気持ち良い

断言してもいい。これがTWP27年目の最高傑作であると。それが言い過ぎだとすれば、往年の名作に引けを取る事のない傑作であり、少なくとも、2004年の再生後の最高到達点であると。ここに辿り着くまでの過程を知れば知るほど、このバンドほどの研鑽を重ねることができ、それをきちんと音楽的な成果として落とし込むことができるバンドが他にいるのかとさえ思えてくる。今までろくでもないライナーノーツばかりだった日本盤も、今回はこの傑作に見合った内容で大変読み応えがあり、好感を持った。

2010年5月7日、東京渋谷O-west奇跡の一夜、完全収録。 大袈裟ではなく、この記録が残されたことは本当に奇跡だと思う。 それは、2004年のCINERAMAからの改名を経た再始動以降の全ての道程が、この夜の為にあったのではないかと思えるほどに。 出来立ての新曲から、後半のBizarro曲順通りの再現パートまで、全編気迫と気合いに満ちた演奏。それが見事なまでに、過去の何かの再現ではなく、今この瞬間をかき鳴らしている。ある種のノスタルジアを期待していた向きは、完全にノックアウトされたことだろう。 26年目にして、こんな素晴らしい現在進行形を体感させてくれるバンド、他には居ない。改めて、そう確信した。

このギターのカッティングはヤバい!!他のアルバム（って言っても「Seamonsters」と「El Rey」しか持っていないが）と比べると、ポップな印象。

ザ・アルビニ・サウンドがたまんねぇや。

一気に聴けてしまうしリフが格好いいな｡見たことないけど生はいいんだろうな､きっと｡

謹んで聴かせて頂いたが、やはりJosef K直系のサウンドでU2を凌ぐ人気のあった頃の作品の方がいいと思います。守旧派、旧世代の繰言なのであまり怒らないでください。同じ傾向のバンドにNew FADSの名前を見つけて懐かしく思ってしまう世代なので。

それまでの枠組みから解き放たれた様な風通しの良さが’04年以降のTWPの作品には顕われている。しかもデビュー時から積み上げてきた表現の本質に一分のブレも無い。サウンド的にギター・オリエンテッドであってもCINERAMAを経由した確かな進化形が示されている。TAKE FOUNTAIN、そして今作という傑作を作り果せたからこそ今のTWPは全方位に開かれた屈強のライヴアクトになったのだ。そんなTWPの活躍の場を狭め、作品に対する正当な評価の妨げとなっているのは、旧時代の偏った見方をに引きずり続ける一部古株ファンのイメージの押しつけに他ならぬ。

ライブはただの興業でしかない。ライヴの素晴らしさと音楽作品としての評価を同一視するべきではない。これはデイヴィッド・ゲッジという希代の表現者が商業的な成功から離れて、己の表現を研鑽して辿り着いた新たなステージである。ここから現在の歴史はまた新たな転換点を迎えたのだ。CINERAMAも含めた歴史をきちんと追ってこそ、この作品の凄まじさ、必然性はきちんと理解出来るはずだ。もちろんメンバーは意図した通りの編集されていないUK盤で聞く事は当然である。

悪くないけど昔BizarroとかSeamonstersを聞き浸った者としては若干物足りないです。何か落ち着いてしまったような。ただ、先日の来日公演は圧巻の内容で、終わった後も残響が耳に残る程の衝撃でした。セットリストも大盤振る舞いで、My Favourite Dressまでやってくれて嬉しかったです。あのライブの音響構築をレコードに落とし込む方向に進んでもらいたい。