「この世界の片隅に」100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション

昭和20年、広島・呉。

わたしは ここで 生きている。

100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション

のん、すずさんに息を吹き込む。

主人公すずさんを演じるのは本作でアニメ映画初主演を果たす、女優・のん。やさしく、柔らかく、どこか懐かしい親しみを感じさせる声ですずさんに生命を吹き込んだ。少しぼーっとしたところのある、健気でかわいらしいすずさんはまさにイメージ通り。監督の片渕も「のんさんの声をマイクを通して聞いた時、何年も前から想像してきた声が、すずさんとなって現れた。のんさん以外のすずさんは考えられないと確信した」と絶賛。のんの声を得て、柔らかく息づき始めたすずさんに注目してほしい。
また周囲の人物たちの声を細谷佳正(北條周作役)、稲葉菜月(黒村晴美役)、尾身美詞(黒村径子役)、小野大輔(水原哲役)、潘めぐみ(浦野すみ役)、岩井七世(白木リン役)、牛山茂(北條円太郎役)、新谷真弓(北條サン役)が担当。アニメーション、実写映画、演劇、外画吹替えなどジャンルを問わずその人物の人間性を表現できる実力派が集められた。さらに松竹新喜劇の座長・澁谷天外も特別出演している。
本作の音楽はコトリンゴが担当。ナチュラルで柔らかい歌声と曲想が、すずさんの世界を優しく包みこむ。

原作:こうの史代

原作はこうの史代が描いたマンガ『この世界の片隅に』(双葉社刊)。「漫画アクション」連載時から注目を浴び、第13回メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。また「THE BEST MANGA2010 このマンガを読め!」第1位、「ダ・カーポ特別編集 最高の本!2010」マンガ部門第1位も獲得。
絵柄はシンプルでたおやか、登場人物もユーモラスで親しみやすいため入りやすいマンガであるが、実は綿密な下調べに裏打ちされた膨大な情報と、マンガ表現へのあくなき挑戦がさりげなく織り込まれている。例えば物語の内容とリンクさせ、実際に口紅を使って描いたページがあったりする。こうした挑戦的な創作姿勢と完成度の高い作品は、目の肥えたマンガ読者、プロの書店員、各界の表現者たちから熱い支持を得ている。本作以前に戦争(被爆)を描いた『夕凪の街 桜の国』は第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞と第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した。

リアルの追求で世界を息づかせる片渕須直監督作品

監督としてクリエイティブの指揮を執るのは片渕須直。前作となる『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)は観客の胸に深く刺さり、観客たちの声に後押しされる形でレイトショー上映、特集上映、野外上映会などが次々と企画され、異例の断続的ロングラン上映を達成した奇跡的な作品。観客をよほど深く感動させぬ限り、このような事象は起こらなかった。第14回文化庁メディア芸術祭では優秀賞も受賞した。この作品でも徹底した資料探求、現地調査を行い、舞台となる1955(昭和30)年とさらに1,000年前の山口県防府市の姿を丹念に描き出した。
その片渕がマンガ『この世界の片隅に』に出逢い、これこそ自分が映像化すべき作品と思い定める。ぼろぼろになるまで原作本を読み返し、集められるだけの資料をさぐり、現地に何度も足を運び、当時を知る方の話をうかがった。そこで得た確信をもって、丁寧にダイナミックにすずさんの生きた世界を色鮮やかに描き出す。観客は、作品に描かれているのは、今の私たちの毎日に連なる世界であることを強く実感することになるだろう。

「この映画が見たい」の声が100年先に伝えたい珠玉のアニメーションを生んだ。

本作は、作品の製作決定の前にクラウドファンディングによる支援者募集を敢行。日本全国から「この映画が見たい」という圧倒的な支持をいただき、制作が本格的に始まった。
観れば胸を突かれ、心揺さぶられ、涙をこぼす。だが涙の後は晴れやかな気分で、今日を、明日を生きる喜びをかみしめる。そして嬉しいとき、悲しいとき、辛いとき、様々な場面で何度となく観られ続け、そのたびに心の奥底を熱くする。『この世界の片隅に』は、そのように長く、深く、多くの人の心に火を灯し続ける珠玉のアニメーション映画として完成した。

【STORY】

 18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。良いも悪いも決められないまま話は進み、すずさんは広島から呉へお嫁に行くことになる。1944(昭和19)年2月のことだ。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄えていた。世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。
 夫の両親は優しく、よくやってくる義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。
隣保としてお付き合いすることなる知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。配給物資がだんだん減っていくという悪環境の中ではあるが、すずさんは工夫を凝らして食卓を賑あわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、日々の生活を積み重ねていく。
 ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱えていく。
 1945(昭和20)年3月。呉の日常は一瞬にして破られた。空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされたのだ。日本海軍の軍港のある呉は重要な攻撃目標なのであった。その後も空襲は繰り返され、義父の円太郎は消息不明になり、文官であった夫も軍人となるべく訓練を受けることになる。呉は危険が高まっていた。径子は幼い晴美を、婚家の両親が住む下関に疎開させようとする。だが・・・。
 空襲は続く。大切なものも風景も失ったすずさんであったが、毎日は続く。暮らし続けなくてはならない。実家の妹・すみがすずさんの様子を見に現れ、広島に帰ろうと勧める。
激しく迷うすずさん。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

全国拡大上映中!

【声の出演・スタッフ】
のん
細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂、新谷真弓、澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊)
監督・脚本:片渕須直  
音楽:コトリンゴ
配給:東京テアトル
Ⓒ こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

<映画「この世界の片隅に」公式サイト>
http://konosekai.jp/


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