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中川敬 (ソウル・フラワー・ユニオン) インタビュー

ROLLING STONES STORE

Tuesday, June 29th 2010

interview
ソウル・フラワー・ユニオン 中川敬


 ローリング・ストーンズ『メインストリートのならず者』デラックス・エディションの発売を記念しておくる、HMVスペシャル・インタビュー企画。題して「メインストリートのならず者、もしくは、ローリング・ストーンズをはてしなく語る夕べ」

 『メインストリートのならず者』スーパー・デラックス・エディションに加え、SHM-CD/紙ジャケ・ボックス第2弾の到着を受けての第5回目のゲストは、”国境を動揺させる”オルタナティヴ・ミクスチャー・ロックンロール・バンド、ソウル・フラワー・ユニオン中川敬さん。以前、ソウル・フラワーのニュー・アルバム・リリース時にお話をお伺いした際にも、随所でざっくばらんなローリング・ストーンズ論をお聞かせくださった中川さん。

 ストーンズにしろ、ビートルズにしろ、それはずばり「10代前半の頃に子守唄のように聴いてた民謡のようなもの」。この「抜きがたき、忘れがたき心の故郷」、いかにして中川さん、ソウル・フラワー・ユニオンの血となり肉となり得ているのでしょうか? 魂花流転石論、お愉しみください。また、先月発刊された、ルポライターの今拓海さんのご著書『ザ・ローリング・ストーンズ <ジャンピン・ジャック・フラッシュ> の聴き方が変わる本』には、中川さんと今さんの濃厚対談が巻末に掲載されています。こちらも併せてご確認どうぞ。


インタビュー/構成: 小浜文晶  




--- 本日は宜しくお願いいたします。先日発刊された(註)今拓海さんのご著書『ザ・ローリング・ストーンズ <ジャンピン・ジャック・フラッシュ> の聴き方が変わる本』の対談ページでもお話されていましたが、中川さんが一番最初に買ったローリング・ストーンズのレコードというのは、『サタニック・マジェスティーズ』だったそうですね。

 小学校高学年から中学1、2年にかけてはビートルズばっかり聴いててね。ウィングスやジョン・レノンのソロも聴いて、「もっといろんなものが聴きたいな」と思ったときに、ものの本によると「どうやらビートルズにはローリング・ストーンズという強力なライバルがいるらしいぞ」と(笑)。俺は特に(註)ビートルズの『リヴォルバー』(註)『サージェント・ペパーズ』(註)『マジカル・ミステリー・ツアー』あたりが好きやったから、ローリング・ストーンズがそのあたりに影響を受けて作ったということになっている『サタニック・マジェスティーズ』をまずは買って聴いてみよう、ということになるわけやね。そうしたら、ドンピシャ。かっこいい!(笑) 擦り切れるぐらい聴いたよね。


  (註)今拓海さんのご著書『ザ・ローリング・ストーンズ <ジャンピン・ジャック・フラッシュ> の聴き方が変わる本』(文藝春秋)・・・「生まれたときから太陽と月とストーンズがあった」世代のルポライター、今拓海(こん・たくみ)が、<ジャンピン・ジャック・フラッシュ>や<サティスファクション>などストーンズ名曲群の歌詞世界の背後に隠された”謎”から、「既成概念」、「精神風土」、「宗教問題」といった時代背景を明らかにした、これまでのストーンズ研究本とはひと味もふた味も違うアプローチの評論集。巻末には中川さんとの特別対談「ストーンズは何と闘ってきたのか?」を収録。濃厚なストーンズ論にとどまらず、そこから時代の政治・社会・宗教へと議論は回転していく。


(註) 本文中に登場するビートルズのアルバム

リヴォルバー サージェント・ペパーズ マジカル・ミステリー・ツアー
『リヴォルバー』
『サージェント・ペパーズ』
『マジカル・ミステリー・ツアー』



 その次に、やっぱり60年代のこういうテイストが好きやから、初期のベスト盤を買ったんやね。それが『ビッグ・ヒッツ(ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)』。買ったはいいけど、代表曲と呼ばれている<サティスファクション>とか<ラスト・タイム>とかを聴いたら、あまりにもスカスカな音でさ(笑)。「コーラスも適当やし・・・何なんだ、この世界は?」みたいな(笑)。なまじビートルズや同時代のポップスやロックで育っちゃってるから、そう聴こえてしまったんやろね。70年代後半のこと。 

--- リアルタイムでは、『サム・ガールズ』あたりが出ている頃ですよね。

 いわゆる「ベスト・ヒットUSA」みたいなテレビ番組でもそのあたりがよくかかってたけど、「今のストーンズはかっこ悪いなぁ」って思ってた(笑)。<エモーショナル・レスキュー>や<ミス・ユー>の感じが中学生ぐらいではなかなか、わからないんよね。

 ベスト盤を買った当初は、いまいちな感じやったんやけど、聴いていくうちに得も言われぬ魅力というか、魔力に憑り付かれていって(笑)、3枚目に買った『ベガーズ・バンケット』! これでもう俺の人生決まり(笑)。それまでアコースティック・ギターは弾いてたんやけど、「よし! エレキ・ギターを買うぞ! バンドをやるぞ!」みたいな。俺にとっての“クロス・ロード”、まさしく悪魔との契約やったわけ(笑)。

   その1年後ぐらいに『刺青の男』が出たんやけど、リアルタイムで、予約をしてポスター付きで買ったストーンズの初めてのアルバムやね(笑)。

--- オープニングの<スタート・ミー・アップ>にガツンと・・・

 あの(註)ボブ・クリアマウンテンのサウンドは明快やったね。<スタート・ミー・アップ>、<ハング・ファイアー>、<ネイバーズ>、<ウォリード・アバウト・ユー>、<友を待つ>、この5曲のプロモ・ビデオが巷でよくかかってて。「自己イメージをより自分らで強調する」みたいなヴィジュアル戦略に、まんまとハマってしまったんやね(笑)。


  (註)ボブ・クリアマウンテン・・・70年代から現在に至るまでに第一線で活躍する名ミックス・エンジニア。ストーンズ作品は、『刺青の男』、『Still Life』、『Stripped』、『Live Licks』のミキシングを担当しており、最近では、映画『Shine A Light』を手掛けていることでも有名。80年代からニューヨークのパワー・ステーション・スタジオを拠点に、ロキシー・ミュージック『Avalon』、ブルース・スプリングスティーン『Born In The U.S.A』、ブライアン・アダムス『Reckless』、ホール&オーツ『Big Bam Boom』、ボン・ジョヴィ『These Days』などのミックスを手掛け、ドラムに重きを置いたシャープでソリッドなロック・サウンドのスタンダードを作り上げた。


--- 同じ衝撃でも『サタニック・マジェスティーズ』の世界とはかなりかけ離れていますよね?

 逆におもしろかったよね、子供心に。すでにストーンズはその段階で20年弱の歴史があったから。アルバム毎に、いろんな音楽を聴くような感じの楽しさがあったよ。

--- その当時、ビートルズにしろストーンズにしろ周囲に “理解者” みたいな友人はいらっしゃったのでしょうか?

 全然いなかった。時代的に楽器をやる奴はみんなヘヴィ・メタルとかフュージョンとかに夢中。だから、自分がバンドをやるために、RCサクセションとかARBとかが好きな奴らをオルグしていく感じやったね。カセット・テープに録音して、「これを聴け!」みたいな(笑)。そこで、ちょっと好きになったようなヤツらと、高校1年のときにストーンズのコピー・バンドを始めるんやけどね。ストーンズ、(註)村八分のコピーから始まって、だんだんとオリジナル曲なんかも作っていく。


村八分の商品一覧ページへ   (註)村八分・・・チャー坊こと柴田和志(vo)と元ダイナマイツの山口冨士夫(g)を中心に、浅田哲(g)、青木真一(b)、恒田義見(ds)によって1969年京都で結成された村八分は、解散する1973年(後の79年に再結成)までのわずか5年間に、エレック・レコードから発表した公式アルバム『ライブ』(73年に京都大学西部講堂で行われた解散ライブ)のみを残し伝説となった。京都弁丸出しで歌われるチャー坊の煽動的な歌詞に、グラムロック的な妖しいメイクを施した山口富士夫がキース・リチャーズ直系ともいえるリフをぶつけ、日本(のアンダーグラウンド)における”ストーンズ・チルドレン”の元祖的な存在ともなった。音源の発表よりもライブにこだわりつづけた彼ら。94年のチャー坊の死をきっかけに若いインディ・ロック・ファンからの再評価の機運が高まり、初期スタジオ音源『草臥れて』や様々な発掘ライヴ音源、さらに2005年には8枚(+DVD1枚)組ボックス・セットまでが登場しファンを酔狂させた。70年代の日本ポピュラー・ミュージック史に不穏な空気とともに、真にカルチャーとしてのロックを持ち込んだ伝説のバンドとして、「村八分」という名は今も不気味に輝きつづけている。


--- 『ベガーズ・バンケット』を聴いたときに、ライ・クーダーのようなストーンズの“横のつながり”にいるようなミュージシャンのレコードなどにも同時に食指を伸ばしていたのでしょうか?

 当時ガキやった頃の俺からしてみれば、とにかくストーンズからは、他のロックにはない独特なものを受け取ってしまってたんよね。だから、“横”というよりは“縦のつながり”、むしろ、ストーンズのメンバーが聴いていたものを聴こう、ということになった。(註)マディ・ウォーターズ(註)ハウリン・ウルフ(註)エルモア・ジェイムス(註)ジミー・リード(註)モータウン(註)スタックス・ソウル・・・。

--- その頃すでに<放蕩息子>のオリジナル((註)ロバート・ウィルキンス)を聴いていたりとか?

 年がら年中、学校帰りに大阪の中古レコード屋とかブルース専門店でそんなんばっかり探してた(笑)。ストーンズのおかげで、高校生ぐらいのわりと早い時期に、ブルース、ソウル・ミュージック、ルーツ・レゲエ、グラム、パンク・・・いろんなジャンルの音楽を知ることができたっていうのはあるよね。それは自分にとって大きな財産になってる。特にカントリーあたりは、ストーンズを聴いてなかったらそんな簡単に入っていけなかったような気もするし。


(註) 本文中に登場するブルースマンの主なアルバム / モータウン、スタックスのコレクションCD

Best of Moanin In The Moonlight Best Of Elmore James Vol.2 I'm Jimmy Reed
マディ・ウォーターズ
『ベスト』
ハウリン・ウルフ
『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』
エルモア・ジェイムス
『ベスト Vol.2』
ジミー・リード
『アイム・ジミー・リード』
Prodigal Son -放蕩息子 Motown 50 -The Best Of Motown Stax 50 -50th Anniversary Celebration
ロバート・ウィルキンス
『プロディガル・サン』
V.A.
『ベスト・オブ・モータウン』
V.A.
『スタックス 50th』
 


--- 『メインストリートのならず者』のLPもその時期に入手されるわけですよね。

 高校1年の一年間にストーンズのアルバムは全部入手してる。まあ、憑り付かれてしまったということやね(笑)。同時期にロックでもザ・フー、キンクス、Tレックス、ニュー・ウェイヴ等々、あらゆるものを聴いてたけど、ストーンズだけは別格やった。

 あと、高校1年ぐらいから、学校帰りに大阪ミナミのロック喫茶に屯するようになって、常連客になってまうんよね。で、高校卒業したらそこの店員になって(笑)。そこでいろんなものを教えてもらったよ、10ぐらい上の世代の常連客から。まさにリアルタイムで『スティッキー・フィンガーズ』や『山羊の頭のスープ』を聴いてた世代やから、彼らからの影響もやっぱり大きいよね。

--- 中川さんより10歳ぐらい上の世代の方ですと、ストーンズではどのあたりのアルバムに思い入れが強い感じだったのでしょうか?

 なぜか、その世代はみんな『山羊の頭のスープ』が好きやったね。結局中止にはなったけど、1973年に初来日が予定されてたし、大きく宣伝されてた頃やからかな? 彼らは、デヴィッド・ボウイやTレックスあたりを聴いてたグラム・ロック世代っていうこともあったから、『山羊の頭のスープ』ということになるのかもね。俺にとっては、『ベガーズ・バンケット』から『メインストリートのならず者』までの4枚が間違いなくストーンズの黄金期。まあ、各々優劣付けるのは簡単やねんけど・・・『アンダーカヴァー』ぐらいまでは懐メロを聴くように全作聴けてしまうよね、実に気分良く(笑)。

--- 『サタニック・マジェスティーズ』は、さらに特別と。

 出逢いのアルバムやしね。あれを「駄作」と言いたい人の気持ちも判るけど、雑多なものが混在しながらも、ストーンズならではの咀嚼の作法がある、最初のセルフ・プロデュース作。1967年、英米におけるサイケデリック時代の波をもろに被ったアルバム、例えば、(註)ザ・フー『セル・アウト』(註)スモール・フェイセズ『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク』(註)キンクス『サムシン・エルス』とか、そういう中にあっての『サタニック・マジェスティーズ』。やっぱり、ええアルバムやなと俺は思うけどね。あのアルバムを「駄作」とか言っている奴は、実はちゃんと聴いてないんとちゃう?(笑)


(註) 本文中に登場するアルバム

Sell Out -Deluxe Edition Ogdens Nut Gone Flake Something Else
ザ・フー
『セル・アウト』
スモール・フェイセズ
『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク』
キンクス
『サムシン・エルス』

--- その後(註)ニューエスト・モデルでプロとしての活動をされるようになる中で、あらためてストーンズ作品との距離感みたいなものに変化というのはあったのでしょうか?

 いや、もうストーンズやビートルズは、自然と“出てきてしまう”感じのものやねんね。簡単に言うと、10代前半の頃に子守唄のように聴いてた音楽やから、民謡みたいなもの(笑)。で、また、自分らの中でもあまりストップをかけない(笑)。「こういうアレンジにしたら、あの曲のあの部分に似てしまうな」とか思っても、それが“あり”やったりする。まぁ、『サタニック・マジェスティーズ』になっちゃうあたりは、ソウル・フラワーならではかもしれないけど(笑)。


ニューエスト・モデルの商品一覧ページへ   (註)ニューエスト・モデル・・・1985年地元・大阪で中川敬を中心に結成されたニューエスト・モデル。インディ期は、ノーザン・ソウル、モッズ、60sガレージに、ジャムやストラングラーズ直系のストレートなパンク・ロック的なサウンド指向にあったが、89年のメジャー第1弾アルバム『ソウル・サヴァイヴァー』からは、徐々にサイケデリック・ロック、ニューオリンズ・セカンド・ライン、ザディコ、アイリッシュ・トラッド、ニュー・ソウル、ファンク、ヒップホップ、カリプソなど広汎な世界音楽を取り入れ、日本の真のミクスチャー・ロック・バンドの先駆けとして圧倒的な支持を受けた。93年、ソウル・フラワー・レーベルの盟友メスカリン・ドライヴとの合体を果たし(事実上のニューエスト・モデルおよびメスカリン・ドライヴの解散)、ソウル・フラワー・ユニオンが結成されることとなる。



 わりと最近で言えば、(註)『カンテ・ディアスポラ』に入っている<スイミング・プール>をアレンジしているときに、「このブレイクの感覚って、たしか『サタニック・マジェスティーズ』にあったよな?」って思ったりとか、そういうのはちょいちょいある。それを自分でおもしろがってるけどね。そういう意味でも、自分の人生の転機になったアルバムは世界中にあるけど、英米のロックというジャンルに限定して言えば、『サタニック・マジェスティーズ』に『サージェント・ペパーズ』、あと(註)ヴェルベッツの『ホワイト・ライト・ホワイト・ヒート』あたりは、どうやら俺にとってはすごく重要なアルバムみたいやね。


ソウル・フラワー・ユニオン 『カンテ・ディアスポラ』   (註)ソウル・フラワー・ユニオン 『カンテ・ディアスポラ』収録の<スイミング・プール>・・・2008年9月に発表されたソウル・フラワー・ユニオンの9thアルバム。タイトルの「カンテ」はスペイン語で「うた」、「ディアスポラ」は古代ギリシャ語で「離散」を意味する。<月光ファンファーレ>、<愛の総動員>、<海へゆく>、<ラヴィエベル〜人生は素晴らしい>、<閃光花火>、<辺野古節>といった現在のソウル・フラワーの最重要ライヴ・レパートリーがずらりと並んでいる。サイケ風味のイントロから束の間のドラム・ブレイクを挟み浮遊しはじめる<スイミング・プール>。中川さんが本文中で言及されているこの曲のブレイクの感覚は、たしかに『サタニック・マジェスティーズ』所収の<2000光年のかなたに>あたりを想起させるものがある。


White Light White Heat   (註)ヴェルヴェット・アンダーグラウンド『ホワイト・ライト・ホワイト・ヒート』・・・アンディ・ウォーホルと袂を分かった1968年に発表されたセカンド・アルバム。より前衛色を強め、ホワイトノイズを多用した17分に及ぶ大作<シスター・レイ>のような作品が並ぶなど、ルー・リードとジョン・ケイルの音楽性が激しくぶつかり合いながら、ときに融合を重ねた奇跡のアルバム。ケイルはこのアルバムを最後にグループを脱退することとなる。


--- 『サタニック・マジェスティーズ』には、『メインストリートのならず者』とはまた異なる“ごった煮感”がありますよね。 では、その『メインストリートのならず者』は、当時の印象としてはいかがでしたか?

 当然メチャクチャ聴いたよ。大好きやった。<ロックス・オフ>、<リップ・ディス・ジョイント>で早々ノックアウト。

--- 今回お蔵出しとなった未発表ボーナス・トラックはいかがでしたか?

 おもしろかったよ。ちょうどレコーディング中でもあったから、スタジオのビッグ・スピーカーで大音量で聴いたんやけど、ベーシックの楽器と新録ダビングものを何とかうまくまとめようと苦労してる(笑)。でもまぁ、ミック・ジャガーが半年ぐらいこのプロジェクトにかけたっていうのもよく判ったよ。随分と力入ってるなぁ、みたいな。後半に進むにつれて、「これは入れなくてよかったんちゃう?」っていうのがちらほら出てくるけど(笑)。

--- (笑)後半ですと、<グッド・タイム・ウィメン>なんかは?

 あれはおもしろかった。そもそも<パス・ザ・ワイン(ソフィア・ローレン)>、<アラジン・ストーリー>、<ダンシング・イン・ザ・ライト>にしても、昔からよく海賊盤で出回っていたものなんやけど、その中でも特に有名やった<グッド・タイム・ウィメン>は、今回クリアなサウンドで聴いてみると、最初期は(註)フライング・ブリトー・ブラザーズ風のカントリー・ロックっぽいテイストでやろうとしてたんやな、というのが判ったりして。ミック・テイラーのスライド・ギターなんかも入ってた初期テイクが、最終的に<ダイスをころがせ>に変わっていくっていうのを考えると、やっぱりローリング・ストーンズというのはきわめて真面目な音楽集団なんやなと。


フライング・ブリトー・ブラザーズの商品一覧ページへ   (註)フライング・ブリトー・ブラザーズ / グラム・パーソンズ・・・68年カントリーの聖地ナッシュビルで『ロデオの恋人』を録音したバーズ。そのナッシュビル詣を強くすすめたグラム・パーソンズがアルバム完成直後にバーズを抜け、クリス・ヒルマンやスニーキー・ピートらと結成したのがフライング・ブリトー・ブラザーズだった。「カントリーとロックの融合」を目指した先に生まれた『黄金の城』、『ブリトー・デラックス』、この初期2枚のアルバムで体現された「カントリー・ロック」という新しいアメリカン・ロックの潮流は、ストーンズをも巻き込むかたちで発展していく新しいスタンダートとなり得た。


--- 一般的には、一発録りのイメージが強いんですが、1曲を仕上げるまでに実はかなりの慎重を期していることも窺えますよね。

 でも、もっとクオリティの高い未発表曲もあるはずなんよね。俺は海賊盤を聴きまくってたから判る(笑)。『メインストリートのならず者』頃のセッションに時期を限定したからこうなっただけであって。いわゆる(註)「グレイト・ギタリスト・ハンティング」の時期、つまり『ブラック・アンド・ブルー』のときのセッションや、『女たち』から『刺青の男』に向かっていくときのセッションとか、もっと質の高い未発表曲はたくさんあるはず。出し惜しみしてるよね。


左から:ロン・ウッド、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ@マジソン・スクエア・ガーデン 1975   (註)グレイト・ギタリスト・ハンティング(または、グレイト・ギタリスト・ハント)・・・『イッツ・オンリー・ロックンロール』完成後に脱退したミック・テイラーの後任ギタリストを決めるために、1975年にドイツのミュンヘンで行われたオーディションを兼ねたスタジオ・セッション。また同時に、すでに制作にとりかかっていた次のアルバム『Black And Blue』のレコーディング・セッションも並行して行っていた。ジェフ・ベック、スティーヴ・マリオット、エリック・クラプトン、ウェイン・パーキンズ、ハーヴィー・マンデル、ピーター・フランプトン、クリス・スペディング、ロリー・ギャラガー、ロベン・フォード・・・名うてのギタリストがこれでもかとスタジオに訪れ、「ストーンズ入団」の熱い想いをギターで伝えた(ベック以外)。最終選考まで残ったのはご存知ロン・ウッド(当時まだフェイセズに在籍)とクラプトンだったが、「君は俺よりうまいギタリストだけど、ストーンズとの人生を生き抜くことは絶対にできない」とロニーはクラプトンに言い放ち、そこで勝負はあった。見事その座を射止めることになったが、契約上はあくまで給料制の「サポート・ギタリスト」であり、正式なバンド・メンバーとなるのはここから18年後の93年であったということは意外と知られていない。写真は、75年N.Y. マジソン・スクエア・ガーデン公演のアンコール(<悪魔を憐れむ歌>)にエリック・クラプトンが飛び入りした際のもの。壮観!


--- それでも、ストーンズはなかなか簡単には未発表曲、未発表テイクを蔵出ししませんよね。

 シングルのカップリングなんかにしても昔からレア曲を入れなかったからね。『イッツ・オンリー・ロックンロール』のシングルB面の(註)<スルー・ザ・ロンリー・ナイト>(註)『ミス・ユー』の12インチ・ロング・ヴァージョンぐらいやったんとちゃう? グリマー・ツインズが、ある種クオリティというものをすごい大事にしているということもあるからね。


『イッツ・オンリー・ロックンロール』のシングルB面の<スルー・ザ・ロンリー・ナイト>、『ミス・ユー』 12インチのスペシャル・ディスコ・ヴァージョン   (註)<スルー・ザ・ロンリー・ナイト>、『ミス・ユー』 12インチ・ロング・ヴァージョン・・・1974年の『イッツ・オンリー・ロックンロール』のシングルB面に収録された美しいバラード・ナンバー、<スルー・ザ・ロンリー・ナイト>は、2005年にリリースされたレア・トラック集『レアリティーズ 1971-2003』(現在廃盤)が発売されるまで長らくCD化されず、ストーンズ楽曲の中では最も有名な”LP未収録”曲として語られていた。ひとつ前の『山羊の頭のスープ』におけるセッションで作られた曲ということで、ジャマイカはダイナミック・サウンズでの録音。レッド・ツェッペリンのエンジニア、キース・ハーウッドがこのセッションに関わっていたこともあり、ジミー・ペイジが参加している。また、ストーンズ初の12インチ・シングルとなった『ミス・ユー』は、ボブ・クリアマウンテンによるリミックスが施された8分半にも及ぶロング・ヴァージョンに仕上げられ、「スペシャル・ディスコ・ヴァージョン」としてこの時代を代表する1曲となった。こちらも先述の『レアリティーズ』に収録されたが、残念ながら短くエディットされてしまっている。



(次の頁へつづきます)






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ソウル・フラワー・ユニオン / ソウル・フラワー・モノノケ・サミット 今後のライヴ・スケジュール


「ダンスは機会均等!」ツアー

> 2010年9月18日(土)
<大阪>umeda AKASO
開場18:00/開演19:00
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GREENS tel.06-6882-1224

> 2010年9月19日(日)
<京都>磔磔
ゲスト有り
開場18:00/開演18:30
料金:前売4,200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GREENS tel.06-6882-1224

> 2010年9月23日(木・祝)
<横浜>F.A.D YOKOHAMA
開場18:00/開演19:00
料金:前売4200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:SOGO tel.03-3405-9999

> 2010年9月25日(土)
<東京>duo MUSIC EXCHANGE
開場18:00/開演19:00
料金:前売4200円/当日4,700円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:SOGO tel.03-3405-9999


*各公演共に、キッズチケット 前売2,100円/当日2,300円 (税込・ドリンク別)
*キッズチケットは高校生が対象となります。(学生証をご持参ください。ご入場順につきましては、整理番号をお持ちの方の後になります。一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、ご一緒に入場できます。)
*中学生以下は入場無料。中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)



ニューアルバム発売記念ツアー(タイトル未定)

> 2010年12月4日(土)
<名古屋>CLUB QUATTRO
開場18:00/開演19:00
料金:大人4,200円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:JAILHOUSE tel.052-936-6041

> 2010年12月5日(日)
<大阪>BIG CAT
開場18:00/開演19:00
料金:大人4,200円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:GREENS tel.06-6882-1224

> 2010年12月7日(火)
<福岡>DRUM Be-1
開場18:00/開演19:00
料金:;大人4,200円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:BEA tel.092-712-4221

> 2010年12月11日(土)
<東京>赤坂BLITZ
開場18:00/開演19:00
料金:大人4,200円 (税込・ドリンク別・整理番号付)

問:SOGO tel.03-3405-9999


*各公演共に、キッズチケット 2,100円 (税込・ドリンク別)
*キッズチケットは高校生が対象となります。(学生証をご持参ください。ご入場順につきましては、整理番号をお持ちの方の後になります。一般チケットをお持ちの方と同伴の場合は、ご一緒に入場できます。)
*中学生以下は入場無料。中学生以下は入場無料。保護者同伴にてご入場下さい。
*障がい者に付き添いの介護の方1名は入場無料とさせていただきます。(障がい者手帳を必ずご持参下さい)



RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO

> 2010年8月14日(土)
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
詳細はイベントオフィシャルサイトをご確認ください。
問:RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO


DAISEN MONDO MUSIC FESTIVAL 10

> 2010年8月22日(土)
鳥取県境港市 夢みなと公園特設ステージ
詳細はイベントオフィシャルサイトをご確認ください。
問:DAISEN MONDO MUSIC FESTIVAL 10


ガガガSP 野外フェス「長田大行進曲」

> 2010年9月25・26日(土・日)
神戸六甲山カンツリーハウス内人工スキー場
出演:ガガガSP / ソウル・フラワー・ユニオン and more... 詳細はイベントオフィシャルサイトをご確認ください。
問:ガガガSP 野外フェス「長田大行進曲」


ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
もののけ盆ダンスツアー/〜辺野古の海から世界が見える


> 2010年8月25日(水)
<名古屋>TOKUZO
出演:出演:ソウル・フラワー・モノノケ・サミット/知花竜海(from 琉球)/上間綾乃(from 琉球)
開場18:00/開演19:00
料金:前売4000円/当日4,500円 (税込・ドリンク別)

問:TOKUZO tel.052-733-3709

> 2010年8月26日(木)
<京都>磔磔
出演:出演:ソウル・フラワー・モノノケ・サミット/知花竜海(from 琉球)/上間綾乃(from 琉球)
開場18:00/開演19:00
料金:前売4000円/当日4,500円 (税込・ドリンク別)

問:磔磔 tel.075-351-1321

> 2010年8月29日(日)
<東京>吉祥寺 STAR PINE'S CAFE
出演:出演:ソウル・フラワー・モノノケ・サミット/知花竜海(from 琉球)/上間綾乃(from 琉球)
開場18:00/開演19:00
料金:前売4000円/当日4,500円 (税込・ドリンク別)

問:STAR PINE'S CAFE tel..0422-23-2251

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ソウル・フラワー・ユニオン

 1992年、中川敬率いるミクスチャー・パンク・バンドのニューエスト・モデルと、伊丹英子率いるガールズ・ガレージ・バンドのメスカリン・ドライヴの同時解散・統合という形で、ソウル・フラワー・ユニオンが結成される。93年に1stアルバム『カムイ・イピリマ』、94年に2ndアルバム『ワタツミ・ヤマツミ』をリリース。95年、阪神・淡路大震災の被災地で ソウル・フラワー・モノノケ・サミット名義による「出前慰問ライヴ活動」を開始。ロック的アプローチのソウル・フラワー・ユニオンと、チンドン・ミュージック的アプローチのソウル・フラワー・モノノケ・サミットの同時並行活動が始まり、翌年、名曲<満月の夕>が生まれた。この時期、2枚のアルバム『アジール・チンドン』、『レヴェラーズ・チンドン』をリリースしている。また、中川敬は、ソロ・プロジェクト「ソウシャリスト・エスケイプ」で、アイリッシュ・トラッド界の先鋭達と『ロスト・ホームランド』、『マージナル・ムーン』を制作。99年8月には、韓国・釜山のフェスに、日本語解禁後、公式では初の「日本語バンド」として訪韓。年末には、初のライブ・アルバム『ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ』をリリースする。2000年、フジ・ロック・フェスの最終日の大トリを務め、伝説的ライブ・パフォーマンスを披露。初の映画サウンドトラック『アンチェイン』(豊田利晃監督)もリリース。2002年、モノノケ・サミットが、東ティモール(独立祝賀コンサート)やフランス(計22公演)などでライヴ。中川敬は、北方領土・国後島のムネオ・ハウス前でもライヴを行う。2003年、伊丹は、耳の難病「音響性外傷」と「子育て」の為、モノノケ・サミットに専心。高らかに非戦を謳うコンセプト・アルバム『シャローム・サラーム』をリリース。2005年、モノノケ・サミットとしてヨルダン・パレスチナ難民キャンプでライブを行う。ソウル・フラワー・ユニオンとしてのアルバム『ロロサエ・モナムール』をリリース。2006年、モノノケ・サミットの3rdアルバム『デラシネ・チンドン』リリース。2007年、新たな米軍基地建設が計画される沖縄・辺野古のビーチにて「ピース・ミュージック・フェス」を企画・出演。中川・奥野・リクオの3人による地方巡業用ユニット、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンが本格始動。2008年、初のライヴDVD『ライブ辺野古』、アルバム『カンテ・ディアスポラ』をリリース。2009年、新メンバー、高木克(g)の加入した最新マキシ・シングル『ルーシーの子どもたち』、2枚目となるライヴ盤『エグザイル・オン・メインビーチ』をリリース。2010年は元旦に『アクア・ヴィテ』、6月30日に『死ぬまで生きろ!』という2枚のマキシ・シングルをリリース。トラッド、ソウル、ジャズ、パンク、レゲエ、ラテン、民謡、チンドン、ロックンロールなどなど、世界中のあらゆる音楽を精力的に雑食、それを具現化する祝祭的ライヴは、日本最強のオルタナティヴ・ミクスチャー・ロックンロールと評される、唯一無二の存在として、国内外を問わず高い評価を得ている。