■「明烏」(2012年12月3日/DOURAKUTEI出張寄席 古今亭菊之丞・三遊亭兼好 二人会 「笑」/日本橋社会教育会館)
大店の若旦那・時次郎は本ばかり読んでいてまだ遊びを知らない。そこが気にかかる親父は町内の遊び人に息子を何とか吉原へ連れていってもらうよう頼んだ。引き受けた源兵衛と太助は“お稲荷さんのお籠り”という名目で女郎屋に連れ込んだところまではうまくいったが、そこが吉原と知った時次郎、泣いたりわめいたりと大騒ぎだ。さて一夜明けた時次郎の首尾はいかがかとその部屋へ入った二人が見たものは・・・。
菊之丞演ずるうぶな若旦那が絵になり、また江戸っ子のやり取りも歯切れが良く、まさに落語を堪能するというのがこれだ。
■「二番煎じ」(2012年12月10日/古今亭菊之丞独演会/横浜にぎわい座/三味線:金山はる)
その昔、火事早かった江戸の町を守るために火の番小屋というものがどこの町内にもあった。寒い冬の夜、町人たちが夜回りのために集まり、各々に音の出るものを鳴らしながら「火の用心」の声をかけてゆくのだが、この町内の面々は何とも頼りない。どうにか一回りしたところで小屋へ戻り、一人がお酒を出してきたが見回りの侍にとがめられることを考え、これを土瓶に入れ火にかけて煎じ薬として飲もうとの月番の提案、さらには別の一人が猪鍋を用意、酒を飲み鍋をつつき陽気にやり始めたところに見回りが来てしまったが・・・。
菊之丞は登場する月番、謡いの黒川の先生、伊勢屋の大旦那、辰つぁん、宗助さんとそれぞれを個性的に楽しげに描き、また見事なのども聞かせてくれた。これぞ江戸情緒に浸れるというもの。