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7月20日劇場公開!『SHORT PEACE』インタビュー!

Friday, July 12th 2013

『SHORT PEACE』:森田修平監督、安藤裕章監督、カトキハジメ監督インタビュー

『AKIRA』などで全世界に影響を与えてきたクリエイター・大友克洋と、その“革新の遺伝子”を受け継いだ気鋭の名匠たちが集結して贈る4編のアニメーション映画『SHORT PEACE』が、2013年7月20日に劇場公開される! この度HMV ONLINEでは、『九十九(つくも)』を手掛けた森田修平監督、『GAMBO』を手掛けた安藤裕章監督、『武器よさらば』を手掛けたカトキハジメ監督にお話を伺う機会をいただきました! トップクリエイター御三方のインタビューをお贈りいたします!

『SHORT PEACE』インタビュー



---本日はよろしくお願いいたします。最初に、御三方が本作へ参加した経緯をお聞かせください。

安藤裕章さん: みんなそれぞれ違った経緯で集まって一つの流れになった感じですね。

森田修平さん: 自分が知っている限りだと、大友克洋さんが『ヒピラくん』を手がけていた頃くらいに映画祭などでたくさんの短編映像を見て、そこでインスパイアされたということを聞いています。その後、私に声がかかったんですが、まだその頃は「日本」というコンセプトもなかったくらいです。

カトキハジメさん: 私は一番最後に参加することになったのですが、その頃には「日本」というコンセプトができていましたね。はじめから企画ありきで集まったという感じではなく、企画とともに人が集まって、作品ができて、プロジェクトが形作られていく過程で徐々にコンセプトも固まっていった感じですかね。




森田修平 監督

1978年生まれ、奈良県出身。アニメーション監督作の代表作として「KAKURENBO」「FREEDOM」。「KAKURENBO」(東京アニメアワード公募作品一般部門で優秀作品賞、カナダ・ファンタジア映画祭ショートフィルム部門金賞) 「FREEDOM」(日本映像技術賞 アニメ・ビデオパッケージ部門/技術奨励賞)。

---それぞれ監督された作品につきまして解説をよろしくお願いいたします。

森田さん: 自分の中に「むかしばなし」というか、妖怪を交えたようなものを作りたいというのがあったのがきっかけで作った作品です。それで岸啓介さんにお声をかけさせていただいて、「むかしばなし」みたいなイメージを岸さんに伝えて原型が出来上がっていった感じです。

今回、自分で脚本も書いたのですが、10分弱の短編の中でストーリーをきちんと完結させるという目標がありました。そうすると、自ずと妖怪から逃げたり戦ったりという話にはならず、『日本昔ばなし』のような淡々したものになっていきました。『日本昔ばなし』って何か不思議な魅力があって、わりと淡々とした感じで話が進むんですよ。それがすごく面白いなと思っていたので、そういった方向性の作品に仕上げてみました。

安藤さん: 自分が参加する時点で石井克人さんの原案がかなり出来上がっていました。「鬼VS熊! そこに女の子が絡む」みたいなイラストの入りの企画書があって、枠組みだけで面白いものができていました。そこに短編に収まらないくらいのボリュームのアイデアが詰め込まれていたので、短編として削ぎ落として作るのはなかなか苦労しました。

カトキさん: このプロジェクトとはまったく別の機会で大友さんにお会いした時に『武器よさらば』は短編に向いてるという話をしていて、その話が多分きっかけで『SHORT PEACE』に一番最後に参加することになったと思います。 原作のコミックがアニメにしないと勿体無いくらいのエンタメ性を持っているということも大友さんに伝えました。今の人達には他愛もないパワードスーツものかもしないんですけど、これが発表された当時の1981年には、パワードスーツっていうアイデアをここまで具体的に表現した作品はアニメにもマンガにも無く、多分世界初だったんです。そして今こういうふうに映像にしても全く古くならない、これがマスターピースだ! っていうところを感じていただければと思います。





安藤裕章 監督

1966年愛知県出身。93年より『MEMORIES』のCG担当としてアニメーション業界に入る。主な作品として『MEMORIES』『STEAMBOY』などのCGI監督を務める一方、『鉄コン筋クリート』や『FREEDOM-PROJECT』などに演出として参加。監督作として『ノラゲキ!』などがある。

---各作品のキャスティングについてはそれぞれ監督さんの配役によるものですか?

森田さん: あまり声優さんに詳しいほうではないんですけど、山寺宏一さんは間違いないと思っていたのでキャスティングさせていただきました。 あと悠木碧さんは、音響監督さんからすごく上手い人がいる、と紹介いただいて是非よろしくお願いいたしますといった流れでした。 大変人気のある方なのにセリフ一言くらいしか無いに等しい役なんですが・・・贅沢させていただきました(苦笑)。 私はキャスティングについては基本的に音響監督さんのオススメに依るところが大きい感じです。

安藤さん: 私の作品は、前に作っていた作品で関わった方でキャスティングさせていただきました。 田村睦心さんなら間違い無いだろう、と。浪川大輔さんは刀持った役多いですけどね(笑)。

カトキさん: 『武器よさらば』に関しては音響監督さんのオススメと私とプロデューサーの意見といったところでしたね。 “ちょっと渋めの”っていう大友ファンの40代くらいに刺さるところでキャスティングしています。 アフレコ現場も渋い男たちの、作品ともリンクした良い現場になったと思います。 あとエピソードとしては、なかなか決まらなかったのがラム役でした。“不良”っていうリクエストを出していたんですが、 なかなかイメージしているようなワルっぽい声が出る方が見つからず・・・ それで、私がよく洋画などでイメージ通りの声を出していると思っていた檀臣幸さんを推薦して通った形でした。 すごくハマっていると思います。

森田さん: ものすごいハマり役といえば、大友さんの『火要慎』のキャスティングは“江戸っ子を選ぶ”、というのがあったんですよね。 江戸弁を喋れる声優さんを何人かオーディションさせていただいて、森田成一さんに決めさせていただきました。 森田さんは自身が江戸っ子であることに強いこだわりを持っていて、生まれも育ちも下町で。まさに生粋でした。

---皆様が監督された作品の上映順はどういった流れで決まったものでしょうか?

土屋康昌プロデューサー: 『武器よさらば』がラストというのは最初から考えていて、あとは時系列順、というのがベースにありますね。

カトキさん: これ以上無い、っていう上映順になっていると思いますよ。

土屋プロデューサー: 前半はハートウォーミングというかアカデミックな感じですが、『GAMBO』で流れが変わって。いい起承転結ができたと思います。

---どういった世代の方に見ていただきたい作品群だと思いますか?

土屋プロデューサー: 作品によって惹かれる世代も違ってくるかと思いますが、特に『武器よさらば』は所謂“大友ファン”の40代くらいには見ていただきたいです。 もちろん、昔アニメを見ていたけど今はもう見ていないという層だけを狙ったわけではなく、若い世代には見ていただきたいと思っています。 あとは現在のアニメのヘビーユーザー以外にも届かせたい、という思いもありますね。何よりもカッコ良さを重視していますので。 若い人にも「カッコイイな」と思っていただける、Blu-rayとかDVDのパッケージを本棚に収めておきたいと思わせるような作品にしたかったんです。 この作品がひとつのインテリアにもなり得る、みたいな部分も強く意識して製作してきました。幅広い方々に「カッコイイ」と思っていただきたいです。




カトキハジメ 監督

1963年生まれ。デザイナー、イラストレーター。ガンダムシリーズのメカデザインを務め、プラモデルやアクションフィギュアのデザイン監修、「バーチャロン」「スーパーロボット大戦」などのビデオゲームのデザイン等を手掛ける。作品集「GUNDAMFIX」「機動戦士ガンダムUCメカニカルアーカイブ」など。

---それでは監督御三方からこれからご覧になる皆様へのメッセージを一言ずつよろしくお願いいたします。

森田さん: 私の作品はちょっと淡々とした作品なんですが、何度も見ていただきたいですね。 民話とかでもそうなんですけれど、何かちょっとしたきっかけでハマりだすといろいろ繋がってきて面白い要素もありますので、 何度も繰り返し楽しんでいただけると嬉しいと思います。

安藤さん: 短編ものに限らずですが、作品というものは説明しすぎてしまうとつまらなくなってしまう、というところもありまして、 かといって削ぎ落としても説明不足で、見ていただいた方に伝わるものがなくなってしまいます。 今回も非常に難しいバランスの中で作ったものですが、何か伝わるものがあればいいな、と思っています。

カトキさん: 「短編は詩みたいなものだよ」と大友さんが以前に仰っていて、解釈の自由度が高いものだと思うんです。 短編作品は削ぎ落として作るものなので、懇切丁寧に説明してくれる作品にはなかなかならない。 最近のエンタメ作品はわかりやすいものが多いので、それに慣れている方が観たら少し違った感覚を味わえるんじゃないかと思います。

---どうもありがとうございました!





大友克洋 監督

1973年漫画家デビュー。その後1983年「童夢」「AKIRA」などを発表。 「AKIRA」のアニメーション監督を自ら務め、「MEMORIES」「STEAMBOY」等も制作している。2005年フランス政府から芸術文化勲章シュバリエを授与されている。

『九十九(つくも)』

【STAFF】
脚本 監督:森田修平/ストーリー原案 コンセプトデザイン:岸 啓介

【ストーリー】
18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。

『火要鎮(ひのようじん)』

【STAFF】
脚本 監督:大友克洋/キャラクターデザイン ビジュアルコンセプト:小原秀一/音楽:久保田麻琴

【ストーリー】
18世紀、江戸の町。商家の娘お若と幼馴染の松吉。惹かれあう二人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんな最中、お若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火の中で再びめぐり合う二人。
巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル。

『GAMBO』

【STAFF】
監督:安藤裕章/原案 脚本 クリエイティブディレクター:石井克人/キャラクターデザイン原案:貞本義行

【ストーリー】
16世紀末。戦国時代末期。東北地方(最上領)の山中に天空より何かが落下した。直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして寒村に暮らす少女カオは白い熊と出会う。人の言葉を理解するその神秘的な熊にカオは救いを求めた。かくして鬼と白熊との激闘がはじまる。
新機軸のバイオレンス作品たるべく、荒く力強い画面を3DCGの技術を活用し描き出す。

『武器よさらば』

【STAFF】
原作:大友克洋/脚本 監督:カトキハジメ/キャラクターデザイン:田中達之

【ストーリー】
近未来。東京。砂漠の中の廃墟と化した都市を訪れたパワードスーツで武装した5人からなる小隊は一台の戦車型無人兵器と遭遇戦となる。しかし、次第に歯車が狂い始め小隊は窮地に陥っていく。
大友克洋の原作による伝説的な戦闘アクション漫画を、再構築し、リアリティと革新性のある描写をめざした。エキサイティングなアクション作品でありながらも、無常観の漂うテイストに仕上げた作品。

オープニングアニメーション

【STAFF】
森本晃司

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  映画『SHORT PEACE』オフィシャルサイト
映画『SHORT PEACE』
2013年7月20日公開
©SHORT PEACE COMMITTEE
©KATSUHIRO OTOMO/MASH・ROOM/SHORT PEACE COMMITTEE

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