’14年発表｡約2年振りの5thｱﾙﾊﾞﾑは長きに渡るXLとの契約を満了し､自身のﾚｰﾍﾞﾙからﾘﾘｰｽ｡心機一転と言うこともあり､そのｻｳﾝﾄﾞはﾃﾞﾋﾞｭｰ時のような瑞々しさと開放感に満ち溢れている｡多くの人の人生に於いて音楽がﾊｯﾋﾟｰでﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞなものであって欲しい､そんなﾒｯｾｰｼﾞを感じられる彼ららしいお祭りｱﾙﾊﾞﾑ｡いつも思うのだけれど､特に有名なｼﾝｶﾞｰを登用していないのにも関わらずもの凄く歌に力があるﾀﾞﾝｽﾁｭｰﾝのｵﾝﾊﾟﾚｰﾄﾞ｡

SCARSの製作途中に溢れてしまった作品群を集めて１枚にした「zephyr」何重にも重ねられた音の層はとてつもなく厚く、常に異次元な音を創造する探求心は底なし沼のように深い。

'09年発表｡今年のﾌｼﾞﾛｯｸではついにｸﾛｰｼﾞﾝｸﾞを務めたUKのDJﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ･ﾃﾞｭｵ｡DJならではの嗅覚で早くからｻﾝﾊﾞやｼﾞﾌﾟｼｰﾌﾞﾗｽ､ｸﾝﾋﾞｱを取り入れ､過去の4枚全てのｱﾙﾊﾞﾑからｸﾗﾌﾞ系としては異例のｼﾝｸﾞﾙ･ﾋｯﾄを出してきた彼ら｡新作はﾀｲﾄﾙこそ｢SCARS=傷｣と痛々しいが､内容はﾃﾞﾋﾞｭｰ10周年を記念したのか､いつも以上に節操なくﾄﾞえらいお祭り騒ぎだ｡ｼﾞｬｲｳﾞあり､ﾙｰﾂﾚｹﾞｴ?ｽｶあり､ﾌﾗﾜｰﾎﾟｯﾌﾟあり､R&Bあり､西ｱﾌﾘｶの女性ｸﾞﾘｵ風あり､熱いﾗﾃﾝ･ﾛｯｸあり､そうしたｱﾅｸﾛかつｱﾅﾛｸﾞな音を､得意のｴﾚｸﾄﾛﾆｯｸ･ｻｳﾝﾄﾞでﾊﾞｷﾊﾞｷ&ｱｹﾞｱｹﾞに作り直している｡参加歌手達もｻﾝﾃｨｺﾞｰﾙﾄﾞやｱﾝﾌﾟ･ﾌｨﾄﾞﾗｰ､ﾘﾙ･ﾙｲｽ､そしてｵﾉ･ﾖｰｺら､主役を食うﾄﾞﾃらいﾒﾝﾂが並ぶ｡なのにどこを切ってもBJだとしっかりわかる金太郎飴的個性｡13曲全てがｼﾝｸﾞﾙ･ｶｯﾄ出来そう｡