サムシンエルス・レーベル記念すべき第一回新譜。「スーパーブルー」はNYの俊英を集めた8人編成のドリーム・バンドで当時18歳だったロイ・ハーグローヴがフィーチュアされている。バンド・リーダー、ドン・シックラーのアレンジに乗ってBNの名曲「オープン・セサミ」を5管の圧倒的なアンサンブルで聴かせる。バックを務めるマルグリュー・ミラー・トリオも好演。

才能ある若きドラマーが90年代に向けて発信した野心的傑作。冒頭の「エネミー・ウィズイン」以下エキサイティングかつメロディックな収録曲は一曲を除いて全てラルフのオリジナル。当時NYタイムスが全ジャンルの年間ベスト10に選出するなど、サムシンエルスの初期を代表する作品となった。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞金賞＆録音賞受賞作品(1988年)。

ギル・エヴァンス・オーケストラ、プーレン＝アダムス双頭コンボでも活躍したジョージ・アダムスはMt.Fujiジャズ・フェスティヴァルの人気者だった。本作では豪快でフリーキーなテナー奏者だったアダムスが、「明日に架ける橋」「この素晴らしき世界」といったナンバーを深い音色でたっぷりと歌い上げている。

驚異の新進ドラマー、ラルフ・ピーターソン第2作は、ジェリ・アレン、エシエット・オコン・エシエットを従えたピアノ・トリオ編成。ハード・ドライヴィングながらメロディックな音づくりで「ベムシャ・スイング」「ムーヴ」といったナンバーからオリジナル作品まで躍動的に演奏。

若手女性ピアニストとして注目を浴びていたリニー・ロスネスの初リーダー作。ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、ブランフォード・マルサリスなど豪華メンバーがゲスト参加。伝統的なスタイルにのっとりながら、しなやかな感性で新しいスタイルを作り上げた彼女の才媛ぶりが窺える。

大ヒットした前作『ナイチンゲール』続編。「星条旗」「テネシー・ワルツ」「わが心のジョージア」などアメリカをテーマにした選曲で情感溢れるソロを繰り広げる。随所で光るヒュー・ロウソンのピアノもいい。アダムスは数曲で味のあるヴォーカルを披露。

ブラジル出身の人気ピアニスト、イリアーヌが、初めて本格的にボサノヴァの父アントニオ・カルロス・ジョビンの作品を取り上げたアルバム。冒頭の「三月の雨」の美しいメロディーから、ちょっとジャジーなテイストを持つ「おいしい水」へ溶けていくようなアレンジが素晴らしい。

ジャック・デジョネット、サムシンエルス移籍第1弾。グレッグ・オズビー、ゲイリー・トーマスをフロントに並べた第4次スペシャル・エディションによる傑作。“大地の音＝アース・ビート”を歌い上げる雄大なアルバムでクインテットとは思えない大きなサウンド作りに耳を奪われる。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞金賞＆録音賞受賞作品(1991年)。

バークリーを終了しNYから帰国した大西順子が世に問うたデビュー作。中低音を強靭なタッチで鳴らすオープニングの「ジャングラー」から刺激的な演奏が続く。ダイナミックにスイングするピアノは強力無比で聴く者のボルテージを上げてくれる。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞日本ジャズ賞受賞作品(1993年)。

キューバのレギュラー・カルットを率いて複雑なキューバン・リズムを自在に繰り、猛スピードのフレーズを紡ぎ出していく次元の高いゴンサロ・ミュージックがギッシリと詰まった傑作。本作は本人の米上陸無しにグラミー賞にもノミネートされて話題になった。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞金賞受賞作品(1993年)。

60年代キース・ジャレットを含む自己のグループで活躍し、その後ビーチボーイズのサポートなどを務めていたチャールス・ロイドは80年代初頭、天才ミシェル・ペトルチアーニをパートナーに迎えた新生カルテットで本格的にジャズ界へ復帰。本作は同バンドが83年コペンハーゲン・ジャズ・フェスティヴァルに残した実況録音盤。

1956年にBNでデビューを飾った名ギタリスト、ケニー・バレルとフュージョン界の大スター、グローヴァー・ワシントンJr.の異色の顔合わせ。ブルージーなブルースからラテン・タッチのナンバーまでスリリングで快調な競演が続く。ロン・カーター〜ジャック・デジョネットのリズム陣も好演。

“ザ・マン”タレンタインがCTIを経て新生BNに復帰した第1作。ジョージ・ベンソン、ジミー・スミス、ロン・カーターら豪華なメンバーを従えてストレート・アヘッドな演奏を繰り広げる。タイトル・ナンバーはキャッチーなメロディーを持つ哀愁の名曲。

旧BNに多くの名作を残してきたマッコイ・タイナーとジャッキー・マクリーンの顔合わせによる快作。「ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート」での共演が評判となって本作が企画された。収録のほとんどはマッコイのオリジナル。強力な個性がぶつかりあって刺激的なジャズが生み出されている。

新生BNがオーディションで発掘した20代前半のNY若手ミュージシャンによって結成されたOTB(アウト・オブ・ザ・ブルー)のデビュー盤。ケニー・ギャレット、ボブ・ハースト、ラルフ・ピーターソンといったミュージシャンが名を連ねている。全曲メンバーのオリジナルで構成されている。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞銀賞受賞作品(1985年)。

「シスター・シェリル」「ライフ・イズ・ア・パーティ」など80年代最高の名曲を生んだトニー・ウィリアムスの新生BN復活第一作。ロン・カーター、マルグリュー・ミラー、ボビー・ハッチャーソン、ウォレス・ルーニー、ドナルド・ハリソンという新旧の豪華メンバーがトニーの叩き出す心地良いリズムに乗って素晴らしい演奏を繰り広げている。

60年代BNに多くの録音を残した名テナー奏者による85年NYのヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音その1。ジョー・ヘン、ロン・カーター、アル・フォスターによるピアノ・レス・トリオでの演奏。自作『インナーアージ』(4189)に収録されている「アイソトープ」の再演の他、サム・リヴァースの「ベアトリス」などを収録。

60年代BNに多くの録音を残した名テナー奏者による85年NYのヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音その2。ジョー・ヘン、ロン・カーター、アル・フォスターによるピアノ・レス・トリオでの演奏。自作の他、モンク、ミンガス、ホレス・シルヴァーといったジャズメンの楽曲を収録。

フレディ・ハバード、ウディ・ショウによるBNゆかりのトランペッターたちの作品集。各楽曲はクリフォード・ブラウン、リー・モーガン、ケニー・ドーハム、ファッツ・ナヴァロ、ブッカー・リトルらに捧げられた。「月の砂漠」「ロータム・ブロッサム」などを収録。

第2回Mt.Fujiジャズ・フェスティヴァルで本作から「ソング・フロム・ジ・オールド・カントリー」を演奏して満場の喝采を浴びたプーレン＝アダムス。同曲はフェスの一方のテーマ曲となりアルバムも人気を博した。翌年発表した『永遠の歌（Song Everlasting）』を経て2人は別々に単独のリーダー作をBNとサムシンエルスに録音していく。

恩師でもある亡きビ・バップの巨人ディジー・ガレスピーに捧げたピアノ・トリオ・アルバム。彼が愛奏した「ドナ・リー」「チュニジアの夜」といった楽曲にラテン的な彩色をほどこした演奏を聴かせている。共演のロン・カーターもアグレッシヴなウォーキング・ベースでゴンサロをしっかりとサポートする。

初めてドラムレスのベース・トリオでスタンダードに取り組んだ作品。名ギタリスト、ハーブ・エリスとロンとは親交の深いピアニスト、ケニー・バロンが参加。ハーブとロンは初共演。「サマータイム」「マイ・ロマンス」といったおなじみのナンバーで3人の絶妙のコンビネーションによる至芸が堪能できる。

“キング・オブ・ハモンド”ジミー・スミスがケニー・バレルを従えたオルガン・トリオで行った大阪公演の実況録音盤。「ザ・キャット」「アイ・ガット・マイ・モジョ・ウォーキン」といった大ヒット・ナンバーやホレス・シルヴァーの「ザ・プリーチャー」などをファンキー＆グルーヴィーに演奏。

ブルーノートの名曲を新旧の人気アーティストたちが新解釈でカヴァーした企画盤。プロデューサーはブルーノート通としても知られるアレンジャー、ボブ・ベルデン。収録曲はダイアン・リーヴスが爽やかに歌う「処女航海」、ヒップホップに挑戦したフレディ・ハバードと大西順子をフィーチャーした「アリゲーター・ブギ（アリゲイター・ブーガルー）」など。ストレート・ジャズからヒップホップまで音の万華鏡といった内容で楽しめる。

伝説的スーパー・バンド日野＝菊地クインテット27年ぶりの復活作。菊地のオリジナルに日野のトランペットが加わってバンド・サウンドへと変身していく。サイドを固めるのはグレッグ・オズビー、ジェームス・ジナス、ビリー・キルソンというアメリカ陣。タイトなドラムスと回転するベースがタイトルを連想させる独特のグルーヴを生む。スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞金賞受賞(1995年)。

昨年映画「情熱のピアニズム」が話題となった夭折の天才ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニが巨匠ジム・ホール、ウェイン・ショーターと共演した1986年モントルー・ジャズ・フェスティヴァルにおける傑作ライヴ盤。互いに触発し合いながら素晴らしい即興演奏を繰り広げている。

グラミー賞を数回受賞した実力派シンガー、ダイアン・リーヴスのBN契約第一作。オープニングを飾るラテン・フュージョン・グループ、カルデラのヒット曲「スカイ・アイランド」がオススメ。3オクターヴの声域を見事にコントロールして伸びやかに歌っている。ハービー・ハンコックのオリジナルを2曲収録。彼自身も録音に参加。

旧BN時代にもたびたび共演しているボビー・ハッチャーソンが参加したアンドリュー・ヒルの新生BN復帰第一作。若きグレッグ・オズビーも加わってスリリングなプレイを展開。親しみやすいメロディーを持つ哀愁のラテン・ナンバー「サンバ・ラスタ」がいい。

新生BNに立て続けにメインストリーム・ジャズを発表してきたトニー・ウィリアムスの第4作。不動のレギュラー・メンバーによる成熟したバンド・サウンドを聴かせている。全曲トニーのオリジナル。洗練されたメロディーの「シティ・オブ・ライツ」、ファンキーな雰囲気を持つ「ジューシ・フルーツ」などの佳曲が並ぶ。

ロック界のスーパースター、スティングのナンバーをブルーノート・オールスターズがカヴァー。ダイアン・リーヴスがハイ・テンションに歌う「アラウンド・ユア・フィンガー」、レイジーなフィル・ペリーのヴォーカルをフィーチュアした「シスター・ムーン」など耳に残る名演揃い。

大西順子をフィーチュアしたジャッキー・マクリーン、サムシンエルス移籍第一弾。彼女は「リトル・メロネエ」「レフト・アローン」といったマクリーンの代表曲に対して奔放なアプローチで応えている。彼女の底知れない才能の豊かさに驚かされる。

スーパー・プロデューサー、ボブ・ベルデンによる女性ヴォーカルをフィーチュアしたビートルズ・カヴァー集。「カム・トゥゲザー」でダイアン・リーヴスとカサンドラ・ウィルソンがデュエットしている。ホリー・コールも2曲参加。

若手ピアニスト、スティーヴン・スコットを迎えたレギュラー・バンドによる名スタンダード集。「あなたと夜と音楽と」「いつか王子様が」といったナンバーが優雅にスイングしている。古巣RVGスタジオでお客なしのライヴ録音というアイディアが親密な空間を作り出している。ジャケット撮影は巨匠ウィリアム・クラクストン。

『風はジョビンのように』と対をなすシングス・ジョビン集。『風は〜』で初めてヴォーカルを披露した彼女はその後歌手としても活躍しているが、本作は記念すべき初の全曲ヴォーカル・アルバム。マイケル・ブレッカーがゲスト参加している。98年発売当時「ザ・コンチネンタル」がTVCMに使われたことでも話題になった。

アルトの王者フィル・ウッズと大西順子が共演したワン・ホーン・アルバム。艶やかな音色で自由奔放かつ加速するフレージングを見せるウッズに対し、一歩もひかずハードで手ごたえあるピアノで応える大西がいい。プレステッジの名作『ウォーム・ウッズ』に引っかけたタイトルだが演奏は“ホット・ウッズ”。

ハードバップの正統派ピアニストとして活躍するベニー・グリーンのBNデビュー盤。ブロックコードを多用した「ダット・デア」のアクの強いプレイは印象的。いかにもジャズ・メッセンジャーズ出身らしい。他にもモンク、バド・パウエル等先人たちの楽曲を迫力ある演奏で聴かせる。

ボビー・マクファーリン、チック・コリアというスーパースターの出会いが生んだ最高にドラマティックなライヴ盤。ここには名人同士が織りなす素晴らしい瞬間芸術が納められている。名曲「スペイン」のスリリングなかけあいに息を飲む。

夭折の天才ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのコンポーザーとしての魅力がギッシリ詰まった人気盤。哀愁を帯びたピアノのイントロで始まる「セプテンバー・セカンド」の美しさは感動的。アンソニー・ジャクソン、オマー・ハキムらが加わったコンテンポラリーなサウンドは心地良く聴ける。

BN移籍第一弾。自身のキャリアの原点、フォークやブルースに立ち戻った選曲とアプローチで彼女の音楽的資質が一気に花開くことになった記念すべきアルバム。ロバート・ジョンソン、ジョニ・ミッチェル、ヴァン・モリソンらのナンバーを自分の世界に溶け込ませてしまう歌の魔力が圧倒的。

前作『ブルーライト〜』のアプローチをさらに押し広げたカサンドラの代表作にしてジャズ・ヴォーカル史上に残る歴史的名盤。ここではU2やモンキーズもカサンドラの世界になってしまう。とりわけ冒頭の「奇妙な果実」は今聴いても衝撃的。彼女の個性を100%引き出したクレイグ・ストリートのプロデュースも見事。カサンドラは本作でグラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカル賞受賞。