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Complete Symphonies, etc : Boulez / Chicago SO, Vienna PO, Staatskapelle Berlin, Cleveland Orchestra, etc (14CD)

Mahler (1860-1911)

User Review :5.0
(3)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
4779528
Number of Discs
:
10
Format
:
CD
Other
:
Import

Product Description


ブーレーズ・コンダクツ・マーラー(14CD)
交響曲全集、大地の歌、葬礼、管弦楽伴奏声楽作品集
ウィーン・フィル、クリーヴランド管、シカゴ響、ほか


1995年リリースの第6番から2013年リリースの『嘆きの歌』まで、ブーレーズが17年かけて取り組んだマーラーの交響曲全集&管弦楽伴奏声楽曲集をまとめたお買得ボックスの登場。

【ブーレーズのマーラー】
ユダヤ系の指揮者たちに多く見られる主情的演奏とはまた違った視点からマーラーの音楽に迫るブーレーズのアプローチは、複雑な作品構造を綿密に解き明かす面白さを前面に押し出したスタイルに特徴があります。
 そのブーレーズも、かつては、極端に遅いテンポを導入したり、時期的に近い演奏にも関わらず、同じ曲でのテンポ設定が大幅に異なる局面をみせるなど試行錯誤を繰り返していたようです。
 しかし、近年のブーレーズの表現様式は、長年のキャリアの蓄積もあってか、楽譜への忠実度の非常に高いものとなっており、細部に至る入念な仕上げと細密画的な造形構築、各パートの明晰なバランス配分に、優れて啓発的な情感表現など、交響曲としての完成度のきわめて高いものとなっています。

【名門オーケストラのマーラー】
録音点数が最も多いのはウィーン・フィルで、交響曲第2番『復活』、第3番、第5番、第6番『悲劇的』、『大地の歌』、『さすらう若者の歌』、『リュッケルト歌曲集』、『亡き子をしのぶ歌』、『嘆きの歌』の9作品を収録。
 次いで多いのは、クリーヴランド管弦楽団で、交響曲第4番、第7番『夜の歌』、第10番アダージョ、『子供の不思議な角笛』の4作品を収録しています。
 そして、シカゴ交響楽団は、交響曲第1番『巨人』と交響曲第9番の2作品、シュターツカペレ・ベルリンが交響曲第8番『千人の交響曲』という内訳になっています。
 参考までにもとのジャケット画像を表示しておきます。(HMV)


Disc1
交響曲第1番『巨人』、交響詩『葬礼』

シカゴ交響楽団との1998年の録音。クレンペラーが批判し、ワルターは愛したという、マーラーの弟子のあいだでも賛否分かれた作品の性格を適切に示した優れた演奏。情緒過多な要素はゼロで、盛り込まれた楽譜情報はすべて再現した結果、実に立派な仕上がりを示しています。シカゴ交響楽団の力強いサウンドも活かされ、第4楽章など凄まじい音響です。
 組み合わせの交響詩『葬礼』は、交響曲第2番第1楽章の原型で、大筋は似ているものの細部ではけっこう違いの見られる作品。交響曲第1番で描かれたとされる英雄を弔う交響詩ということで『葬礼』というタイトルが付された近年注目度の高い音楽。ブーレーズはこれを交響曲第1番と共にレコーディングし、アルバムにカップリングすることで、その立ち位置を明確化。オーケストラがシカゴ響ということで、展開部後半の迫力にもかなりのものがあり強大な英雄の大規模な葬礼という趣きに仕上がっています。

・交響曲第1番ニ長調『巨人』(録音時期:1998年)
 シカゴ交響楽団

・交響詩『葬礼』[交響曲第2番第1楽章初稿](録音時期:1996年)
 シカゴ交響楽団

Disc2
交響曲第2番『復活』

ウィーン・フィルとの2005年の録音。直前におこなわれ、映像商品化もされたシュターツカペレ・ベルリンとのコンサートも好評でしたが、こちらはウィーン・フィルを起用し、声楽陣も一新してのセッション録音という大御所ならではの贅沢なプロジェクト。
 フレーズの形を崩さず、タメや扇情的な誇張無しに精緻に淡々と進行させるブーレーズの指揮は実にクール。熱演型の演奏では見過ごされがちな細部情報がきちんと聴こえるため、第1楽章では、交響詩『葬礼』との違いもチェックしたくなります。
 声楽陣も高水準で、セッションならではの克明な録音と、ブーレーズの明晰な指揮は、にごりがちな作品から、豊かな情報量を引き出すことに成功、叫びがちな聴きどころ「Bereite dich」でも合唱が実に美しい響きを聴 かせてくれます。

・交響曲第2番ハ短調『復活』(録音時期:2005年)
 クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)
 ミシェル・デ・ヤング(メゾ・ソプラノ)
 ウィーン楽友協会合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


Disc3-4
交響曲第3番、カンタータ『嘆きの歌』

交響曲第3番はウィーン・フィルとの2001年の録音。複雑で膨大な構造を持つこの作品、解析能力抜群のブーレーズにはぴったりとも言えますが、驚くのは、四半世紀以上前のBBCでの全曲サイクルでの演奏と、所要時間が酷似している点。ほかの作品、たとえば第5番などでは、解釈の変化ゆえの大きなラップタイム変遷をみせたりもしたブーレーズですが、この作品ではすでに以前から方針が固まっていたということでしょうか。
 第1楽章冒頭から指示通りの決然とした演奏が聴かれますが、その緻密な造形構築と美しいテクスチュアはさすが。トロンボーン独奏ブロックでも伴奏音型は決してないがしろにされず、膨大な音が錯綜する展開部後半の山場へと緊密につながってゆきます。小太鼓に導かれる再現部では再び堅牢な構築美を示しますが、トロンボーン独奏ブロックでの他の声部の扱いのうまさ、結果としての叙情の深まりも見事。強大なエネルギーを放射するコーダ大詰めでもその重層的な音響構築が崩れることは決してなく、ブーレーズの統率の見事さ、ウィーン・フィルの演奏能力の確かさを改めて実感させてくれます。
 一方でニーチェの言葉が用いられる第4楽章では、オッターが優しい心情を込めた歌いくちによって、警句的ニュアンス一辺倒ではない独特の美感を示すことに成功しています。中間部における憧れに満ちたオーケストラの美しい音色もウィーン・フィルならでは。
 録音も優秀で、第6楽章コーダの迫力など凄いものがありますし、第5楽章での少年合唱、女声合唱、メゾ独唱にオーケストラという各パートが織り成すテクスチュアも、適切なパースペクティヴのもとに再現。第3楽章の舞台裏ポストホルン(首席トランペットのシューによる見事な吹奏!)のノスタルジックな美音も印象的です。
 『嘆きの歌』はウィーン・フィルとの2011年の録音。これはザルツブルク音楽祭でのライヴ・レコーディングで、ブーレーズにとっては久々の再録音ということになります。この作品は、マーラーのデビュー作として知られるもので、改訂を重ねた後、2部構成のヴァージョンとなり、ブ−レーズはここでその最終稿を用いて演奏しています。

・交響曲第3番ニ短調(録音時期:2001年)
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
 ウィーン少年合唱団
 ウィーン楽友協会女声コーラス
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

・カンタータ『嘆きの歌』[1898/99年最終改訂版](録音時期:2011年)
 ドロテア・レシュマン(ソプラノ)
 アンナ・ラーション(アルト)
 ヨハン・ボータ(テノール)
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc5
交響曲第4番

クリーヴランド管弦楽団との1998年の録音。第1楽章は最初そっけないと感じられるほどの進行ながら、対位法的要素が濃くなる展開部以降は本領を発揮、解像度がきわめて高く、細かなディテールまで透けるように見渡すことができるテクスチュアの描出が実に新鮮。
 第2楽章でも、ブーレーズの透徹したスタイルは変わりなく、楽器間の対比は十分に保たれ、偏りのないアプローチが細部音型をくまなくきわ立たせた結果、かえって不気味な雰囲気を醸し出すことに成功しています。なお、独奏ヴァイオリンはラトル盤と同様にノン・ヴィブラートで弾かれ、独特の効果を上げています。
 第3楽章ではクリーヴランド管のクリアでシャープなサウンドが、純度の高い美しさを示しており、冒頭から精妙な美しさが感動的。音が良いのでクライマックスの鳴り方にも余裕があり、見事なサウンドを堪能することができます。
 第4楽章も実に繊細、速めのテンポの中に示されるデリケートなタッチが秀逸。ソプラノ独唱を受け持つユリアーネ・バンゼの率直な歌唱も、ブーレーズの解釈と抜群の相性です。

・交響曲第4番ト長調(録音時期:1998年)
 ユリアーネ・バンゼ(ソプラノ)
 クリーヴランド管弦楽団

Disc6
交響曲第5番

ウィーン・フィルとの1996年の録音。マーラー随一の人気作を、いったん白紙に戻したかのような新鮮な響き・進行がたまらない魅力。楽譜の隅々まで意を払い、慣習的なタメや感情移入といった強調手法を排し、マーラーが書いた楽譜情報を丁寧に演奏。結果として、全曲のクライマックスでもある第3楽章では、膨大な音によって幾重にも連なる情感表現が巧みに演出され、作品本来の重層的な魅力が明らかにされて行きます。さまざまな管楽器に聴かれるウィーン・フィルの芳醇な音色も素晴らしい聴きものです。

・交響曲第5番嬰ハ短調(録音時期:1996年)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc7
交響曲第6番『悲劇的』

ウィーン・フィルとの1994年の録音。同時期に収録されFMで放送されて話題になったライヴ録音に較べ、音響条件・オケのコンディションとも格段に優れており、セッション録音の利点を痛感させてくれたアルバム。コブシ抜きで徹底的にシンフォニックに仕上げた結果、動機構築の徹底ぶりや、拡大されたソナタ形式の面白さがビシビシ伝わってくる仕上がりとなっています。ブーレーズの精緻な設計・骨格に、見事な肉付けをおこなっているのがウィーン・フィルのすごいところで、小太鼓に至るまで音楽的なその芳醇なサウンドは実に魅力的です。

・交響曲第6番イ短調『悲劇的』(録音時期:1994年)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc8
交響曲第7番『夜の歌』

クリーヴランド管弦楽団との1994年の録音。多彩で個性的な構造をもつこの作品、劇的な曲調が多いマーラーの交響曲の中では珍しく多くの部分で内省的・妄想的な音楽が志向されたものであり、『夜の歌』と名付けられた楽章に限らず、繊細かつ色彩的なタッチがとても印象的。
 ブーレーズの演奏は、そうした作品の性格や仕組みを高解像度なレンズを通して徹底的に描写したような趣があり、冒頭のリズム動機の扱いからして超のつくリアリスティックな演奏で驚かされます。オケの技量も非常に高く、緊密に仕掛けられた動機間の関係を聴き手に確実に印象づけて認識させるグレードの高さには相当なものがあります。

・交響曲第7番ホ短調『夜の歌』(録音時期:1994年)
 クリーヴランド管弦楽団

Disc9-10
交響曲第8番『千人の交響曲』

シュターツカペレ・ベルリンとの2007年の録音。このセッション・レコーディングは、シュターツカペレ・ベルリンが中心となって行う音楽祭「ベルリン・フェストターゲ 2007」のハイライトでもあった『千人の交響曲』の演奏会と同時期におこなわれたもので、実演でのイソコスキがエリン・ウォールに、プラハ・フィルハーモニー合唱団がベルリン放送合唱団に替わっているほかはほぼ同じキャスティングで、会場はベルリンのフィルハーモニーからイエス・キリスト教会へと移され、万全のサウンドを実現しています。
 ブーレーズとベルリン州立歌劇場の面々の相性の良さは、今回の録音の2年前におこなわれた同じマーラーの大作『復活』交響曲のDVDですでに証明済みですが、『千人』はセッション録音ということもあって、さらなる精緻さがきわめられています。

・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』(録音時期:2007年)
 トワイラ・ロビンソン(ソプラノ)
 エリン・ウォール(ソプラノ)
 アドリアネ・ケイロス(ソプラノ)
 ミシェル・デ・ヤング(メゾ・ソプラノ)
 シモーネ・シュレーダー(アルト)
 ヨハン・ボータ(テノール)
 ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(バリトン)
 ロベルト・ホル(バス)
 カルヴ・アウレリウス少年合唱団
 ベルリン国立歌劇場合唱団
 ベルリン放送合唱団
 シュターツカペレ・ベルリン

Disc11
交響曲第9番

シカゴ交響楽団との1995年の録音。作曲者自身による、実演を踏まえた細かな改訂作業を経ていない交響曲第9番では、以前から演奏上の様々な問題点が指摘されており、実際、コンサートや、一部のCDではかなり濁った音や、未消化な姿に出くわしたりするものですが、ここではそうした問題に対して、クリアなサウンドばかりを追及するのではなく、きたない音はきたない音として、個々の音の緊張関係を前面に打ち出し、本来豊富な情報量を、そのままの形で生かしてゆこうという姿勢が顕著に感じられます。
 そこには、いわゆるマーラー指揮者たちがおこなってきた明晰指向ゆえの声部バランスの調整や、デフォルメによる情緒の強調、細部の拡大といった要素は希薄であり、結果的に、作品本来の“カオス的性格”が、より強調されることになっているのが、いかにも楽譜を大切に扱うブーレーズらしいところです。
 もちろん、いつもながらの高度なディテール追及も見事なもので、第1楽章第43小節のコントラバスのトレモロの処理や、同第408小節以降のホルンとフルートの巧さ、第4楽章第98小節のフルートのデュナーミク調整など、印象的な箇所が数多く存在し、屈指の名人オーケストラであるシカゴ交響楽団の実力をフルに発揮させた統率力はやはり見事なもの。第4楽章の有名な主題が、完璧なまでの各部のバランスによって、対位法的テクスチュアの美感を最大限引き出し、結果的に、第159小節以降の精妙をきわめたアダージッシモ(コーダ)との鮮やかな呼応関係を呼び覚ますあたり、主情的な演奏ではまず判らないフォルムの美の具現として見逃すことのできないものとなっています。第3楽章ロンド・ブルレスケでの冴え渡るリズム、抜群の遠近法の感覚も聴きものです

・交響曲第9番ニ長調(録音時期:1995年)
 シカゴ交響楽団

Disc12
『不思議な子供の角笛』、交響曲第10番アダージョ

クリーヴランド管弦楽団との2010年の録音。マーラーが交響曲第10番に本格的に着手したのは1910年夏のことで、その年のうちに作品の骨格にあたる全5楽章の略式総譜を書き上げ、第1楽章全体と第2楽章、および第3楽章の一部はスケッチの形でオーケストレーションも施されました。この年の7月から9月にかけてのマーラーの身辺は波乱に満ちたもので、第10番の作曲に取り掛かった直後の7月に愛妻アルマの不倫が発覚し結婚生活最大の危機を迎え、マーラーは精神的に不安定な状態に陥り、そのため8月末には精神分析の創始者として有名なフロイトを訪ねて診察を受けています。
 また9月にはミュンヘンで交響曲第8番『千人の交響曲』(この作品はアルマに捧げられています)の初演を指揮し、作曲家マーラーとして空前絶後の大成功を収めますが、これが最後の自作の初演となりました。
 こうした時期に作曲が進められた第10番は、それまでの作品以上にマーラーの個人的な生活の影響が色濃く反映されているようで、特にアルマへの愛と苦悩が交錯した複雑な感情が大きな影を落としているのではないかと考えられています。
 1911年5月18日にマーラーはこの世を去り、第10番は未完成のまま残されました。その後多くの作曲家や研究者たちの手によって紆余曲折を経ながら、この作品の補筆完成の試みが続けられ現在に至っているわけですが、ブーレーズは一貫して、完成された第1楽章のみ演奏するという立場をとっています。
 歌曲集『不思議な子供の角笛』は、通常、1899年に出版された12曲のことを指し、アルバムとして録音する場合には、これに詩集『子供の不思議な角笛』をテキストとする『若き日の歌』の中の9つの歌曲、および交響曲の3つの楽章という12曲の中から選ばれて組み合わされるケースもありますが、ここでは、オリジナル通りの12曲を収録しています。  メゾ・ソプラノのマグダレーナ・コジェナーは、古楽を中心に近代作品までとりあげており、実演ではマーラーの『リュッケルト歌曲集』や『角笛』に加え、交響曲第2番『復活』なども歌っています。メゾ・ソプラノの落ち着いたトーンと、コジェナーならではの表現力豊かな歌唱が見事です。
 深く柔らかい美声とコントロールの効いた緻密な歌唱に定評のあるバリトン、クリスティアン・ゲルハーヘルは1969年ドイツの生まれ。歌曲の分野では偉大な成功を収めたゲルハーヘルには、すでにマーラーの録音が3種類あります。中でも注目されるのは、ケント・ナガノとの『大地の歌』で、意味深い歌唱が素晴らしい聴きものとなっていました。なお、彼は2009年に『角笛』の中の4曲をピアノ伴奏で録音していましたが、今回はそれらはすべてコジェナーが歌っているため、どれも初めての録音となります。

・歌曲集『子供の不思議な角笛』(録音時期:2010年)
 マグダレーナ・コジェナー(メゾ・ソプラノ)
 クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン)
 クリーヴランド管弦楽団

・交響曲第10番嬰ヘ長調よりアダージョ(録音時期:2010年)
 クリーヴランド管弦楽団

Disc13
『さすらう若者の歌』『リュッケルト歌曲集』『亡き子をしのぶ歌』

ウィーン・フィルとの2003年の録音。マーラーのオーケストラ伴奏歌曲は、交響曲と関連のある素材を用いているものが多いため、マーラー鑑賞には欠かせないレパートリーとして交響曲ファンにも人気があります。
 ここでは、3人の名歌手がマーラーの代表的歌曲集を歌い、ブーレーズ指揮するウィーン・フィルが魅惑的で立体感豊かなサウンドを聴かせています。

・歌曲集『さすらう若者の歌』(録音時期:2003年)
 トーマス・クヴァストホフ(バリトン)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

・リュッケルトの詩による5つの歌曲(録音時期:2003年)
 ヴィオレータ・ウルマーナ(メゾ・ソプラノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

・歌曲集『亡き子をしのぶ歌』(録音時期:2003年)
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc14
『大地の歌』

ウィーン・フィルとの1999年の録音。かつては情念濃厚な演奏が多かった『大地の歌』も、少し前のラトル盤やサロネン盤、そしてマゼール盤の登場によって、その多彩な構成にスポットが当てられるようになりましたが、今回のブーレーズ盤は、そうしたスタイルの頂点ともいえる仕上がりを見せるものです。
 ブーレーズの指揮の特徴である明晰で緻密な音響構築ぶりはいつもながら見事なものですが、ここではウィーン・フィルとのセッション録音ということもあって、そのサウンド面での魅力にはじつに奥深いものが備わっています。
 基本姿勢はもちろん、透明度高い音響を確保して、各パートの役割を十分に追求するというものですが、なにしろウィーン・フィルということで、ソロの技やパートごとの個性の際立ちぶりが素晴らしく、『大地の歌』ならではの、ときに辛口、ときに甘口なサウンド・キャラクターを縦横に表現し、表現主義的な切れ味の鋭さから陶酔するような甘い美しさまで、ほとんどオーケストラが主役ではないかと錯覚する瞬間も少なくないというユニークな高密度演奏となっています。

・交響曲『大地の歌』(録音時期:1999年)
 ミヒャエル・シャーデ(テノール)
 ヴィオレータ・ウルマーナ(メゾ・ソプラノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Track List   

Disc   1

  • 01. Totenfeier (early version of 1st movement, Symphony no. 2)

Disc   2

  • 01. Schafer / DeYoung / Wiener Singverein / Wiener Philharmoniker

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Customer Reviews

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ブーレーズの演奏を聞くと常に楽譜の姿があ...

投稿日:2021/02/27 (土)

ブーレーズの演奏を聞くと常に楽譜の姿があらわになり、曲の理解が進むという点でも価値があります。かといって音楽的に面白味がないということは全く無く、そのバランスが絶妙と言えるでしょう。

せごびあ さん | 愛知県 | 不明

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ブーレーズのファンの私でありながら、DG...

投稿日:2014/05/05 (月)

ブーレーズのファンの私でありながら、DG時代になってからの彼の録音にはほんの少し違和感を抱いておりました。マーラーシリーズもそのひとつで、単売で三枚ほどのマーラーを今まで聴いていました。どれもがイマイチ。 しかし、ここにきて、もう一度聴いて見ようかな?と思い込み、既に入手隅の四番・大地の歌・十番他の三枚を聴いていましたら、今まで感じなかった不思議な感動を抱きました。ともすると、無重力状態のあの感じなのですが、ブーレーズが指揮するとそれは完璧、違和感どころか感動さえ感じました。そして、そして、他の曲のCDも欲しくなり、迷った末にこのボックスをゲット。正解でした。  彼の指揮するマーラーは、怨念、執念、濃厚、差別、挫折、叫び、悲嘆、ロマン、メルヘン、狂気、・・・・そういった要素は皆無。見事に濾過されています。濾過・・・浄化というべきか。  マーラーのセットは一気に聴きこなすことは今まで皆無でしたが、このブーレーズの指揮セットは、それこそ一晩で聴いてしまいました。

ムッシュ さん | 東京都 | 不明

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マーラーの観念的な音楽の別の側面を知るに...

投稿日:2013/10/23 (水)

マーラーの観念的な音楽の別の側面を知るには素晴らしい演奏。観念過剰に逆に浅薄さを感じ「マーラーはもういいや」と思っている人には彼の音楽を再評価する機会を与えてくれることだろう。巨大なオーケストラと人声を使っての室内楽的なアンサンブル、そのポリフォニックなホモフォニーの精緻さを忠実に表現した演奏である。それと共にマーラーの音楽言語のロマン性も浮かび上がってくる。ところでドラマ性や標題性に共感が感じられず、分析的に構造を顕わにすることだけがブーレーズの意図だという判で押したような評価は、ブーレーズの名前から来る先入観にとらわれた的外れなものである。これほど叙情的な演奏はめったに聴けるものではない。芝居がかって重々しくて深刻ぶったのがマーラーに相応しい演奏だと思うのは過去の指揮者が作り上げた一つのイメージに惑わされているからに過ぎない。実際はオーケストレーションの色彩感を暗い淡色で塗りつぶすようなような演奏こそマーラーにそぐわないものはないのだ。

ゆあがり さん | 所在地 | 不明

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