まさに『Out to Lunch』の前哨戦〜 エリック・ドルフィー 1963年未発表スタジオセッション音源が世界初登場

エリック・ドルフィー Musical Prophet: The Expanded 1963 New York Studio Sessions

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今なお前人未到ともいえる革新的なアーティスト エリック・ドルフィー 欧州楽旅出発前に友人に託した1963年における膨大な未発表スタジオセッション音源が世界初登場


ジャズ史において、もっとも革新的な演奏家の一人としてその名を刻むマルチリード奏者、エリック・ドルフィー。2013年の『ミューゼス』以来、またワールドワイドな発表としては1999年にリリースされた『イリノイ・コンサート』以来、19年ぶりの未発表音源がResonanceから登場します。

本音源は、1964年にチャールズ・ミンガスとの演奏のためにエリック・ドルフィーがヨーロッパに発つ前に、親しい友人夫妻(Hale and Juanita Smith)に託していったスーツケースの中に収蔵されていたもの。

ドルフィーがベルリンで客死してしまったため、のちにスーツケースを開いたところ、実に7時間半にも及ぶ音源のテープを発見。そのテープは80年代にジェームズ・ニュートンの手に渡り、一部の音源が、異色の未発表音楽集『Other Aspects』としてブルーノートでリリースされましたが、本作はその音源の中の推測5,6時間あったとされる63年のアラン・ダグラスのセッションを中心に作品化しています。

アラン・ダグラスがプロデュースしたドルフィー1963年7月のレコーディングは、まずFM Recordsから『Conversations』という名のアルバムで4曲がリリースされ、後にダグラス自身のレーベルDouglasから『Iron Man』というタイトルの5曲入りアルバムもリリース。

それらは、ジャズ史上の永遠の名作『Out to Lunch』(64年2月25日録音) とスタイル的に共通項も多く、歴史的に前哨戦的な意味も持つと言われている貴重音源。つまり、未発表を加えたこのリリースは、63年時点のドルフィーを語るものであるのはもちろんのこと、名作『Out to Lunch』制作の秘密を解き明かす意味を持っているといっても過言ではありません。


エリック・ドルフィー Musical Prophet: The Expanded 1963 New York Studio Sessions


作品を手がけたゼヴ・フェルドマンによれば、7時間半の記録は二つとして同じものがなく、テンポやフレーズなど、全てが違い、エリック・ドルフィーの入念な試みが見られたとのこと。今回は、その全てを、ジェームズ・ニュートンとともに聴きこみ、究極のテイクを選んだ末のセレクションといいます。

今なお、前人未踏ともいえるほどの自由な音楽を聴かせると共に、緻密さも持っていたエリック・ドルフィー。『Out to Lunch』において、ドルフィーは綿密な構想を描き、リハーサルを重ねて、スタジオに入ったとも語られていますが、この新たな発見からは、究極の表現を追究する姿が生々しく蘇ります。

ウディ・ショウやプリンス・ラシャ、ソニー・シモンズなどの加わった管のアンサンブルと、ボビー・ハッチャーソンの鋭角的なヴィブラフォンの響きに、縦横無尽で、軽やかに跳躍するように大きな振り幅をもって繰り出されるドルフィーのソロ、また各人のソロも聴きものです。加えてリチャード・デイヴィスとのデュオもたっぷり収録。2人の親密かつディープな会話があります。

Disc2のラストには、『Other Aspects』収録の「Jim Crow : A Personal Statement」の未発表別テイクも特別収録。本音源は、アラン・ダグラスのセッションとは関係がないものですが、同じスーツケースに入っていた貴重音源としてボーナストラックとして収録。音源は正しくは64年3月に録音されたと判明。つまり、『Out to Lunch』の直後の録音。このテイクには時代に先行したシリアスな前衛的音楽が展開されています。

どこまでも自由で創造的であったドルフィーの音楽的探求の歴史が明らかになる歴史的復刻。Resonanceも最重要の作品ととらえ、今回も24本の文章、未発表写真なども収めた豪華パッケージで登場します。


Musical Prophet: The Expanded 1963 New York Studio Sessions

収録曲
CD1
Conversations

01. Jitterbug Waltz (7:18)
02. Music Matador (9:37)
03. Love Me (3:22)
04. Alone Together (13:36)
05. Muses for Richard Davis (Previously Unissued 1) (7:39) *
06. Muses for Richard Davis (Previously Unissued 2) (8:31) *

CD2
Iron Man

01. Iron Man (9:14)
02. Mandrake (4:47)
03. Come Sunday (6:28)
04. Burning Spear (11:59)
05. Ode to Charlie Parker (8:04)
06. A Personal Statement (15:02) *

CD3
Previously Unissued Studio Recordings

01. Music Matador (Alternate Take) (8:05) *
02. Love Me (Alternate Take 1) (2:27) *
03. Love Me (Alternate Take 2) (3:43)
04. Alone Together (Alternate Take) (12:14)
05. Jitterbug Waltz (Alternate Take) (9:36) *
06. Mandrake (Alternate Take) (6:48) *
07. Burning Spear (Alternate Take) (10:31) *

* 完全未発表

Eric Dolphy (as,fl,b-cl)
William ”Prince” Lasha (fl)
Huey ”Sonny” Simmons (as)
Clifford Jordan (ss)
Woody Shaw (tp)
Garvin Bushell (bassoon
) Bobby Hutcherson (vib)
Richard Davis (b)
Eddie Kahn (b)
J.C. Moses (ds)
Charles Moffett (ds)

Recorded on July 1 & 3, 1963 at Music Maker's Studios in New York City.



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