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【対談】梶芽衣子 × 岡本店長

Wednesday, October 21st 2009

interview
梶芽衣子

1965年にデビュー、「野良猫ロック」「女囚さそり」「修羅雪姫」などの主演シリーズ映画でその人気を決定的なモノにし、クエンティン・タランティーノも熱狂的なファンであることを公言する梶芽衣子が、今年6月に約25年ぶりの新曲「女をやめたい / 思い出日和」をリリース。 なんとその大女優・梶芽衣子がHMV ONLINEに登場!新曲に対する熱い思い、役者として・歌手としてなどを、約1時間に渡り語っていただきました! 対談のお相手は、演歌/歌謡曲ページのコーナー「演歌いいとこどり」を連載中のHMVの重鎮、銀座INZ店・岡本尚人店長。 がっちり意気投合したお二人は、次回、浅草のあんみつ屋での会合を約束するのでした!
今回のスペシャル対談は、3回に分けてお送り致します。最終回にはプレゼント告知もありますので、最後までお見逃しなく!

岡本店長(以下O) 若い時は「女の情念」とか「捨てられた女」とか、切なさとか悲しみを切々と歌っていましたよね?

梶(以下K) はいはい。

O でも今回聴いて、そこから達観した、大人の明るい…なんかそういうカンジがしたの。

K もー!岡本さん!それ言ってくださるとスゴイ嬉しい!

O やっぱそうでしょう?

K っていうのはねぇ、私だいたい女性っぽい曲とかってあんまりないじゃないですか。恨みつらみとかね、なんか暗めの重ための曲が多いでしょ?

O 死にたくなっちゃうようなね。

K 死にたくなっちゃうようなね。不幸を一人で背負ってるみたいな。 そういうキャラクターだったのはしょうがないんですけど、映画の主題歌だったから。ほとんどが。 でも今回ね、自分自身で「歌いたい!」って思って、それで杉本先生にお願いしたんですよ(※)。 昔の歌は「やらされてた」っていう部分もちょっとあるんですよ。自分の意思で歌いたいっていうことよりも、仕事だっていう部分が。

(※今作『女をやめたい』の作曲は『吾亦紅』の杉本眞人氏)

O 映画の雰囲気とかもね。

K そう。歌が映画の雰囲気の延長線上にあるから。

O 「(自分自身で)梶芽衣子を演出する」みたいな。

K そうなんですよ。でも今回に関しては、映画とか一切関係ない。歌だけでしょ? で、私としては、この年齢になって何を歌うかって、やっぱり「女」を歌いたかったわけ。 時間的なものもあると思うんですけど…25年前のアタシだったら、絶対いただけない曲ですよ、こういう曲は。

O イメージ変わっちゃいますもんね。

K そうですね。でもやっぱり…「私がこういう女っぽい歌を歌うとこうなりますよ」っていう部分は…、 「梶芽衣子らしさ」っていう部分は消したくなかったんですよ、生意気言わせていただくと。 それで杉本先生に作っていただいて。レコーディングの時に実は、すごく厳しくご指導いただきました。先生に。 私もそれこそ25年ぶりですから、それまでずーっと歌ってないんですね。 例えば人様の前で歌うっていう経験もあまりないですし、歌うとしてもドラマの打ち上げの時に止むを得ず歌う、その程度ですよ。 なので、今回すごく厳しくご指導いただいたのがとっても新鮮でしたし、そういうことってドラマの方ではあまりないんですよね。

O そうなんですか?

K ええ。ああいう叱責のされ方ってあまりないしね、「梶さんこうやって下さい!」っていうのはないわけですよ。

O それは大女優だから監督たちも…

K いえいえ!そういう意味じゃなくて…、指摘されたり「ココはこう歌って下さい」って言われたりということで、本当に「やって良かったな!」と思ったんですよ。

O 新鮮だったんですね。

K 新鮮新鮮!

O で、そういう風にいろいろやって、クリア出来たんですか?先生の要望を。

K いや、それをクリアするまでに1日中かかって、先生に「ごめんなさい!」って言ったけども、 先生は何も仰らないで「おつかれさん!」って帰っていかれたんで、良いんだか悪いんだかそれは判りませんよ? 判りませんけど、でも私は…映画にしてもレコードにしても何でもそうだと思うんですけど、 1番の批評家はお客様だと思うわけ。だから、お客様は良ければ買って下さるけど、嫌なら買って下さらないでしょ?
私は今回、そういう意味では焦りもないし気負いもないし、じっくりと時間がかかってもこの曲は、 ある程度結果を出すまで諦めないでやりたいと思っているわけですよ。 だからその点ではね、私がまず言い出したんですけど「いままで経験のないことをやりたい」…、 つまりどういうことかって言うと、日本全国を出来るだけ廻りたいなと。 自分で実感したいわけ。

O なかなかそういうことしてくれる歌手もいませんからね、今。そこまで。

K そうなんですか?でも私は…他の方はよくわかりませんけど、これが私のやり方っていうところで、 やっぱりガッチリやっていきたいわけですよ。

O (全国を廻ると)伝わりますでしょ?この前、浅草のヨーロー堂の店長さんに会ったんですよ。

K お会いになったの?店長さんに?

O ええ。(梶さんがヨーロー堂にいらした話をして)「いや〜、すごく良かった!」って感動してましたよ。

K そうですか!嬉しいですねぇ!

O そういうのは伝わるんですよね。それはやっぱり重要ですよね。

K その、なんて言うんだろうな…、変な言い方になるかもしれないけど…、 媚び諂ったって、そんなのに誤魔化される方達ではないですよ、業界の方達もね。 そういうことではなくて、やっぱり心が通じた上で、本当に真摯に謙虚に協力をお願いしたいって思ってるんですね。 だから、そのヨーロー堂さんのように(心が)通じるとすごく嬉しいですね。

O ひしひしと伝わりますよね、もう圧倒的(笑)。

K あらホント!?それすごい嬉しい!私はね、どっちかって言うと、こんなお喋りじゃないの普段は。台詞以外は喋らない人なの(笑)。 だけど(こういう対談などで)喋ってるのは、画面の中だけで見てる方達にとっては意外なんですよ。「イメージが違う」とか。 気さくですよ私、江戸っ子だから。ストレートなのね。だからこのまんまを見ていただければと思って。

O 今度の歌も、このまんま、気負いのなさっていうのが出ててね、すごく自然体。

K ああ良かった。

O (曲の)内容はやっぱりちょっと「辛い」歌じゃないですか。

K そうですね。切ないよね。

O でもやっぱりこう、「大人の女だな」っていうね。良いカンジが出てるんですよ。

K この『女をやめたい』は、いろんなパターンの女を3コーラスの中に入れてるでしょ?

O はいはい。

K だから、若い方でも私ぐらいの方でも、なんかこう…ほのかにね、以前経験したような恋愛模様じゃない? だからそういう意味でも素晴らしいですよね、朝比奈(京子)さんの詞もね。

O この詞っていうのは、梶さんが頼んだんですか?

K いえいえいえ!杉本先生ですよ全部。杉本先生が朝比奈さんに頼んだんだと思いますよ。

O 「“今の”梶芽衣子を出してくれ」みたいなことを言ったんでしょうね、きっとね。自然体の梶芽衣子を。

K いや、それは先生に訊いてみないと分からないけど…

O でもそうじゃなかったら、ドロドロの歌を作りそうじゃないですか?普通。「怨んじゃって」みたいなさ。

K でもね、あの、杉本先生にお願いにあがったのは『吾亦紅』を聴いたからなんですね。 こういうちゃんとした、日本の土の匂いのする、きちっとした日本語できちっと歌える、しかも親孝行の歌でしょ? そういう歌を歌っている人に(曲を)書いてもらいたいと思って、お願いにあがったのね。 で、杉本先生には以前、30年前にも書いていただいてるんですよ。 私のこともよくご存知だし、どうしても『吾亦紅』のような、日本の潔い古い女を歌いたいと思ってお願いしたんです。
で、出来てきた時に杉本先生がギターで歌ってらっしゃるのを聴いて、その時初めて「朝比奈京子さんが作詞なんだ」と思ったの。 朝比奈さんの詞もとっても良い詞だし、私はやっぱり役者だから、どうしたって詞から入るわけですよ。 詞から入っていって自分なりに解釈して…、言葉に命を注ぐってことが我々の商売じゃない?俳優のね。 そういうことに慣れてるから、そこから入っていく。 で、その感情のまんま、スゥーッと音に入っていけるんですよね、杉本先生の曲って。そこが凄いと思うんですよ。
…って相当偉そうに言ってるか私(笑)。先生に内緒ね、この話(笑)。

O (笑)。でもやっぱり、スッと入れるっていうのは、梶さんが役者さんだからでしょうね。

K そう?でも今までの歌って、詞から入っていっても「さぁ歌うよ!」っていう時にならないと(気持ちが)入らない作品も結構多かったんですよ。 だけど今回は本当にスムーズに入っていったんですよ!

O 年齢ともちょうど合ったんじゃないですか?ピタッと。

K そうだと思う。この『女をやめたい』は最初の歌詞が「抱いてよここで」だから。 でもこの年齢になって、やっと照れずにこういう台詞が言えるようになったんだな、って思ったんですよ。

O なるほど。

K もうちょっと前、25年前とかだったら「これ…出来ないよ私」って言ったかもしれない(笑)。

O 逆にこう、いやらしくなっちゃったりしてね。

K そう!一番最初に思ったのは、女々しく歌っていやらしい歌になったらいやだな、って思ったの。 だからそこはやっぱり…生意気言わせていただくと「梶節がちょっとあった方が良いかな」って。 そこは先生と意見が一致しましたね。

O 本当にそういうのが(曲に)よく出てますよねぇ。

K だから聴いてくださった方が「良いね」って言ってくださるのが、すごい嬉しくて。 「ああ、やっぱりやって良かったな」って、このごろ本当に実感してますね。





次回vol.2に続く!(vol.2はコチラ↓から)






新譜 梶芽衣子『女をやめたい』
女優・梶芽衣子が25年ぶりにリリースした新曲『女をやめたい』。『吾亦紅』のヒットで知られる杉本眞人が作曲を手がける今作は、これまでの梶芽衣子のイメージを一新するかのような、達観したかのような女性の生き様が描かれている。
profile

梶 芽衣子[Meiko Kaji]

1965年、日活映画「青い果実」にてデビュー。 その後「野良猫ロック」「女囚さそり」「修羅雪姫」などの主演シリーズ作でその人気を決定的なモノにする。 これまでの出演映画作品数は約100作品にものぼる。 歌手として、自身が主演した映画の主題歌「修羅の花」「怨み節」などをリリース、1974年には「怨み節」で日本有線放送大賞を受賞。 映画監督のクエンティン・タランティーノが梶芽衣子の熱狂的なファンであることを公言し、自身の作品「キル・ビル」において、梶の「修羅の花」「怨み節」を使用している。 2009年6月、約25年ぶりとなる新曲「女をやめたい」をリリース。

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