タリラのパピロッスン（紙巻煙草）というタイトルのこのCDは、イディッシュ歌いの彼女のベスト盤ともいうべきもの。中欧・東欧ユダヤ人の民衆歌謡の名曲をピアノ伴奏で淡々と歌う若干モダンな趣きの名盤です。わたしが彼女を知ったのは、LPをCD化したArion（仏）盤でバックをアンサンブル・コル・アヴィヴ（「春の声」）が務めるこれまた名盤中の名盤でした。このパピロッスンは夜、グラスを傾けながらお聴き下さい、と言いたくなるものです。ユダヤ人街の狭い小路に面したうす暗いピアノ・バーで酒を飲みながら…そんな情景を想像しつつ。彼女は、