1作目(Sharing the emotion)を持っている人なら分かると思いますが、このアルバムで雰囲気がガラリと変わります。軸となるスタイルは同じでありながら、よりメロディアスでリアルなサウンド、感情表現は今までにはなかった新たな感動を味わえます。演奏自体も全体的に良い意味で落ち着いてます。このアルバムにはなんと言っても、名曲”Meaning of life”や”Anxiety tomorrow”が入っています。この2曲だけでも十分にこのアルバムを聴く価値はあるでしょう。T-cophonyと言えば度肝を抜くようなあの高速のアコースティックギター・タッピングが注目されがちですが、今作では”Special day”や”A place that see the earth”など、しんみりとした演奏も味わえ、個人的には派手なプレイも好きですが、それ以上に彼のノーマルな演奏に心打たれました。アルバムを通して聴いて本当にバランスが良いので、何度もループして聴けます。T-cophonyの音楽は、ただ演奏を見せる音楽では決してありません。全ての曲に、それぞれ情景があり、何か作業しながらBGMとして無意識に聴いていても、心の深い部分に入り込んできます。どんな曲調であっても彼の音楽はどこか切なく、人間が持っているネガティブな部分に響きます。それが私にとってはどんな音楽よりも心地よく感じます。このアルバムはそんなT-cophonyの世界観を知るのに十分な1枚だと思います。