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幻影からの脱出

安冨歩

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幻影からの脱出

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機能不全に陥ったこの国のシステム。もう、ごまかしはきかない。原発危機後を生き延びるために一人ひとりが考えねばならないこと。

目次 : 第1章 東大話法の本質(虐殺の言語/ 東大話法とは ほか)/ 第2章 『原子力安全の論理』の自壊(放射線防護の基本的な考え方/ 組合せ爆発 ほか)/ 第3章 田中角栄主義と原子力(田中派の成立と五五年体制の終焉/ 七二年体制の政治構造 ほか)/ 第4章 なぜ世界は発狂したのか(ヴェルサイユ条約/ ヒトラーの出現 ほか)/ 終章 結論―脱出口を求めて(子どもに聞くこと/ 放射性物質からの離脱 ほか)

【著者紹介】
安冨歩 : 1963年大阪府生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、ロンドン大学政治経済学校(LSE)滞在研究員、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、東京大学東洋文化研究所准教授、2009年より同教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)



Co-Writer, Translator, Featured Artist :  安冨歩 ,  

Product Details

Genre : Society&Politics ISBN : 9784750336404
Format : Books Publisher : 明石書店
Release Date : 19 Jul 2012 Release Country : Japan

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  • Y.Youki

    読みながら考えさせられるので、読むのに時間が掛かってしまった。 今の日本はどうも息苦しいなぁ、生き辛いなぁと感じている人には「それは何でか?」と考えるにあたってのヒントがいっぱい詰まっている本だと思う。 ・・・何でかが分かったところで、何かが解決するわけでもないのがこれまた厳しいところではありますが。 「東大話法」という言葉に著者が象徴させた人々の考え方というのは「\"箱\"システム」によっている。自分の考えというものがなく、自分の身体感覚に沿って思考し、理解していくことがない。そのため。、身体感覚に合わない部分に拒否反応を覚えると言うこともないので、なんでもそつなくこなすことはできる。
    理解というものは、自分の考えの変化のことだからです。「ああ、そういうことか」という気づきによって、自分自身が変化するのが、人間の知ると言う過程であり、それこそが人生の最大の喜びだ、と私は思います。(P.37)
    「東大話法」を駆使する優秀な人にはこの喜びはない。なぜなら、\"そもそも自分がないから\"。 彼や彼女が理解だと思っていることは、知識を分類して箱に入れて引き出しから出すことだけだ。そこから芋づる方式のように、連綿と血の繋がった思考に結びつくことはない。 この関連付けると言う作業は「関係がある」という自分自身の感覚だけに拠っている。主観的だといわれるかもしれないが、\"知識と言うものは本質的に、個人的で主観的たらざるを得”ないのだ。
    個人的で主観的な思考のネットワークは、綿密で客観的な科学的手法によって自ら確認することで、確たる知識となります。科学は考えてはくれません。考えるのは人間の役割です。(P.43)
    ・・・話はずれるけれど、よく「数字は嘘をつかない」と言う人がいるけれど、人間は数字を使って嘘をつくんだよね。 閑話休題。
    言葉が大切であるのは、それが世界を認識するために不可欠だからです。(P.65)
    人間がモノを考える時に使う道具、いわば金槌や釘はひとつひとつの言葉だ。 だから本を読む。言葉を知ることによって、より深い思考、精巧な知識を蓄えることができるのだ(よい大工道具を揃えたからといって、よい家を建てられるわけではないってのがミソ\)。 日本には言霊信仰というのがある。例えば遠足の前の日に「雨降るかも〜」と言った子がいたとして、実際雨が降って遠足が中止になったりすると「オマエがあんなこと言ったからだ」となったりする。 これが発展すると「ない」と言えば実際にはあってもないことになったりする。大戦中の大本営発表\によって日本は勝っているといったり、原発は安全ですといったりする構\造に繋がっていく。 例えば731部隊は実験で死に至らしめる被験者を「マルタ」と呼び「一本、二本」と 数えたのだという。それは機密保持のためではなく、人間を人間扱いしないがための言い換え作業であった。現在でも原子力に潜む危険席を明らかにし、監査する役所を「原子力危険性監督院」というような名前ではなく「原子力安全・保安院」と呼ぶところにも現れていると著者は説く。 これは言い換えることによって他人を欺\くばかりか、自分自身をも騙す役割を果たしている。ナチスのアイヒマン実験で示されたように「やりたくなかったが、せざるを得なかった」という逃げ口上を用意するのだ。 著者が提案した「東大話法」とはこのような「隠微」と「保身」とを実現するための用法である。 このような「東大話法」がまんえんすると社会システム全体が空回りし、暴\走する。つまり、\"世界は発狂してしまう\"。 \"発狂してしまった世界\"では、人々は『自分の見方や感情を否定し、本来の自分のかなりの部分を斥け、凍結し、自分とは無関係な「他人」としてしまう(アルノ・グリューン スイス心理学者)。
    社会が安全に運営されるために必要なことはそういった「違った感受性」を持った人の声を、社会全体の取ってどういう意味があるのかを考えて解釈する、ということです。(P.75)
    『究極超人あ〜る』というギャグマンガに成原博士というキャラクターがいるのだが、この人物は自分の見たものより、科学を信じるマッド・サイエンティストとして描かれている。 「東大話法」の人たちというのは、この成原博士と被るものがあるなぁと思うのである。

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