シノーポリ／シューマン：『楽園とペリ』全曲

Wednesday, April 14th 2010

シューマン：『楽園とペリ』全曲
シノーポリ＆シュターツカペレ・ドレスデン

アイルランドの詩人トーマス・ムーアの韻文物語『ララ・ルーク』を読み、すっかり幸福な気持ちになったシューマンが、全力で取り組んだのが大作『楽園とペリ』。
　罪をおかして楽園を追放された妖精ペリが、様々な試練を乗り越えて再び楽園へと迎え入れられるという内容のこのオラトリオは、1843年、シューマンが33歳の時に完成しています。
　シューマン自身、作品の出来にはかなり自信を持っており、「最近、私は10万個もの音符を書き付けました。これは私が今までに試みた中では最大の規模のものです。一種のオラトリオですが、礼拝堂のためのものではなく、心朗らかな人間のためのものです。」と述べています。
　実際、初演は大成功を収め、続く再演や、ドイツ各地の主要都市での演奏会も成功、さらにメンデルスゾーンからも最大級の賛辞を贈られるなど、心血注ぎ込んだシューマンの努力は十分に報われることとなります。
　声楽を要する100分近い大作ながら、静かな人気のあるこの作品は、現在、カンブルラン盤、アーノンクール盤、ガーディナー盤、ジュリーニ盤、ジョルダン盤、シス盤、クーン盤、ダウス盤、ハウシルト盤、堀俊輔盤とリリースされており、廃盤はアルブレヒト盤のみという状況です。
　シノーポリ盤は数ある競合盤の中でも最も克明な表情付けのなされた演奏で、絶妙な色彩表現力を持つオーケストラの力を得て、幻想的な音楽から豊かで明快な味わいを引き出すことに成功しています。
　組み合わせは、同じシューマンの『序曲、スケルツォとフィナーレ』。明るい雰囲気のこの曲のフィナーレには、『楽園とペリ』に登場する旋律が使用されていることでも有名です。

【収録情報】
・シューマン：オラトリオ『楽園とペリ』op.50
　ジュリア・フォークナー、ハイディ・グラント・マーフィー（ソプラノ）
　フローレンス・クイヴァー、エリーザベト・ヴィルケ（メゾ・ソプラノ）
　キース・ルイス、ロバート・スウェンセン（テノール）
　ロバート・ヘイル（バス）
　ドレスデン国立歌劇場合唱団（合唱指揮：ハンス＝ディーター・プリューガー）
　シュターツカペレ・ドレスデン
　ジュゼッペ・シノーポリ（指揮）

　録音時期：1994年3月
　録音方式：デジタル

・序曲、スケルツォとフィナーレop.52
　シュターツカペレ・ドレスデン
　ジュゼッペ・シノーポリ（指揮）

　録音時期：1993年8月、10月
　録音方式：デジタル
　原盤：DG