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Calm Talkin' About Jazz −前編 

Monday, February 18th 2008




Organ Language、K.F.、Japanese Synchro System等様々な名義(あるいはプロジェクト)を使い分けることによって、ダンス・ミュージックの全ての可能性を模索するCalm。

ジャズ、その中でも「スピリチュアル・ジャズ」と呼ばれる作品に、一際深い造詣を持ち、深い愛情を注ぐCalmさんにお話を伺うことができ、ジャズへの様々な思いを語っていただきました。

まずは、その前編をお楽しみください。

  -- Calm --

97年にシングル『Calm EP』でデビュー。翌年のミニ・アルバム『Shadow of the Earth』、99年の『Moonage Electric Ensemble』で、クラブ・ミュージック・フィールドにおける絶対的なポジションを確立。その後世界各国のレーベルへの楽曲提供でその活動範囲を更に広げ、数々の書き下ろし、リミックス・ワーク、コンピレーションを制作。

Calm 『Silver Moon』
Calm 『Silver Moon』

02年にはOrgan Language名義でのアルバムをリリース。同年には、自身のレーベル「Music Conception」を立ち上げ、多くの新人アーティストたちに発表の機会を与えつつ、独自のレーベルカラーを創造していく。

3rdアルバム『Ancient Future』、Calm presents K.F名義『Key Free』など、まさに世界水準の傑作を次々とリリース。06年には、Tha Blue HerbのIll-Bosstinoとの新プロジェクト=Japanese Synchro Systemをスタートさせる。

デビューから10周年を迎えた07年には、『Blue Planet』をリリース。
さらに新たなステージへの展開を目論む今年、早くも新作『Silver Moon』を完成させた。

> Calm関連作品はこちら




-まずは、Calmさんがジャズを「意識して」聴き始めたのは、いつ頃だったのでしょうか?

「中学ぐらいですかね。ラジオっ子だったんで、当時、NHK FMで夕方から2時間ぐらいクラシックだったり、ジャズだったりを流していて、それを聴いていましたね。それまでは、ロックとかポップスとかを聴いていたんですけど」

-ラジオでは、どのようなものがかかっていたのですか?

「そのNHKの番組に関しては、誰かの特集だったり、何かひとつのテーマがあったりしたので、基本、名盤系が多かったですね」

-最初に「ビビッ」ときたジャズの楽曲って覚えていたりしますか?

「う〜ん、やっぱりMiles Davisかなぁ・・・。84、5年に、日本人のデザイナーの佐藤孝信の服を着て、Cyndi Lauperのカヴァーなんかをやってて・・・。そう、ちょうど『You're Under Arrest』を出した頃ぐらいに、Milesの特集みたいのをやってて。」

Calm

-では、ハマったのは、その84、5年のMilesの音だったと。

「そうですね。Milesが、ちょうどScritti Polittiの曲をカヴァーしてて(「Perfect Way」/『Tutu』収録)。で、Scritti Polittiのアルバムにもお返しで参加していたりして。それを聴いて、すごく良質なポップスなのに、わけが分からないというか(笑)、やけに音数が少ないトランペット・ソロだなぁ、みたいな不思議な感じを受けましたね」

-そういった「ジャズ」というものに出会ってから、音楽的な価値観などに変化が表われたりしてきましたか?

「ジャズを聴くまでは、歌があって云々っていう世界のものを聴いていたんで・・・勿論、ジャズ・ヴォーカルっていうものはあるんですけどね、所謂、サックスやトランペットがメインだったりする、「歌がない」っていうものにびっくりしましたね。」

-ちなみに、ジャズに興味を示してから最初に買ったレコードって覚えていたりしますか?

「レコードとか買えるようになったのって、高校の高学年とかになってからなんですけど。何買ったかなぁ・・・。多分、Milesの『On the Corner』あたりだったと思うんですけど」


Miles Davis / You're Under Arrest
>Miles Davis 『You're Under Arrest』

「Time After Time」と「Human Nature」こそが、Milesが、リズムやモードの探求、
さらに音の臨界点の探求の据えにたどり着いた一つの答えだったのだろうか?メロディ
こそが、ジャズの魅力だとでも言うように燦然と輝くこの2曲。1985年、マイルスが再び、
「非ジャズ」と揶揄される音楽のテクスチャーを用いて、ジャズの新たな可能性を勇敢に
見つけようとしている。



Miles Davis / Tutu
>Miles Davis 『Tutu』

1986年発表のワーナー移籍第1弾。かつての門下生、Marcus Millerをはじめ、
Tommy Lipuma、George Duke等をプロデューサーに迎え、当時60歳のMilesが
放った後期の傑作との評判高き意欲作。アルバム・ジャケットの印象的な表情には、
Milesの意思がはっきりと表れている。「俺はまだ老けないぜ!まだまだ、やるよ!」と。



Miles Davis / On The Corner
>Miles Davis 『On The Corner』

MilesバンドのMichael Henderson音楽監督時代の始まりを告げた作品としても印
象的な本作は、Milesが黒人を中心とするストリート・ミュージックの原点に立ち返って、
再びダンス・ミュージックとしてのジャズを意識させた1枚。ここで耳に残るのは、タブラの
リズムとシタール的なギター・サウンド。複雑なリズムが、いくつもの波が重なるように
「引き合い、足し合って」不思議な効果を上げていく。




-その頃は、もう楽器を始めていたんですよね?

「ギターをやってましたね。別にジャズのバンドで弾いていたというわけではないんですけどね。でも、当時、Al Dimeolaとかは、めちゃくちゃ流行ってたんですよ。所謂、ちょっと「ライトなフュージョン」みたいなのが。まぁ、Dimeolaは、ライトな部分ともうちょっと違う部分もあるんですけど。あと、David Sanbornなんかもかなり流行ってましたね。」

-Calmさんの周りの同級生の人達も、ラジオなどでジャズをチェックしていたのでしょうか?

「いやぁ、周りには全然いなかったですねぇ、田舎だったんで。今は、情報社会だから、ちょっとした田舎でもみんな知ってたりするかも知れないですけど、その当時は、情報なんて何もない時代だったんでね。だから、学校で、音楽の話が合う人は、あまりいなかったですね。ちょっとしたポップス系だったら、いたんですけど。少しコアな話になると全然いなかったですね」

-大学に入ってからは、先ほど出たMilesなどの影響を受けたバンドをやっていたりしていたのでしょうか?

「いや、特にはなかったですね。自分でやろうというのは、あまり考えてなかったですね。どこかに影響はあるかもしれないですけど。でも、もう大学行くと、ジャズをやってる友達とかいっぱいいたんで、そいつらの演奏聴く方が楽しかったっていう感じですね。それ見ると、もう、ああ自分は全然違うっていう(笑)。世界が違うっていうか」

「一時だけ、ロック研究会みたいなのには「仮」で入ったですけど、もう3ヶ月ぐらいで辞めちゃったかな(笑)。なんか、周りと全然話が合わないんで。だから、気の合う奴だけでバンド組んで、ライヴやったりしていましたね」


Al Dimeola / Elegant Gypsy
>Al Dimeola 『Elegant Gypsy』

1977年、Al Dimeolaの名声を決定的にした記念すべき作品。ジプシー〜スパニッシュ
・フレイヴァーとロック的なエッセンスをミックスして、さらには、優れたDimeolaのオリジ
ナリティが完成された形で結実したギター・フュージョン・アルバムの金字塔。




David Sanborn / Straight To The Heart
>David Sanborn 『Straight To The Heart』

Sanbornの「最も艶のある演奏は?」と問われて、本作収録の「Lotus Blossom」
を挙げるファンは数知れず。「啼きサンボーン」畢生のソロを収録した、この1曲で、
本作は、Sanbornファンの心を掴むと共に、インスト・ジャズ・ファン、特にアルト・ファン
の心に、その演奏のストラクチャーを刻み込んだ。80年代フュージョンの代表作品。




-Calmさんの作品(楽曲、アートワークを含め)からは、往々にして「開放的」なイメージを抱くのですが、やはりPharoah Sanders、John Coltrane、Sun Ra作品といったところからのインスピレーションが大きかったりするのでしょうか?

「元々自分の中ではジャズを(下地などにして)やっているという意識は全然なくて、そういった人達の影響を作り込んでやろうという気も全くなかったんですよね。でも、自然と出てくるものっていうのはあったのかなと。そういう意味では、Pahroah Sandersとか、ああいった人達の、所謂「スピリチュアル」って呼ばれているような楽曲の中のものにすごく惹かれていたんで、そういう影響は出ているのかなっていう気はしますね」

Calm

-初めてPharoahなどを耳にしたっていうのはいつ頃だったのでしょうか?

John Coltraneだとか、Miles Davisは、ラジオでよくかかっていたんですけど、やっぱりPharoah Sandersは、あまりかかっている機会がなかったんですよ。だから、Coltraneとかの流れで自然にPharoahに行ったという感じで。それこそ、レコード屋にものすごい通っていた時期ですね」

-アートワークという点で、ご自身の作品(ジャケット・アート)に直接影響を与えたジャケットなど                                                                    はありますか?

「そうですね。ちょうどブルーノートのリヴァイヴァルが初めて起こった、所謂「ジャズで踊る」みたいな時代があったじゃないですか。Prestigeとかが流行った。あの時代には、やっぱりジャズのジャケットワークは、本なんかを含めてよく見ていましたけどね。(自身の作品への)影響という点では、自分の中ではそんなにはないという気がするんですよ。アートワークに関しては、結構、デザイナーの藤田さんにお任せしているんで。もちろんイメージとかは伝えるんですけど。多分、その中にジャズの要素とかって、あまり入ってないんじゃないかなぁ。たまに、ブルーノートっぽいフォントで、みたいな話はするんですけど。だから、すごい影響を受けてアルバムのアートワークに出したっていうことはないですね」

-では、ご自身の作品には関係なく、純粋に衝撃を受けたジャケットというと?

「やっぱりね、ブルーノートのものってすごいなと思って。基本なんですよね、あのレーベルのジャケットは全般的に。スタイリッシュで、クールで、すごいかっこいいいなぁと思って。で、その辺(ブルーノート作品)を見ていた後に、急にインディペンデントな、Strataとか、Tribeレーベルとかのジャケを見ると、ものすごいな!っていう(笑)。」

-レコ屋通いをされていた当時は、最初はブルーノート、Prestigeあたりを掘って、その後いきなりStrataなどのレコードを買うような流れが普通だったのでしょうか?

「ちょうど大学卒業間際にロンドンに行って、その時に(ロンドンのレコード屋などでは)ジャズがすごく盛り上がっていて、そこでまだ掘り下げられるものがブワァーッとあったんですよ。そこで、Strataなどを含めて、かなり色々なものを吸収した感じだったんです。」

-当時のロンドンのジャズを含むダンス・シーンはすごかったのでしょうか?

「すごかったですね。セカンド・サマー・オブ・ラヴとか、アシッド・ジャズとかが終わりかけていて、一方では、ハード・ハウスなんかが盛り上がっていて。で、また一方では、そういった「ジャズで踊る」みたいな流れの人達によるイベントがあって。それと、ドラムンベースやダブなんかも出始めてきた感じでしたね。ヒップホップは意外と遅くて、まだガツンとはきてなかったと思います。その中でも、ジャズ系のイベントとかには、よく行ってた気がしますね。あとは、テクノ、ハウス、レゲエかな」

「それぞれのイベントは、来ている人種も違うんで、盛り上がり方も全く違いましたね。ジャズのイベントだと、ちょっとオシャレでスタイリッシュな感じの、美容師とか、デザイナーとか、服屋で働いているような人達みたいなのが多かったですね」


Book / ブルーノート・アルバム・カヴァー新版
> 『ブルーノート・アルバム・カヴァー新版』

写真家のFrancis Wolffと、デザイナーのReid Milesのコンビによって次々と生み出
されたブルーノートの傑作ジャケット・デザイン。その代表作を収録したカヴァー・アート集。
クリエイティヴィティなサウンドへのこだわり同様、ジャケット・デザインなどのパッケージ
ングにも徹底したこだわりを見せ、高い芸術的レベルにまで昇華。「目で愉しむジャズ」
の究極本。




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