【澤野工房】ジャン・フィリップ・ヴィレ『Les Idees Heureuses』 エドゥアール・フェルレ『Think Bach Op.2』


ご購入はこちら

澤野工房からジャン・フィリップ・ヴィレ、エドゥアール・フェルレ新録2タイトル


ヨーロッパをはじめ、アメリカ、日本のモダンジャズの中から優れた音源のみを厳選リリースしている名レーベル 澤野工房の4月最新リリースは、クラシックとジャズで名声を博するベース名手ジャン・フィリップ・ヴィレ、そのヴィレのトリオで活躍する人気ピアニスト、エドゥアール・フェルレの2タイトル。

*  *  *

ジャン・フィリップ・ヴィレの独創的なセンスが別次元に誘う。幾重にも艶めかしく折り重なった音粒はベルベットのよう。言葉では言い表せない世界観は、もはや芸術である。

ジャズ、クラシック両方で活躍する現代最高のフランス人ベーシスト、ジャン・フィリップ・ヴィレ。彼が奏でるコントラ・バスの音の多彩さは、まさに究極である。特筆すべきはその作曲センスにおける独創性だ。ヴィレの脳内から湧出した美しいメロディーが、ヴァイオリン、アルト・ヴァイオリン、ヴァイオリンチェロといったそれぞれの帯域の弦楽器から放たれ、幾重にも艶めかしく折り重なった音粒はベルベットのよう。もはや芸術である。

かのヴァイオリンの巨匠、ステファン・グラッペリのバンドに1989年から97年までレギュラー・ベーシストであったヴィレ。書く曲もやはり高域のヴァイオリンにスポットがあたるが、次の音程を受け持つアルトも、なかなか目を見張るのがある。ちなみにアルトとはヴィオラとの表記が一般的だが、フランス語表記のスコアの場合ヴィオラをアルトとするとのこと。聴きどころ満載の本作品においても、各トラックの要所要所で聴けるアルトの奏でる繊細かつ大胆な音色の響きは白眉である。アルトを演奏するデイヴィッド・ガヤルド、要チェックだ。ランボルギーニを連想すれば覚えることができる。

ヴィレ・トリオのピアニストであるエドアール・フェルレが主宰するレーベル、Mélisseから、同メンバー編成で「SUPPLEMENT D'AME」を2012年に発表している。そのときに聴いた衝撃は忘れ難く、いまだに興奮醒めやらないままであったから、この作品はマジで嬉しい。

(Text by 前泊正人)
   

『Les Idées Heureuses』収録曲


01. L'idée Qu'on S'en Fait
02. L'an Tendre
03. En Un Mot Commençant
04. La Muse Plantine
05. Peine Perdue
06. Contre Toute Attente
07. Docile
08. Jour Après Jour
09. Tocs Et Tics Et Chocs

Jean-Philippe Viret (contrabass)
Sébastien Surel (violin)
Eric-Maria Couturier (violincello)
David Gaillard (viola)


バッハをテーマにしたソロ・アルバム「THINK BACH」の第2章。即興演奏の原点に立ち戻り、敬愛するバッハを新解釈した現代音楽。その芸術性はジャズやクラシックの領域をも超越する。

ヨハン・セバスティアン・バッハが生きた時代、彼は、作曲家というより、「即興演奏家」として名声を博した。仏の気鋭ピアニスト、エドゥアール・フェルレの『Think Bach Op.2』は、当時ごく一般的だった即興演奏の原点に立ち戻ったアルバムなのかもしれない。『Think Bach』を英語読みすれば『Think Back(振り返って考える)』なのだから。

各曲に付いたサブタイトルには、演奏者の想いが宿る。例えばラストの「Prelude in C major」は、バッハのゴースト・ライターと言われながら、影の存在に留まった妻〈ミス・マグダレーナ〉へのトリビュートだ。

それぞれ趣向を凝らしたトラックからは、可愛い!と思うほど無垢なバッハ愛がシャンパンの泡のようにフツフツ湧き上がる。前作の『Think Bach』が内省的なムードを漂わせるのに対し、本作は、例の白いカツラを脱ぎ捨てたバッハがジーンズ姿でパリの街を闊歩しているような驚きと楽しさが一杯だ。

バッハを現代に飛翔させるためなら、フェルレは手段を選ばない。カリプソ・リズムや変拍子、コンピューターを駆使して原曲をデフォルメするし、ピアノ弦をマレットや弓でダイレクトに鳴らす荒技だって厭わない。でも、「わざとらしさ」や「いやらしさ」は感じない。フェルレは古楽器を演奏するし、バロック全般への造詣の深さが根底にある冒険だからだ。美しいピアノ・タッチと絶妙なペダル使い、それは楽器と音楽に対する真摯な姿勢を物語っている。

フェルレ自身はこう語る。―「失敗を恐れ、音楽の殻に閉じこもるのは嫌だ。音楽を愛するからこそ、その扉は大きく開けておきたい。」その言葉通り、開け放たれた扉から吹き込む風が心地よいアルバムだ。

(Text by 寺井珠重)
   

『Think Bach Op.2』収録曲


01. Oves
02. Anthèse
03. Mind The Gap
04. Et Si
05. Et Si Vollbracht
06. Les Bacchantes
07. Mécanique Organique
08. Concerto No. 5 In F Minor
09. Crazy B
10. Miss Magdalena

Édouard Ferlet (piano)



関連商品情報

澤野工房レーベル最新リリース 
ヨーロッパをはじめ、アメリカ、日本のモダンジャズの中から優れた音源のみを厳選してリリースしている名レーベル「澤野工房」の最新リリースとカタログ作品をご紹介。
25件中 1-25件を表示
※表示のポイント倍率は、ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

チェックした商品をまとめて

チェックした商品をまとめて