星空を見た時に、ふと思い出した遠い過去の懐かしくも悲しい記憶。そんな懐かしい、愛しい人への空間性、時間性を超越した思慕を切なく歌った美しい曲です。その自分の心を「オリオン急行」に乗せて、今、その人に逢いに行きたいと願う強い想い。そんな悲しく、切ない想いを西郷輝彦さんが力強く歌っています。「オリオン急行」、すてきな曲ですね。

西郷輝彦って意外にも音楽家だったんだ。これが読み終わっての率直な感想です。「声が出なくなることに合わせて歌い方も変えていった」なんて、なかなか言えない事だけど、ズバッと自分を切り刻むように言い放っている。私には俳優・西郷輝彦としてよりも、そういった勇気ある文章の方がはるかに面白かった。

西郷輝彦の音楽家・歌手としての本当の真価は「1970年から」にある。1964年デビュー当時からのファンにおいてですら、これを支持する数は少数派かもしれないが、64年からのスーパーアイドル時代6年間を基礎にし、70年「真夏のあらし」で一気に花開いた稀有な個性と音楽性。それは70年以降5年間の活躍を約束し、「ポップスシンガー・西郷輝彦」の座を不動のものとした。残念ながら、西郷輝彦自身がその後、俳優の道に入り、いつしかこの確固たる事実までもが忘れ去られてしまった。だがそれから30年余りが過ぎ去ろうとする今、60年代を俯瞰しつつ、「