【インタビュー】FreeTEMPO

CLUB JAZZ STORE

2010年3月3日 (水)

interview

活動10周年目にして、その“FreeTEMPO”という名義に終止符を打つ半沢武志。
衝撃のデビュー盤『Love Affair』から3月10日に発売される『Life』まで、Clubミュージック愛好者で知らぬ者はなく、そしてJ-POPのフィールドにまで浸透し親しまれてきたこの名義に別れを告げる半沢さんの胸中とは…!? 新たに本名である“半沢武志”として動き出す今後の展望について、そして、まさにその分岐点となる2年半ぶりのオリジナル・フルアルバム『Life』について、お話を伺いました。




-- まず1番にお聞きしたいのが、今回のアルバムをもってFreeTEMPO名義での活動を終了するということですが、 どのような経緯・意図でそのような決断をなされたのでしょうか?

FreeTEMPO  満足できるものができたのと、FreeTEMPOとして表現できることを出しきった感もあり、同時にFreeTEMPOでは表現しきれない事も見えてきたので、新たな形でまた始めようと思いました。


-- 今回のアルバムはいつ頃から制作されたのでしょうか?また、その制作期間は?

FreeTEMPO  1年前ぐらいからです。1曲ずつマイペースで作ってました。


-- 今作には、いわゆるフロア向けのトラックではない楽曲が並んでいますが、これまでリスナーの方々が持っていたFreeTEMPOのイメージからすると、これはかなり劇的な変化だと思われます。 この辺りには意図的なモノ、または心境の変化などはあったのでしょうか?
昨年9月に発売されたカヴァーアルバムからの影響なども考えられますか?

FreeTEMPO  毎回思ってる事ですが、作品ごと、一曲ごとに様々なコンセプト、イメージで作りたいと思ってて、そのスタンスは崩さずに進めてきました。 最近バンドサウンドに凝っていたのもあり、今回はより生音を多く取り入れてみました。
見た目変わったように思う方もいらっしゃるかと思いますが、ヴァラエティさ、そしてそんな意外性も含め、根本的な「FreeTEMPOらしさ」をたっぷり詰め込んでいます。


-- ご自身の中で、フロアもしくはホームリスニング向けなどの住み分けがあるとすれば、楽曲制作のどの段階で意識されますか?

FreeTEMPO  まず住み分けを考えず制作に入りました。 単純に今聞きたい音、作りたい音を作ろうかなと思って進めました。 その後、バンドサウンド、打ち込み、ホームリスニング、ライブ等を考えつつ、全体の音のバランス調整をしていきました。


-- ある意味では、House的なお約束から開放され、アルバムトータルとしてもより自由度が高くカラフルな印象を放っていると思うと同時に、半沢さんの作り出すメロディーがFreeTEMPO楽曲の肝となっている、ということが改めて浮き彫りになったとも思いました。
メロディーを書いている時に重点を置いていることは何でしょうか?

FreeTEMPO  メロディはパッと思いついたものが一番良くて。。
あとメロディももちろん大事ですが、今回特にクラブミュージックの打ち込みとは違い、生音を加工したり一曲一曲の生ドラムの音のバリエーションを出すのが一番ポイントでした。 全部の曲に必ず入っている音なので。


-- 畠山美由紀さんをヴォーカルに迎えた「時代」などは、sadeやanita baker的なアーバン80'sな雰囲気を感じます。 その他の楽曲に関しても、AORやソウル、ソフトロックなど、これまで以上にはっきりとメロウな、かつバラエティ豊かなテイストが打ち出されていますが、その辺りは意識してアレンジされたのでしょうか?
また、そのような楽曲でご自身のライブラリにあるお気に入りの作品などがあればお聞かせ下さい。

FreeTEMPO  今までFreeTEMPOであまり表現していなかった部分なので、曲に盛り込みました。
Stephen Bishopの作品とか、最近の自分にフィットしてたので聴いてました。


-- ほとんどの楽曲の作詞もされているようですが、歌詞に対してはどのようなこだわりがあるのでしょうか?
何かイメージの元になるようなモノはあるのでしょうか?

FreeTEMPO  歌詞の文法とかはあまりこだわっていませんが、そのメロディに合う英語、日本語の音を楽曲に重ねる事に重点を置きました。 ある意味、歌詞も楽曲の中で鳴っている音のひとつでもあるので。
また、その手法はデビュー当時から続けていて、FreeTEMPOの音の表現のひとつでもありました。


-- 今回もゲストヴォーカルが数多く参加されていますが、人選や楽曲との組み合わせなどで留意された点はありますか?

FreeTEMPO  楽曲に合う方に歌っていただきたかったので、とても満足しています。


-- その中でも、10曲目「Time Machine」と本作のラストを飾る「My Song」という楽曲では、 “another side”という名義でご自身もヴォーカルを披露されています。
歌うことに関して、また、今回ご自身の歌を収録したことについてどのような思いがありますか?

FreeTEMPO  「Time Machine」と「My Song」に関しては特に思い入れがあったので。 「My Song」というだけあって、僕かなと。。 「Time Machine」に関しては、子供の頃からタイムマシンを作るのが夢で。。 音で表現する事しかできませんが...


-- 今後は本名“半沢武志”での活動になる、とのことですが、 これまでのFreeTEMPOとしての活動とはどのような面に違いが出てくるのでしょうか? 2008年には、半沢武志名義で映画『シャカリキ!』のサウンドトラックを手掛けていますが、 こちらとの関連性はあるのでしょうか?

FreeTEMPO  バンドをやってみたいと思っています。 半沢武志個人としてももちろんオリジナルやプロデュース、サウンドトラック等含め、 自分の音を追求していきたいと思っていますが、 今現在は自分の中にあるものより、バンド等いろんな人達としか作れない「未知の音」に興味を持っています。


-- バンド編成で活動する半沢さん…、大変興味がそそられます!!
現時点で決定している半沢武志名義を含めた活動予定があればお教え下さい。

FreeTEMPO  10周年ということもあり、集大成的にひとつ夏ぐらいにライブをやってみたいと思っています。 バンドのニュアンスも絡めながら、FreeTEMPOの「新旧」を表現できたらなと思っています。


-- 最後にリスナーの皆さんへメッセージをお願いします!

FreeTEMPO  これからも良いもの、おもしろいものを作り続けたいと思っていますので、応援よろしくお願いします!

-- ありがとうございました!




新譜 FreeTEMPO『 Life 』
美しいメロディーとエモーショナルなリズムを武器にシーンを切り開いてきたサウンドクリエイター・半沢武志によるソロプロジェクト“FreeTEMPO” の、約2年半ぶりとなるオリジナル・フルアルバムが完成。 今年で10周年を迎え、FreeTEMPO名義での活動に終止符を打つ今作は、“自分を歌にした”をコンセプトに自身の人生観を音楽で表現することに挑戦。 キーワードは「AOR、R&B、JAZZ、SOUL、ROCK、SOFTROCK…」。 打ち込み主体のスタイルはそのままに、生音の手触りを軸に様々な音楽ジャンルのエレメントを散りばめ心地よいPOP感が香る、現在進行形のFreeTEMPOサウンドを探求しています。 多種多様なサウンドスタイルに個性溢れる国内外のヴォーカリストが参加し、いわゆるClubサウンドとは一線を画すバラエティ溢れる作品に仕上がっています。




profile



FreeTEMPO
[Takeshi Hanzawa]

FreeTEMPO(フリーテンポ)は仙台を拠点に作曲等、音楽活動をしている半沢武志のソロプロジェクト。前作『SOUNDS』がオリコン20位をマークし、クラブ系アーティストの枠を越えPOP系アーティストとしても不動の地位を確立した。近年では09年7月メジャーデビュー果たした“SAWA”のインディーズ時代の1stミニアルバム『COLORS』のプロデュース、フジロック'08への出演、更に韓国での活動、映画音楽も手掛けるなど、ジャンルに縛られることなく活動のフィールドを大きく拡げている。