作において、前作からの2年間で何か変わったと思う事や特に意識したことはありましたか?

agraph: 技術的な話になってしまいますが、高周波数帯域の 処理を意識しました。これによってキラキラした音を効果的に扱えるようになって…いればいいなぁと思います。

--- 今回のアルバムは砂原良徳さんがマスタリングを担当されてますよね。マスタリングを終えた作品を一番最初に聴いた時の感想は?

agraph: 端正になったなぁ!という感じでした。自分でも気づかないうちに、だらしなくなっていた帯域がシェイプアップされていました。砂原さんはこちらの意図までくみ取ったマスタリングをして下さったので、これにより世界観が補強されたように思います。
ちなみに、仮トラックを聞いて頂いたところ、キックが入って返ってくる、という珍事が起きました(笑)

--- 1曲目「Lib」のミックスを担当されたミトさん(クラムボン)や、その「Lib」のリミックスでクレジットされているAlva Notoさんはどのような経緯で参加される事になったのでしょうか。

agraph: ミトさん は篠原ともえさんの紹介でたまたまお会いしまして、趣味が一致したので一緒に遊びに行くようになりまして…。libは管楽器など生音を意識した部分があり、且つ聞きやすいポテンシャルを持っていたので、この両方をより研ぎ澄まして頂こう、とミトさんにお願いしました。ミトさんには音をひとつひとつ磨き上げていただきまして、大変満足しております。
Alva Notoさんは、たまたま知り合ったベルリン在住の日本人アーティストkyokaさんの仲介でお願いできました。昔から憧れの存在でしたし、あがってきたRemixのクオリティも素晴らしかったので、とても嬉しいです。

--- そもそも音楽制作をはじめたキッカケは?また、電気グルーヴなどのサポートをされているという経歴からすると、agraphさんの音楽性を多少意外に思う方も多いかと思うのですが、当初からずっとこのようなスタイルだったんですか?

agraph: 小学生の頃にaccessの浅倉大介さんを見て、音楽家になると決めました。制作を打ち込みで始めることはその時にもう決めていたと思います。その後、2000年頃の電気グルーヴ/石野卓球さんに憧れて、80sエレディスコみたいな曲を作っていました。が、石野さんに聞いて頂いたデモがあまり芳しくなかったので、「ああなりたい!」という憧れではなく、自分のやりたいことを嘘付かずにやろうと思い、現在のスタイルになりました。
契機になったのは『GatheringTraxx Vol.1』というコンピに収録されているcoloursという曲です。

--- 今までに影響を受けた音楽やアーティストについて教えていただけますか?

agraph: まず石野卓球さんには音楽に留まらず、人生最大の影響を受けました。他にもレイハラカミさん、坂本龍一さんにも影響を受けています。最近だとTrentemollerさん、APPARATさん、Kangding Rayさんあたりがベンチマークのひとつになっていると思います。今作に限って言えばSimeonTenHoltさんというオランダ人作曲家の響きに影響を受けています。

--- 普段はどのような音楽を聴いていらっしゃいますか?また、最近注目しているジャンルやアーティストがいれば教えてください。

agraph: テクノ〜エレクトロニカ近辺の電子音楽か近現代音楽を聴いています。最近はミルプラトーというレーベルが復活したので注目しています。あ、スティーヴライヒの新曲が出ているのでそれも聴かなくては!

--- では最後にこちらのページをご覧の方にメッセージをどうぞ。

agraph: もしちょっと一人でぶらぶら散歩して、詩的な気分になることがある時は、是非今回のアルバムをお供にしてやって下さい。いつもと違った視点を提供できる…と、いいなぁ…
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

新譜agraph / Equal
「石野卓球お墨付き」として話題の1stアルバムから2年、agraphこと牛尾憲輔の2ndアルバムが登場。クラムボン・ミトがミキシングを担当した楽曲や、alva noto(カールステン・ニコライ)によるRemix、 Bill Evans「Danny Boy」をサンプリングした楽曲などを収録し、前作からより深く緻密に進化した作品となっています。また本作では、砂原良徳がキャリア初のCDマスタリングを担当。こちらも要注目といえるでしょう。
profile

牛尾憲輔のソロユニット。
2003年、石野卓球との出会いから、電気グルーヴ、石野卓球、DISCO TWINS(DJ TASAKA+KAGAMI)などの制作、ライブでのサポートでキャリアを積む。
ソロアーティストとして、2007年に石野卓球のレーベル"PLATIK"よりリリースしたコンビレーションアルバム『GATHERING TRAXX VOL.1』にkensuke ushio名義で参加。
2008年12月にソロユニット"agraph"としてデビューアルバム『a day, phases』をリリース。
石野卓球をして「デビュー作にしてマスターピース」と言わしめたほどクオリティの高いチルアウトミュージックとして評価されている。
またWIREのサードエリアステージに07年から10年まで4年連続でLIVE出演を果たした他、2010年10月にはUnderworldのフロントアクトを務めた。

そして2010年11月3日、待望のセカンドアルバム「equal」のリリースを予定。
本作にはミト(クラムボン)が一曲mixを、alto nova(カールステン・ニコライ)がRemixを提供。
砂原良徳がキャリア初となるマスタリングを担当した。
またブックレットには本作とコンセプトを共有した円城塔による短編小説「equal」を収録する。

ハウス/クラブミュージック最新商品・チケット情報