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HMV ONLINE > NEWS > Music > Jazz > Fusion > AOR/フュージョン待望!奥本亮2作初CD化

AOR/フュージョン待望!奥本亮2作初CD化

Wednesday, January 14th 2009

ルカサー、ポーカロなどToto&Airplay人脈の2nd、そしてジェフ・ベック・グループのメンバーなどUK人脈参加の1stが初CD化!

 奥本亮……82年に日本を飛び出し、今では世界を股に掛けて活躍しているキーボード奏者。その奥本亮が80年に出した幻のリーダー作2枚が、ここにようやく初CD化!

 ナタリー・コールやピーボ・ブライソンのサポートで来日(帰国?)したり、ここ10年ほどは現在の米国を代表するプログレ・バンド、スポックス・ビアードのメンバーとして知名度を上げている彼。しかし、日本の音楽ファンにとって最もインパクトがあったのは、やはり今回リイシューされる2枚との出会いではなかったか? 何せファースト・アルバム『SOLID GOLD』が元ジェフ・ベック・グループの面々との、セカンド『MAKIN' ROCK』がTOTOのメンバーやエアプレイのデヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドンとのスタジオ・セッションである。特に後者は、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった当時のTOTO/エアプレイ一派による凄まじいプレイがダイレクトにパッケージされていて、ウルサ方のファンから注目された。その衝撃は、リアル・タイムで奥本亮の音楽に触れた方のみならず、噂を聞いて5年遅れ、10年遅れで中古盤を探し当てた後追い世代にも波及したほど。最近のオークション市場では、時に5ケタの落札価格になることもあったというからビックリである。

  about 『MAKIN' ROCK』

 ロンドンにあるジョージ・マーティン所有のエアー・スタジオで、ジェフ・ベック所縁のミュージシャンを集めてレコーディングされたファースト『SOLID GOLD』。その発売は81年8月のこと。それからたった2ヶ月後の10月にリリースされたセカンドが、この『MAKIN' ROCK』だ。

 その顔ぶれとは、TOTOの屋台骨を支えるジェフ・ポーカロ(ds)とスティーヴ・ルカサー(g)。“AORの金字塔”と呼ばれるワン&オンリーの名盤を作り、後にそれぞれプロデューサーとして成功を手にしたエアプレイのふたり、デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドン。それにラリー・カールトンのバンドでメキメキ頭角を現したニール・ステューベンハウス(b)の5人である。

 「ほとんどワン・テイクですね。オレがピアノを弾いて曲を説明すると、すぐに“分かった。じゃあ録ろう”って。コード譜しかなかったのにね。あまりにも簡単に進むので、こっちが不安になって2テイク目を録りたいって言ったら、怒られました。何故? 今ので完璧でしょ?って。ミスを修正した部分は僅かにあるけど、それもみんなが自分でサッサとパンチ・インしちゃうの」(奥本)

 飛び出してくるサウンドは、1曲目から紛うことなきTOTO/エアプレイ・サウンド。しかも御本家ならそこからポップにシフトしていくのに、奥本作品はプログレ・ハード、ないしはハード・フュージョンの方向へアグレッシヴに進化していく。

 曲の展開がドラマチックだし、変拍子を効果的に織り交ぜながら変化に富んだアレンジが楽しめる。自由度も高いから、演奏のノリやクオリティも最高潮。リメイクとなる<Solid Gold>と<Freedom>だ。どちらも元はヴォーカル・チューンだが、今回は双方共に一部の歌だけを残してインストにリ・アレンジされた。

 特にジェイが編曲を手掛けた前者は、スピードもパワーも数段アップ。まさにメンバーが一丸となった壮絶なプレイが繰り広げられた。後者では、バウンシーな7拍子(4/4+3/4)に乗って際限なく弾きまくるルークにア然。

 新たなナンバー<L.A. Express>は、フォスター十八番のピアノで始まり、スウェイ・ビート風のハネたリフが突き進んでいくグルーヴ・チューン。奥本のシンセも大活躍する。また<Mystery White>は、ジェフのハーフタイム・シャッフルを基調に、めまぐるしく転調を繰り返す展開。ヴォコーダーがメロディ楽器としてフィーチャーされるのもユニークだ。

 奥本のオリジナルに加え、ジェフとルークも2曲共作して本作に提供した。そのうち<Crystal Highway>は、ミステリアスなメロディを持つハード・フュージョン。ここではまず、ジェフが叩き出すハーフ・タイムの16ビートを思い切り堪能して欲しい。そして、“このグルーヴこそTOTOのTOTOたる所以”と個人的に絶賛してしまうのが、もう1曲の<Original View +>だ。とりわけ、たっぷりタメを効かせたジェフのノリは、他のドラマーでは絶対に産み出せないシロモノ。

 「ルカサーは音がスゴかった。当時は冷蔵庫みたいなエフェクター・ラックを2つ使ってて、それがドッカーンと後ろにあって。あとマーシャル。それをバカでかい音で鳴らすの。それに彼はセンスが素晴らしいよね。<Crystal Highway>のテーマとか、<Original View +>のメロディの入れ方とか。もうタマんなかった。もちろんポーカロもスゴかった。カウントにグルーヴがあるって言うのかな? あれは初めての経験でした。それに彼はフォトグラフィック・メモリーを持ってたみたいで、一回通してプレイすると、あとは譜面を捨てちゃうの。全部記憶してるんだね。アレにも驚いた。とにかく、みんなとても良いノリでセッションしてくれたと思う。特に喜んでくれてたのがニール・スチューベンハウスでした」(奥本)

  about 『SOLID GOLD』

 メインのレコーディングは、ロンドンのエアー・スタジオにて。そう、ビートルズを育てた名プロデューサー、ジョージ・マーティンが持つスタジオだ。そして当時のライナーには、マックス・ミドルトンやリチャード・ベイリーなど、当時ジェフ・ベックのバックを務めていたメンバーたちが、デモ・テープに共感して参加した、という旨が書かれている。でもよく見ると、クレジットにマックス・ミドルトンの名はない。

 このロンドン・セッションに加え、L.A.でも一部リズム・トラックが録られた。参加したのはデイヴィ・ファラガー(b)とマーク・シンガー(ds)。このうちデイヴィーは、AORファンにはそこそこ知られるファミリー・グループ、ファラガー・ブラザーズの一員である。更に元・四人囃子の人気ギタリスト、森園勝敏の演奏が東京でダビングされた。当時の森園はプリズムを経てソロ活動に転じ、ロックからフュージョンへ新たな道を切り開いているところ。その過程に於いて、ゲスト的にクリエイションに関わっていた時期があり、おそらくその最中にクリエイションに加入した若き奥本と知り合って親交が生まれたのだろう。

 かくして出来上がった音は、プログレ・ハード調のクロスオーヴァー・サウンド。ジャンル的には“フュージョン”と呼んでも差し障りないが、“融合”というよりは、ハード・ロックやプログレ、ジャズ、ファンクなどの異なるエッセンスが激しく衝突してスパークする、そんなイメージだ。

 30年近くも前に、こうしたミュージシャン指向の強いアーティストでそれを試みていたとは、まさに快挙。裏返せば、それだけ奥本亮が周囲から期待を寄せられていた、という証明でもある。そして現に次作『MAKIN' ROCK』で、彼は確かにひとつの伝説を作ることになるのだ。

(以上、金澤寿和氏ライナーより抜粋)



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