クワイエット・コーナーを探して・・・

実は今回Quiet Cornerが10号目を迎えた。カルロス・アギーレが表紙を飾った1号目から数えて約2年半、それまで編集など一切したことがなかった自分が、なんとかここまで発行できたのも、ひとえに毎号楽しみに待っていてくださる読者の皆様と、いつも無理なリクエストに応えて素晴らしい原稿を書いてくださる執筆者の方々、そして心を穏やかに鎮める音楽を届けてくれる(または残してくれた)音楽家たちのおかげであり、この場を借りて感謝を申し上げたい。いつも本当にありがとうございます。学生の頃は、今のようにインターネットで情報を集めることができなかったので、沢山の音楽が紹介されたフリーペーパーやディスクガイドをいつも鞄の中に入れては読みふけていた。知っている作品が載っていれば嬉しくて、知らない作品が載っていれば聴きたくなった。そういえば以前、知人から「Quiet Cornerをまとめて持ち歩いてる」と聞いて嬉しかったことがあるが、同時に恥ずかしくもなった。まるで自分の部屋を覗かれているような気分だったからだ。けれど趣味の合う人のレコードやCDのコレクションを覗き見することは楽しい。カルロス・ニーニョの隣にサン・ラやブライアン・イーノが並んでいたら、きっとすぐにその人と仲良くなれるだろう。もしかしたら、このQuiet Cornerも音楽を紹介するというよりも、共感したいという気持ちの方が強いのかもしれない。そう、自分には編集者なんて大それた肩書きは似合わないから、これからも良きリスナーとして作っていければと思う。