No Canecao

＊感動的な1972年のブラジル公演

　50年代よりアマリアは積極的に海外進出を行ない、そのきっかけとなったのが1956年のパリ・オランピアでの公演で、その模様を収録したのが『オランピアのアマリア・ロドリゲス』（ライス IYR-5203）だったことはファンのみなさんはご存知のとおり。緊張を感じさせつつも全精力を込めてうたったその声は、その場所にいた観衆だけでなく、その録音によって後世の人々も感動させました。本作もまたそんな当時の感動が伝わってくるライヴ盤です。1972年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるカネコーン劇場での公演。
　69年リリースの「マリキーニャスの思い出」はヨーロッパ中で大ヒットし、アマリアはポルトガルを代表する歌手として広く再認識されるようになりました。その影響で1970年には大阪万博で来日公演も行なっています（この模様も後にライヴ盤として発売）。1970年代はアマリアにとってまさに世界中で知られるようになった時代だったのです。
　本作ではそんな時代の海外公演の姿をしっかりと録音しいています。冒頭から
手拍子で応え、割れんばかりの拍手で応える聴衆と、それに何度も「ありがとう」とくり返すアマリアとのコミュニケイションは感動的。ついにはコール・アンド・リスポンスまで飛び出します。レパートリの多くは彼女の代表作ばかりです。またその歌声には自信が満ちあふれ、まさに女王の風格。聴いていて幸せになれる作品です。