Heaven Shall Burn インタビュー

2010年5月28日 (金)

interview

Heaven Shall Burn

Heaven Shall Burnスペシャル・インタビュー!


「夏フェスの季節到来! BLOODAXE FEST 2010 特集はもうチェックしましたか?
ここではBLOODAXE FESTIVALヘッドライナーのHeaven Shall Burnエクスクルーシブ・インタビューをお届けします。6thアルバム「INVICTUS」のコンセプト内容、ゲスト・ミュージシャン、さらにはメタル/ハードコア・アルバムのベスト3までを、ドラマーのMatthias Voigtが丁寧かつ真摯な言葉で応えてくれました。でわどうぞ!

interview : Dr Doom
DOOM PATROL FOUNDATION


---  「ICONOCLAST」、「BLIDERSTURM」と、今回の6枚目のフル・アルバム「INVICTUS」とで三部作となっているそうですが、簡単にコンセプトの内容を教えてもらえますか?

Matthias Voigt (ドラム/以下M) : 忘れ去られた英雄や伝説の人物、間違った偶像に関する疑問などについて語っているんだ。
一般的にIconoclasmは宗教的なシンボルや間違った神のイメージを破壊することを意味するんだけど、俺たちは、このコンセプトを少し違った意味で使っている。ただ宗教的なものだけじゃなくて、歴史的な神話やおとぎ話なんかに対しても疑問を持ってるんだ。

つまり、俺たちはみんなにすべてのことに疑問を持ってほしいと思ってるってこと。だから実際は3部作を通して、話が変化したり展開しているんじゃなくて、そのコンセプトに沿って色々な物語を伝えているということなんだ。

第一部は、試験的だった。こういうコンセプトが俺たちに合っているかどうか確かめたかったんだ。第二部は、以下にメディアが人々を操れるかを見せたかった。嘘のドキュメンタリーだからさ....。そして第三部では、またちがったストーリーについて語ってる。伝説や神話に対する疑問をね。

--- この三部作でアートワークも一環していると思います。これについても教えてください。

M : 実は俺たちはデザインには関係してないんだよね。でもこのアートワークを見ると誰もがこの3つのリリースが関連してるってことが分かると思うんだ。どのカバーも同じ色を使ってるからね。

--- DEADLOCKのSabine Weniger、Sebastian Reichlなどなど、ゲスト・ミュージシャンが参加してますね。どのような経緯で参加が決まったのでしょうか?

M : DEADLOCKとはもう古くからの友達なんだよ。だから彼女にお願いしたのは自然な流れだったんだ。
録った曲を彼女に送って、DEADLOCKのギタリスト、Sebastianのスタジオで作業は行われた。出来上がってから、その曲の彼女らが参加してるバージョンを送ってもらったんだけど、それがもうすごく良かったんだよね。

] この曲は安楽死と教会について語ってるんだけど、俺たちはさらにエモーショナルな曲にしたくて、そう思ったときにSabineの声がぴったり来ると思った。思いついたら、何でもやってみて形にするっていうのが俺たち流だからね。俺たちがどんどん新しいこともやるっていうことにも繋がってる。俺たちのサウンドとマッチすればね。

--- "Intro" と "Outro" を手がけてるアイスランド音響派の新鋭、Olafur Arnaldsは、メタル/ハードコアのファンの間ではあまり知られていません。彼のことを紹介してもらえますか? また彼とはどのようなきっかけで知り合ったのですか?

M : 俺たちは2002年に初めてアイスランドで演奏したんだけど、その時に彼に会った。彼は自分がドラムを叩いていたパンク・バンドのデモを俺たちくれたんだ。
音楽も良かったんだけど、そのイントロとアウトロの方にさらに惹かれたんだよね。

この音楽をどこで手に入れたか聞いたら、びっくりすることに彼が書いたって言うんだよ。そのとき彼は未だ17歳だったんだから。今や彼もCDを出してSIGUR ROSとツアーしたりしているから、彼自身の活動も上手く行ってるみたいだよ。

--- メタルとハードコアでそれぞれベスト3アルバムを挙げてもらえませんか? ぱっと思い浮かぶものでOKです。

M : メタルなら、METALLICA「MASTER OF PEPPETS」、SLAYER「SEASONS IN THE ABYSS」、DANZIG「HOW THE GOODS KILL」、ハードコアならINTEGRITY「THOSE WHO FEAR TOMORROW」、EARTH CRISIS「DESTROY THE MACHINES」、CRO-MAGS「THE AGE OF QUARREL」かな。

--- インタビューは以上です。ありがとうございます!
profile

■プロフィール
HEAVEN SHALL BURNは、1996年にドイツはザールフェルトで結成したメタル/ハードコア・バンドだ。デスメタルとハードコアの影響を受けたブルータル・サウンド、そしてヴィーガニズムの思想を含めたポリティカルな歌詞が彼らの持つ最も大きな特徴。『俺たちはBOLT THROWER、AT THE GATES、EARTH CRISIS、DAY OF SUFFERING、KREATOR、NAPALM DEATH、MERAUDER、DISMEMBER、PARADISE LOSTを同時に聴いてきた』と公言していることからも、彼らの影響源を知ることができる。
同郷のCALIBAN、MAROONと共に "ドイツの3大メタルコア" と括られることも多いのだが、CALIBANがメロディーを重んじるメタルコアに進化し、MAROONがメロディック・デス・サウンドへと傾倒していく中、彼らだけはストイックなまでに初期のブルータル路線を突き進んでいる。骨の随まで震わす冷徹なメロディーとブルータルなリフ、究極的にタイトなリズム、そして地獄の底から轟くかのようなスクリームこそがHEAVEN SHALL BURN節なのだ。

1998年にDEEDS OF REVOLUTION RECORDSから1st EP「IN BATTLE THERE IS NO LAW」、2000年にLIFEFORCE RECORDSより1stアルバム「ASUNDER」、同レーベルより盟友、CALIBANとのスプリット「THE SPLIT PROGRAM」、2002年には、2ndアルバム「WHATEVER IT MAY TAKE」をリリースする。その後、CENTURY MEDIA RECORDSへと移籍を果たし、2004年に3rdアルバム「ANTIGONE」、2006年に4thアルバム「DEAF TO OUR PRAYERS」、2008年に5thアルバム「ICONOCLAST」を発表。

ほぼ2年おきというコンスタントなペースで作品をリリースしており、2010年には6枚目のスタジオ・アルバム「INVICTUS」が完成。前作「ICONOCLAST」の続編であり、第2部がDVD作品「BLIDERSTURM」、そしてこの「INVICTUS」が第3部となる。
本作はMaikとAlexの2人のギタリストによるセルフ・プロデュースで、THE HAUNTED、AUGUST BURNS RED、DARK TRANQUILLITYらの作品を産み出したデンマークにあるTue MadsenのAntfarm Studioにて制作された。『Tue Madsenは俺たちのサウンドを理解している。よく知る人物と一緒に仕事をしていると、自分たちのサウンドをより一層引き出すことができるし、気楽に進歩していけるからね。そうじゃなかったら、アルバムをレコーディングする上で、毎回新しい人と取り組んでいくのは俺たちには向いてないよ』とギタリストのMaikは語る。

こうして完成した本作は、ブルータリティーをまったく損なうことなく、これまでにないほどメロディーを取り入れているのが印象的だ。非情なまでに攻撃的なパート、ドラマティックに響くパート、それぞれがお互いを引き立てている。さらにエレクトロを意欲的に導入した曲や、DEADLOCK女性ヴォーカリストのSabine Wenigerをゲスト・ヴォーカルにフィーチャーするなど、大幅なスケール・アップが施されており、6枚目のアルバムにしてバンド史上最高傑作を作り出したのは間違いない。

「ICONOCLAST」から本作までの三部作の、日の丸を彷彿させるアートワークからも察せられるように、HEAVEN SHALL BURNはかなりの親日家だ。これまでに2度の来日を経験しており、2005年に行われたINDEPENDENCE-D、2007年のBLOODAXE FESTIVALではヘッドライナーを務めている。そして待望の3度目の来日が、前回と同じくBLOODAXE FESTIVALでの堂々たるヘッドライン・ツアー。その鬼神の如き怒濤のライヴ・パフォーマンスが、今夏、日本に襲いかかる。