【HIBIYA COTTAGEオープン記念 『となりの怪物くん』ろびこ スペシャルインタビュー】

この4月27日に実写映画が公開される大人気少女マンガ『となりの怪物くん』。 その著者・ろびこさんに、実写化公開記念として、 そしてHIBIYA COTTAGEオープン記念としてインタビューに答えていただきました。 恋愛、友情、青春の一瞬の輝き……、 少女マンガの胸キュンエッセンスが詰まった『とな怪』の魅力を、 さらに深めるろびこさんの言葉を、コミック、映画とともに堪能ください。

友情が育って恋愛に変わる、 一歩手前の青春を瑞々しく描き出す

【作品紹介】
勉強にしか興味のない女子高生・水谷雫は、担任に頼まれ、参考書購入と引き換えに不登校児・吉田春にプリントを届けに行く。入学早々に流血沙汰を起こし停学処分を受けていた春は、乱暴者で人付き合いが苦手な反面、さみしがりやで人とのつながりに飢えていた。そんな彼に妙になつかれ友達認定されたあげく、告白されて戸惑う雫。彼の純真さに触れるうち、次第に心惹かれていくのだが、好きと自覚したときには春にとって雫はただの友達になっていて……。


「シーソーゲームみたいな物語にしたいなと思いながら描いていました」


―― 『となりの怪物くん』の実写映画化、おめでとうございます。ご覧になった感想はいかがでしたか?

ろびこ:おもしろかったです! 13巻もある物語を、原作に寄り添ってポイントをおさえながら構成していただいて。
オリジナル要素もありますが、原作との違いも含めて「マンガを実写化するとこうなるのか……!」という驚きとともに楽しめました。
なにより、原作を丁寧に読み込んでくださった、菅田将暉さん(吉田春役)と土屋太鳳さん(水谷雫役)が演じる表情が美しくて感動してしまいました。



―― 高校入学早々に流血事件をおこした不登校の問題児・吉田春(ハル)と、 勉強にしか興味がない、ドライアイスの異名をもつ優等生・水谷雫(シズク)。 春に雫がプリントを届けたことをきっかけに、二人は急接近。互いに初めての“友達”から“恋愛”へと発展していきます。

ろびこ:連載を始めた当時、「空気を読む」という言葉がはやりだしていたんですけど、だったら空気をまるで読まない人たちを描きたいと思ったんです。二人だけじゃなくて、登場する人たちがみんなどこか自分勝手なのはそのせいです(笑)。
空気が読めれば人間関係も円滑に進むし、生きていくのも楽だろうけど、そうじゃなくても自分を貫いていて楽しそうな人っていますよね。



―― まさに春と雫がそれですね。

ろびこ:はい(笑)。自分のやりたいことをやりたいようにしかしない。一般的に「えっ」と思われるようなその姿を、肯定的に描きたいと思っていました。春も雫もそれぞれ欠点はあるけれど、それを努力でカバーするんじゃなくて、欠点があったとしても、代わりにいいところがあるんだから、そのままで生きていけばいい、って。

―― ただ、人と関わりあう以上、“そのまま”が通用しないこともありますよね。雫も、がんばれば結果の出る勉強と違い、コントロールできない春との関係に戸惑います。

ろびこ:雫は幼い頃から、お母さんの愛情を強く求めていたと思うんですが、手をのばしたところで応えてもらえるわけじゃないと知って、自ら求めるのをやめたという子で。芯の強い子だから決して自分らしさを見失いはしないと思うのですが、相手役となる春には、彼女を思う存分振り回す子であってほしいと思っていました。それにしても春はちょっと、突拍子もなさすぎましたけど(笑)。


―― まさに“怪物くん”である春が、傷つくのをおそれて自己完結していた雫の世界を壊してくれたんですね。

ろびこ:それは春にとっても同じで、一人ぼっちだった彼の世界に雫は介入してきました。最初に春を描くときに浮かんだのが、雫に守られた彼が泣くシーンだったんです。ちょっと変わった二人が、互いを振り回しあいながら、関係性が深まっていくにつれて少しずつ成長していく。そんなシーソーゲームみたいな物語にしたいなと思いながら描いていました。


「恋愛の一歩手前の状態が、一番心地いいかもしれません」


―― 春と雫の関係が簡単には進展しない理由のひとつは、春の「雫と友達でいたい」という感情です。この作品は、“恋愛”だけでなく“友情”も大きなテーマだと思うのですが。

ろびこ:とくに意識していたわけではないんですが、私自身が、恋愛や友情に求めるものが同じなのかなと思います。
会話を通じて相手の人となりを知っていき、好きになったら一緒にいたいと思うようになる。その過程を描くのが好きなんだと思います。
中でも、恋愛の一歩手前の状態が一番心地いい気がします。想いが成就してもしなくてもどちらでもかまわないくらい、近い距離感でつながっている人たちが関わり合いのなかで成長していく、そんな姿がもしかしたら一番好きかもしれません。



―― 女の子に嫌われやすく友達ゼロの夏目ちゃん。コミュニケーションの達人・ササヤン。春の従兄でみんなのお守り役・みっちゃん。少しずつ増えていく“友達”と過ごす青春の風景も、この作品の魅力でした。

ろびこ:私、11巻で描いた夏目さんのシーンが自分でもすごく好きなんです。
いつも友達の好きな人や彼氏を奪ってしまい嫌われる、というパターンを繰り返してきた彼女が、雫に「私と春とあなたが友達でよかった」と言われる。彼女がその場所にたどりつくまでを描けてよかったなと思います。



―― 「人間は19歳までにおよそ人生の半分を過ごしたことになるそうです」とラストで春が言うシーンがありますが、だからこそ10代で出会う人たちと過ごす時間は特別なのかもしれないと感じさせられました。

ろびこ:大人になった今ももちろん友達はいますし、そのつど特別な思い出だってできるけれど、それでもどこか「来年があるからいいや」って気持ちがあるんですよね。でも高校生だったあの頃、たとえば高校一年の夏は一度きりの特別なもので、二年生の夏とも三年生の夏とも違っていた。その濃密な時間のなかで生まれるものはとても尊く感じられます。だから私は、これまでも、これからも、10代を描き続けていくのが好きなんだと思います。



取材・文=立花もも






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