「僕は僕を聴き続けてくれた人に逢って話したくなった。それは自分に逢うかのように」。松原正樹 最後のメッセージ。盟友たちが寄り添ったラストアルバム

多くの著名なアーティストからも多大な支持を受けてきたギタリスト松原正樹2016年2月8日、61歳で旅立ちました。松原正樹が生前に残した幻の未発表曲・デモトラックのギターパートを元に、長年松原とともに過ごして来た盟友たちとレコーディングいたしました。松原の奏でるギターに見事なまでに寄り添うメンバーたちのサウンドは、松原の吐息までも感じさせてくれます。松原が生涯を通して愛し続けた音楽と松原が伝え続けてきた音楽の持つ力。最後のメッセージを受け取ってください。

南部昌江よりコメント
ずっと二人三脚で音楽制作してきて突然パートナーを失ってしまった私ですが、このレコーディングによって確かに一歩前に進むことが出来たように思います。それも松原が見守ってくれている証なんだと感じています。松原正樹ワールドを楽しんでいただけたら幸いです。松原のパソコンに、55歳の時に書いたこんな言葉が残されていました。

***30年以上ギター弾きをやってきた男にとって、自分を残したいという気持ちはまるでなかった。あるのは、自分がちゃんと成り立っていたのか?という疑問だった。僕は僕を聴き続けてくれた人に逢って話したくなった。それは自分に逢うかのように。***

収録曲

01. 誓いのダンス
02. 遠来の友
03. 旅立ちの日
04. 螺旋階段
05. アイドルは君だ
06. さすらいの街灯り
07. 黄昏の三方五湖
08. 危ない夜
09. 縄張り
10. 約束

All Guitar : 松原正樹
Bass : 高水健二 岡沢章 入江太郎
Drums : 村上ポンタ秀一 島村英二 石川雅春
Percussion : 斉藤ノヴ
Keyboards : 南部昌江
Piano : 加藤実
Blues harp : 八木のぶお
Saxophone : 春名正治
Trumpet ＆ Flugelhorn : 鈴木正則
Trombone : 佐野聡

松原正樹

1954年、福井県武生市に生まれる。
生家は、ハイカラだった祖父が始めた、ダンスフロアーを持つBarを営んでいた。父と母が踊る姿と様々な音楽に、幼少の頃から触れて育つ。
ごく自然に音楽が好きになり、ハーモニカやリコーダーを経て、中学でブラスバンド部に入る。サックスをやりたかったのだが、むずかしく人気のなかった、トロンボーンをやらされる事になる。だが、これにハマり、その頃はトロンボーンのプロになりたいと思ったほどだ。そして中2の夏、実家の店で働いていた青年が弾くギターに憧れ、彼に教えてもらうようになる。これがギターとの出会い。これにもハマった。

高校に進学してからは、勉強そっちのけでBANDをつくり、１年365日のうち350日も練習していた。当然プロになりたいと思うようになるが、どうしたらギターのプロになれるのか分からず、ある音楽雑誌で見た合歓音楽院を受験してみる。見事、合格。そこで全国からやってきたさまざまな生徒、先生達に刺激を受ける。そして、先生の助言により半年後には上京し、米軍キャンプなどで演奏を始める。

74年、ハイ・ファイ・セットに参加し、全国ツアー、TV出演等約2年間活動。同じ頃、上田正樹のプッシュ＆プルにも加わり活動。当時の歌番組は生演奏だったので、ギター・プレイを聞いたレコード会社のプロデューサー達にレコーディングに呼ばれるようになる。その後、スタジオワークを中心に、数多くのレコーディングセッションに参加してきた。
そのセッション活動の幅は、松任谷由実、松山千春、さだまさし、辛島美登里、徳永英明、岡村孝子、永井真理子等、シンガーソングライターから、アイドル系の松田聖子、中森明菜、小泉 今日子、光GENJI等をはじめ、日本のアーティストの殆どに関わると言っても過言ではない。現在までにレコーディングに参加した曲は、優に一万曲を超えるであろう。

自己の活動としては、78年に初のソロアルバムを発表以来、12枚のソロアルバムと3枚のベストアルバムをリリース。ソロ活動の他にも80年からパラシュートを結成し、4枚のアルバムを発表。当時の若者に絶大なる支持を得る。その後もAKA-GUY,TRIFORCE,ON-DO、と続けてプロジェクトを組み、アルバムを発表。

スタジオミュージシャンとして超多忙だった80年代の始め頃より、自宅にレコーディングスタジオを持ち、音楽に関わる様々な機材や録音のノウハウにも、積極的に取り組んできた。 心に届く音作りをいつも心掛け、最近では他のアーティストのサウンドプロデュースなども積極的に行なっている。