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Vijay Iyer (ヴィジェイ・アイヤー) レビュー一覧

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  • ECMレーベルでピアノ・トリオというと、真っ先に頭に...

    投稿日:2015/01/26

    ECMレーベルでピアノ・トリオというと、真っ先に頭に浮かぶのがKeith Jarrettの「Standards」でしょう。 レーベルを代表するこのトリオが偉大すぎるのか、ECMにおけるピアノ・トリオのリリース数は、他のレーベルと比較して少ないような気がします。それとも、「Standards」の存在により、他のトリオがかすんでしまっているのか? ただ、Keith達は、年齢的な制約のせいか、最近はめっきりとリリースが減っており、ECMにおいて、新たなピアノ・トリオの誕生が切望されているのも事実だと思います。 そんな中でリリースされたのが、Vijay Iyer(1971年生)のトリオ作品「Break Stuff」。 メンバーは、Vijay Iyer (p)、Stephan Crump (double b)、Marcus Gilmore(ds)。録音は、2014年6月、ニューヨークにて。 しかし、一般的なピアノ・トリオのイメージで聴くと、肩透かしを食らうかもしれません。と言うより、リスナーを挑発するような演奏に終始しているように思えます。 ダークな雰囲気の「Starlings」からアルバムは始まります。ひたひたと満ちてくるような旋律。個性派のIyerのこと、斬新な音が飛び出すのでは、と身構えるこちらの心が少しだけ緩みます。 続く「Chorale」は、淡々とした、あてのない散歩のような冒頭から、一転して3人のカラフルな演奏が始まります。ここからがいよいよ Iyer トリオの世界か? シャープな音が次々と繰り出され、3人の才気がほとばしるような「Diptych」。リスナーに媚びない演奏というのでしょうか? 「Hood」は、ミニマル・ミュージック風であり、少ない音階の中で、パーカッシブに展開される曲。同じECMの「Nik Bartsch’s Ronin」をふと思い出しました。 どこか外したような旋律が、時にユーモラスでもある「Work」。やはり、Thelonious Monkへのオマージュだそうです。 ここまで、聴き進んで、このトリオの評価は大きく2つに分かれると思います。新しい何かの訪れを期待して、更に耳を澄ますか、既存のトリオ演奏からの逸脱に眉をひそめ、無視してしまうか・・。 「Taking Flight」では、ピアノがめまぐるしく駆け回り、ベース、ドラムスが追随していきます。メロディを追う、と言うより、3人の息詰まるような交感により形成されていく曲。 静かな展開の中にも、緊張感が溢れ、ジャケット通りのモノクロの世界が広がる「Blood Count」。思索的であり、このアルバムのベスト・トラックと言えるのでは? 続く「Break Stuff」は、ドラムスが不思議なアクセントを付け、グイグイと進んでいきます。どこか日本の民謡風。 「Mystery Woman」では、ダイナミックな演奏が繰り広げられます。ドラムスは、リズムの山を積上げていく感じ。ベースは、あくまでボトムに徹し、ピアノはそこを縦横無尽に駆け巡ります。 ベースのボウイング奏法が幻想的な雰囲気を醸し出す「Geese」。ピアノが刺激を与える中で、ドラムスが遠くから現れ、曲は徐々に盛り上がっていきます。しかし、リスナーは置き去りにされたような・・。 Iyerのピアノ・テクニックが光る「Countdown」。ドラムスも手数を増やして迫ってきますが、乗りたくても乗れないリズム。考えるジャズでしょうか? 緩やかに上昇していくような感覚にとらわれるラスト「Wrens」。落ち着いた雰囲気で、前曲とは全く別のトリオのようです。 このアルバム、あくまでもECM作品として臨むのが賢明かもしれません。 しかし、ここに記録された音は、新たなピアノ・トリオの可能性を秘めているのでは・・?

    hiro さん

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  • Vijay Iyerは、1971年ニューヨーク生まれのインド系ア...

    投稿日:2014/03/31

    Vijay Iyerは、1971年ニューヨーク生まれのインド系アメリカ人。今年初頭にハーバード大学の音楽教授に就任したとのこと。 トリオ作品「Historicity (2009年)」が、 Grammy賞のBest Instrumental JazzAlbumにノミネートされました。その後も、ACTレーベルからコンスタントに作品を発表。先進的なミュージシャンとして知名度を上げてきました。 今回は、ECMから、Manfred Eicherのプロデュースにより、String quartetを従えての「Mutations (2014年)」をリリース。 ECMの作品には、冒頭に5秒ほどの沈黙(silence)が置かれているのですが、本作も、沈黙がどこまでも続くと思うほど密やかに始まります。 1曲目のピアノソロは、明確なテーマもなく、ほぼ即興的に展開していくのですが、7分以上という長さを感じさせないのは、 Iyerの演奏能力の高さを証明するものだと思います。2曲目は、ピアノとエレクトロニクスの多重録音か?いい感じになったところで終わってしまうのが残念。 3曲目からは、String quartetが加わった「Mutation」という組曲が10のパートに分かれて演奏されます。 「Mutation」とは、「変異、転換」というほどの意味でしょうか?それぞれに「Air」「Rise」「Canon」「Chain」などといったサブタイトルがつけられています。 「Air」はSteve Reich的なミニマリズムを感じる曲で、ストリングスが割と心地よく流れていきます。 「Rise」はタイトル通り、ストリングスが上昇していきますが、快感というよりアバンギャルドな印象を受けます。 続く「Canon」は、ピアノとストリングスが互いの距離を測りながら、時に交わり、時に離れつつ進んでいくような曲。ほど良い緊迫感もあります。 両者は最後まで交わらないまま、その距離は「Chain」にも引き継がれ、一定のリズムを反復するストリングスに、ピアノは着かず離れずの位置を守っています。これは、前衛的なタンゴのようにも聴こえる曲。 「Automata」は、正に現代音楽の世界。自由に舞うストリングスが抽象絵画を描くかのように響きます。そして、どこからか異音が。エレクトロニクス音でしょうか? 「Waves」は、繊細なストリングスを背景に、ピアノがキラキラと輝くように始まり、ホッとさせてくれますが、次第に暗い森の奥に迷い込んでしまったような不安な心持ちにさせられる曲。 続く「Kernel」で、リスナーは更に森の奥へと誘い込まれます。曲の後半でピアノが強いパッセージを送りだすとストリングスもそれに答えていきます。アバンギャルドな展開はどこまで続くのでしょうか? 「Descent」は、ストリングスがグイグイと前進していく曲。私くらいの歳のオジサンは、伊福部 昭の「ゴジラのテーマ」を想起してしまいます。 「Time」は、この組曲のエピローグで、静かなピアノソロに、弦楽器の胴を叩くような音が添えられます。 ラスト13曲目の「When We‘re Gone」もスローなピアノソロ。最終部でスケールを感じさせる展開に。 この「Mutations」は、Eicher、そして熟達したファンからすれば、 ECM本シリーズからリリースされて違和感ないのかもしれませんが、ジャズとは言えない作品ですし、ECM を聴きなれた方でも距離を置いてしまうかもしれません。 しかし、全体を通して、 EicherがIyerのクセを封じ込め、彼のアカデミックな部分をうまく掬い上げたという印象を強く抱きます。

    hiro さん

    1

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ありがとうございました

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