New Era

2006年モンク･コンペ優勝者ティグラン･ハマシアン待望のトリオ･フォーマット･アルバム。超絶の技巧が狂い咲き！です。80 年代でいえば、チック･コリアのアコースティック･バンドの勢いを感じさせるゆるぎなさと、技巧、インプロで堂々登場。もちろん、今時の新人、変拍子などもなんのその！！決めに決めまくってくれてます。

しかも、バックはあのムタン兄弟。ムタンといえば、ベースのフランシスは、ジャン･ミッシェル･ピルクのトリオでも聴かせたようにその絡み具合といったら、鬼気迫るものが有り、ドラムのルイも変貌するパターンをアグレッシブに創りだして来て圧巻の一言です。

また、注目すべきは、自身のルーツに忠実であることでしょう！New Era というタイトルには、国境を越えたコミュニケーションが発達する中で、自らのルーツへの思いがあやふやになる世の中に対するアンチテーゼとのこと。アルメニア出身であるハマシアン。そのトラッド･ソングを土台にジャズに昇華させたアレンジや、ジャズ･フレーズにトラディショナルな旋律を練りこんで融合させている点などは、正に、聴き所といえます。曲によってはキーボードも使われていますが(M-2,6,7)、基本は完全にアコースティック･ピアノ。オーバー･ダビング的に使われるその音の使い方にもセンスが光ります。

コンペで、ハービー･ハンコックを始めとした審査員に評価を受けたSolar も、今回のアルバムに収録。(コンペでは、Cherokee と融合させたと噂)。4 ビートや、モンク･ナンバーから、プログレッシブなピアノまでアーティストの渾身の力が詰まった大作です！

Tigran Hamasyan(p), Francois Moutin(b), Louis Moutin(ds),Vardan Grygorian( duduk-M4,8 shvi-M4 and zurna-M8)