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【HMV インタビュー】B.I.G. JOE /page.1

Friday, February 26th 2010

interview

B.I.G.JOE

3月3日に発売になる、B.I.G. JOE 3rd album『Rize Again』。それは、とんでもなく僕のバイヤー魂、否、一音楽ファンとしての感情をひりひりと刺激するアルバムだった。今回、そのアルバムをリリースするB.I.G. JOEにインタビューという幸運が舞い込んだ。1時間30分にも及ぶロングインタビューに、最後まで真摯な姿勢で答えるB.I.G. JOE。実際、対面させて頂いて、彼の人間力なるものを強く感じるインタビューだった。鍛え上げたメンタル、フィジカル両面からみなぎる自信とエナジー。真っ直ぐ相手の目を見て、真面目に話す姿に妙な威圧感はなく、それどころか相手を暖かく迎え入れるおおらかさを持っていた。このインタビューを読んで、そんなB.I.G. JOEの人間力に触れていただければと思います。

シーンが大きくなっている事は感じますね。

--- まず初めに、ここ数年の日本のHIP HOPのシーンは、ヤバい作品が続々とリリースされ、今までHIP HOPをあまり聴いていなかったリスナーにも肌感覚で感じさせるほど、何かが起こる予感みたいなものを感じさせますが、JOEさんは、そんなシーンをどのように見ていますか?

前と比べて、層が厚くなったという意味でいろんな才能が出てきてますよね。機は熟したというか。定着という意味でも。帰ってからCDショップも行きましたけど、JAPANESE HIP HOPもREGGAEも並んでいる棚の数が以前よりも格段に増えている。扱われる頻度もね。以前はインディーズの棚のちょっとしたところだったと思うんですけど、HIP HOPで独立した棚があったりだとか。そういう意味でシーンが大きくなっている事は感じますね。高校生、中学生っていう多感な時期に、音楽を始めるというと、昔ならばバンドだったのが、今はラップだとかDJだとか言うところに変わってきている気はします。

--- JOEさんの周りにも、そういった若い世代が集まってきたりするんじゃないですか?

そうですね。嬉しかったのが、クラブっていう所は大人の人しか来れないじゃないですか。一回、昼間にRUMIちゃんのリリースパーティーでゲストとして行かせて貰ったときに、18歳の子が手を震わせて握手を求めてきたことがあって。その手の震えが本当に伝わってきたんですよ。やっぱり、そういう子たちが聴いてくれているんだなと思って。

自分自身を奮い立たせてアートしていく、気持ちを伝えていくっていうのが僕のチョイスだった。

--- 本当に裾野が広がっていますよね。このJOEさんの『RIZE AGAIN』というアルバムも、確実にそのシーンを押し上げる一枚になると思います。そんなアルバムについて伺わせてください。
まず1曲目で出所の瞬間の再現から2曲目タイトル曲「Rize Again」という流れ。JOEさんが「戻ってきたぜ」「これから始まるぜ」っていうのがいきなりガツンと伝わってきてグッと惹きつけられる流れだと思いますが、この流れは最初から意識してたんですか?

まず「Rize Again」っていうタイトルはなんとなくおぼろげにあったんですね。「Lost Dope」「Come Clean」。その2つの単語を合わせたタイトルを1st、2ndと常に使ってきたので、今回3rdを出すにあたってもそうしようと思って「Rize Again」っていう言葉がずっとあったんです。「Rize Again」っていう曲自体は帰ってから作ろうと決めていた。そこにSKY君のビートを頂いたんで書いたんですけど。

--- その「Rize Again」という言葉がまさに、JOEさんの思いを表していますよね。そのタイトル曲に今回NORIKIYOさんを抜擢したのはどうしてでしょう?

僕が帰国してからいくつかのアルバムを聴かせてもらった中で、最高にイケてるラッパーだと思ったんですよ。実際彼に会って、話をして。SKYのビーツにNORIKIYO君がかっこよく乗せてくれるだろうと思って。僕はMIC JACK PRODUCTIONをまとめる役で、彼もSD JUNKSTAをまとめる役という意味で共通項があって。その一家をまとめている者同士が手を組むというところに意味を持たせたかったというのはあります。

--- 服役中は音楽を聴いたり、触れ合うことは出来る状況だったんですか?

基本的には聴けなかったんですけど、僕がいた6年間という長い期間の中で、“裏技”っていうんですか?そういうのを発見するんですね、たまに。もちろんそこには僕の情熱というのもあって。CDなんて別にイリーガルなものではないし、それが悪い事に発展することはないんですけど、規制は規制。僕の情熱で、その“裏技”を使える人に頼む。そうしたら、それが伝わって、本当はダメだけど、わかってくれる。こいつはマジなんだな、音楽はコイツのフューチャーなんだなって。その人は看守側の人なんですけどね。

--- 規制された中、そういった“裏技”を使ってでも、音楽に対する情熱や制作に対する意欲を保ち続けたという事ですか?

たぶん、HIP HOPが生まれたゲットーとかスラムの状況っていうのは、オリの中に似ていて、そこから抜け出すことはすごく大変だったと思う。自分が思っている事をゲットーの外にいる人、あるいは他のゲットーの中で苦しんでいる人になんとか伝えようとして生まれたのがHIP HOPだと思います。それと一緒というかね。いわゆるjailというゲットーにいなければいけなくて。そこはゲットーよりもある意味制限されている。これは大きな力じゃないけれど、僕がそこに行ったのは、そういう事を経験しろという僕への使命だったんじゃないかなと思ってます。後は僕次第。そこでTVを見てだらだらと時を過ごすも自由。だけど自分自身を奮い立たせてアートしていく、気持ちを伝えていくっていうのが僕のチョイスだった。70年代80年代にHIP HOPが誰かに伝わったのと同じように、僕がそこで出すメッセージが、日本のシーンに衝撃を与えたい思っていたし、そういう意味で僕はギブアップしなかったですね。

--- まさにHIP HOPの原点と似た状況に自分が置かれていたわけですよね。

弾圧されていたりだとか、認めてもらえない。同じなんですよね。Jailのinmate(中にいる人たち)っていうのは認めてもらえない、信じてもらえない人たちですね。

--- jailの中で録音された『Lost Dope』『Come Clean』の言葉は生々しく伝わってきて、ひりひりするものもあったと思うんですけど。

Jailにいると、みんなオチるんですけど、気付きがある人はやはり気付いていくんですよ。身体は不自由だけれど、心までは、ソウルまでは、誰も本当は奪えなくて。

--- そこから得るものも多かったんでしょうね。

と思いますね。

普遍的なメッセージは僕にもある。僕もそれを伝えたい。

--- 3曲目「Dream On!」は「Rize Again」とは打って変わってイルトロニックな楽曲ですが、リリックにAtsushiさんの名前が出てきますよね。JOEさんにとってAtsushiさんがどのような存在なのか伺ってもよろしいですか?

Atsushi(フリーザー・ベル)は、僕にとって相棒というか。HIP HOPをやる上でいろんなことを彼は僕に与えてくれたし、教えてくれた。また、プライベートでも普通に遊んでいる仲間だったですね。彼も本当に破天荒な人生の持ち主で。ラップをやりたいけれどその方法論がまだ暗中模索な時代に、いろんなやってはいけない事とかもやってしまっていたんですけど・・・
オレがjailにいるころアイツは突然死んでしまって。僕は彼のためにも成功したい。彼の夢も同じだったんでね。なんとか自分の信じている音楽、やり方で成功したいと。それを僕は受け継いで、今もやってる。たぶん今もココにいるのかなって思ってますけど。オレは生きなきゃいけない。生きれる所まで生きなきゃいけないから、ちょっと待っててくれって感じですかね。

--- この曲の、夢に向かって生きるっていうメッセージは、リスナーに対するメッセージであると同時に、JOEさん自身が決めた覚悟、自身に対するメッセージのようにも感じました。

もちろんそうですね。自分に言い聞かせている部分もあるし、自分が感じることが出来れば、少なからず僕と同じような人には感じてもらうことは出来るだろうし。いろんな年齢層、それぞれの違うシチュエーションを持った人にも、自分に置き換えて感じてもらえると思ってます。

--- JOEさんのリリックは物語性も強くて、状況は違っても自分を重ね合わせてしまう部分は大きいですよね。

そういう所がHIP HOPのいいところで。例えば、崇高なアートっていうのは、上流階級だけのもの。僕らがやっている音楽っていうのは、そういうものではなくて、もっと路上のアートというか、だからこそAtsushiのような固有名詞も出るし、僕らの中で聞こえる言葉を使う。手の届きやすい言葉をあえて使っているつもりです。
とは言え、根本的には上流階級の人たちも、下流の人たちも同じ人間なんで。それは人間が作った階級であって、本来は一緒なんですけどね。生まれたところも一緒だし、帰るところも一緒。だからそういう普遍的なメッセージは僕にもある。僕もそれを伝えたい。それを僕の言葉で伝えて、リスナーを奮い立たせたり、感動に導いたり、愛というものを語ってみたり。そういう方法論でやっているつもりです。

--- 人間である以上は、どんなに違った環境にあっても、根本的に考えている事は一緒だったりしますしね。

そうなんですよね。どんな人間でもお母さんが死んだら悲しいし、自分の子供が傷つけられたら怒りますよ。

自分らのハッスル次第で、その世界をものに出来る。

--- 「World is Ours」この曲は、悲哀を感じる楽曲だと思いますが、どういった思いで作られた曲なのでしょうか?

この曲のコンセプトは「World is Yours」という言葉があると思うんですが、そのYをとってOursにして、俺たちのものだと。俺たちって言うのは、僕とか僕の後ろにいる人たちだけではなくて、この地球上にいるOurs。みんな、いろんなやり方でハッスルしてる。僕は自分の音楽を自分で形にして、ハッスルする。自分らのハッスル次第で、その世界をものに出来る。そういうメッセージを伝えたかったんです。

--- リリックの内容はポジティブなメッセージだけれど、伝わってくる悲哀。道を選んで止まらずに行く。そういう 道を選んだが故の悲哀があるような気がします。

何かを成し遂げるために、犠牲も必要。そういう犠牲が生まれるときには痛みも伴うものなので。そういうのも表現したかった要素のひとつだったと思います。

--- JOEさんのリリックは、そういった悲しみや痛みを知っているからこそ表現できる、深さがあると思います。

大人の人、ある程度ステータスを得た人たちにも伝わるような言葉使い、言い回しっていうのは気にしますね。全般的に。もちろん言葉遊びも入れているんですけど。それも含めて、30代、40代、50代の人にも聴いてもらいたいですね。

    • 『Rize Again』B.I.G. JOE
    • 忌まわしき6年間の時を乗り越え、再び日本に降り立った北の不死鳥: B.I.G. JOEによるサードアルバムが遂に完成。
    • 『Come Clean Tour』B.I.G. JOE
    • B.I.G. JOE帰国後に日本全国で行われた"COME CLEAN TOUR"のLIVE映像を中心にしたDVDが発売決定。帰国を待ちわびたファンの前で躍動的にプレイするB.I.G. JOE、現地のアーティスト(やばいメンバー多数!)のシャウト、B-BOY PARKのレポート?等々見所満載の内容。B.I.G. JOE IS HERE !
    • 『Lost Dope』B.I.G. JOE
    • B.I.G. JOEが獄中から放った傑作1stアルバムにボーナストラック3曲を追加収録したCD、さらにレコーディング風景、インタビュー映像を収録したDVDの2枚組み仕様となって再発。これまで廃盤状態となっていたアイテムにしてクラシック盤です!
    • 『Come Clean』B.I.G. JOE
    • 『LOST DOPE』から3年後、2nd album『COME CLEAN』。刑務所内にあるスタジオでデジタル録音された今作は前作にも増して深化したリリック、ライムデリヴァリーが心を揺らし日本中から集合した気鋭のプロデューサー陣が奏でる珠玉のビートが脳を揺らす傑作。
    • 『THE 12JAPS』DJ BAKU
    • DJ BAKUが「KAIKOO / 邂逅」してきた、12人のヤバいラッパーをフィーチャーしたRAP ALBUMだ。そのラッパーのラインナップを見ただけで卒倒必至!このアルバムはDJ BAKUでなければ、このタイミングでなければ成立しなかった事は明らか!
    • 『Hell Me NATION』RUMI
    • B.I.G. JOE、漢、SHINGO★西成、MACSSY、CHIYORI、THE HEAVY MANNERS、e-mura、SKYFISH、TUCKER、EVIS BEATS……多彩なゲストとの共演に心と身体が踊り出す。今、これを聴かずして、何を聴く?!
    • 『Exit』NORIKIYO
    • B.I.G.JOE『Rize Again』のタイトル曲にて競演したNORIKIYOの1stアルバム。札幌/川崎と場所は違えど、そこのまとめ役同士。共通項も多いようだ。
    • 『Psychedelic Toy Box』
      INI / Common Cycle
    • 札幌を代表するサイケデリックMC: INI。B.I.G. JOEの盟友と言える。2010年来るべきソロアルバムに先駆け、INI自身が見出した新鋭プロデューサー:COMMON CYCLEとコラボレーションアルバム第一弾を完成!
    • 『Rhythm Of Genesis The Album』VARIOUS
    • B.I.G. JOE『Rize Again』の中で、イルトロニックなビートを作り出し、重要な役割を果たしているのがBUN。そんなBUNの音源収録のコンピ。これは見逃せない。
    • 『One』Michita
    • B.I.G. JOE『Rize Again』のM-14「War is Over...」ピアノが印象的な流麗なトラックが、このCDにも収録!
profile

北の都は札幌出身のラッパー / プロデューサーにしてMIC JACK PRODUCTIONのリーダー: B.I.G.(Believe-In-God)JOE。“STRIVER'S RAW”、“RAPPAZ ROCK”という北海道HIP HOPシーンにとって重要なグループの中心人物として精力的かつ圧倒的なライヴ攻勢でその名を知らしめてゆく。'99年からは自主制作によるシングルカット、同時期より、超自然音楽中毒集団:MIC JACK PRODUCTIONを結成。以後もそのリーダーとして、自ら制作・運営するレーベル:ILL DANCE MUSIC.を母体とし、フルアルバム『SPIRITUAL BULLET』を発表。しかし、その直後に起きた事件によって6年という長い単身渡豪を服役の為に余儀なくされる…が、'05年には刑務所からの電話を使用して録音された問題作、1stソロアルバム『THE LOST DOPE』でシーンに復帰。続く翌年の'06年には、MIC JACK PRODUCTION名義の2ndアルバム『UNIVERSAL TRUTH』を発表。HIP HOPを地でゆく、メッセージ性のあるウィットに富んだ詩と、カリスマ性のあるライムデリバリーは官能的で、時に危うすぎるその歌声は、聴く者の心の芯をとらえ、キャリアスタート時から現在も尚、熱心な信者・フォロアーが後を絶たない。'07年、海を離れた遠い流刑の地で運命的な邂逅を果たした、N.Yブロンクス出身のラッパーEL-SADIQとのコンビネーションEP 『2WAY STREET』をリリース。そして'08年…多くの謎のベールに包まれているB.I.G. JOE事件の核心に迫る、セカンドソロアルバム『COME CLEAN』を、全て刑務所内にあるスタジオでデジタル録音、日本を代表する気鋭プロデューサー達の強力なバックアップを受けて発表。そして2009年、6年振りに遂に帰国。帰国直後に自身のプライヴェート・レーベル:TRIUMPHを立ち上げ廃盤状態だった傑作ファーストアルバム『THE LOST DOPE』を再録曲、DVDを加えて再リリース。また、自身の音源を盟友DJ KENが紡いだMIX CD"NO ORDINARY JOE"、INIとDJ KEIとの共作MIX"PASS THE BACKWOODS"、サードアルバムの先行シングルとして"ALMOST DAWN/ONE LOVE PT.2"を発表。客演としてはDJ BAKUが日本中から選りすぐりのMCを招いて制作された衝撃作『THE 12JAPS』、またRUMIのサードアルバム"Hell Me NATION" や同郷札幌のムーヴメントCHOCOLATE FACTORYに参加するなど帰国後も精力的に動き邂逅を続けている。そして来るべき2010年3月3日、鎖を解いた本物のMCが遂にサードアルバム"RIZE AGAIN"、そして帰国後の活動をまとめたDVD"COME CLEAN TOUR"を発表する。聴覚は勿論、視覚もこの男に捧がれるのだ。

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