マッド・シーン（狂乱の場）　ナタリー・デセイ

ナタリー・デセイ／マッド・シーン（狂乱の場）
コロラトゥーラの聴きどころをセレクト！

どこまでも美しい超高音を自在に転がし、世界の主要なオペラハウスで名声を博してきたソプラノ、ナタリー・デセイの代表的歌唱を手軽に楽しめるベスト・アルバム。

【ベルカントの真髄＝狂乱の場】
ベルカント・オペラは、そのクライマックスに「狂乱の場」と呼ばれるシーンを置くケースが多いのですが、これはヒロインが正気を失うほどの衝撃を受け、その心情をプリマドンナが切々と歌いあげるという様式が聴衆に非常に好まれていたため。技巧の粋を凝らしながら深い感情表現も求められるという難度の高い歌が多いのが特徴でもあります。

【デセイの超絶技巧】
天性の声に恵まれ、徹底的に磨き上げた技術を持つデセイは、もともとは女優志望だったこともあってか、ドラマの起伏の表現も実に巧みです。ベルカント・オペラのアリアは長大なものも多いため、劇的な歌唱の設計が難しいという面も持っており、単に声が転がるだけでは単調になってしまいがちなのですが、デセイの場合には声質・技術・設計共に完璧で、その練り上げられた歌唱の水準の高さには素晴らしいものがあります。

【変化に富む選曲】
アルバム・タイトルは「マッド・シーンズ（狂乱の場）」ですが、いわゆるベルカント・オペラそのものは『ランメルモールのルチア』と『清教徒』だけで、ほかは、トマの『ハムレット』と、バーンスタインの『キャンディード』、そしてマイヤベーアの『プロエルメルのパルドン祭』となっています。
　どの曲もコロラトゥーラの技巧が発揮されるスタイルで書かれていますが、悲しい曲だけでなく、変化に富んでいるので通して聴くと豪華なアリア・リサイタルの趣です。 　また、『ランメルモールのルチア』については、フランス語版とイタリア語版の２ヴァージョンを収録しており、語感の違いがもたらす印象の違いを確認できるのも興味深いところです。

【デセイ・プロフィール】
リヨン生まれ。1990年にウィーン国立歌劇場で開催された国際モーツァルト･コンクールに優勝して注目を浴び、パリ･オペラ･コミック座でオペラ・デビュー。
　その後、1991年リヨン歌劇場でモーツァルト『劇場支配人』『後宮からの逃走』、1992年にはパリ･バスティーユ･オペラ座で『ホフマン物語』のオランピア、1994年にはエクサン･プロヴァンス音楽祭で『魔笛』の夜の女王を歌って評判となり、世界的な知名度を獲得することとなります。
　同じく1994年にはメトロポリタン歌劇場に『アラベラ』で、1995年にはリッカルド･シャイーの指揮でミラノ･スカラ座にオランピア役でデビューし、世界の第1級のオペラハウスで名声を高めてゆきます。　（ＨＭＶ）

【収録情報】
・ドニゼッティ：『ランメルモールのルシー』〜苦しい涙を流せ（フランス語）
　ナタリー・デセイ（ルシー）
　ルドヴィク・テジエ（アシュトン）
　ニコラ・カヴァリエル（レイモン）
　リヨン国立歌劇場管弦楽団＆合唱団
　エヴェリーノ・ピド（指揮）

・ベッリーニ：『清教徒』〜あなたの優しい声が
　ナタリー・デセイ（エルヴィーラ）
　フランク・フェッラリ（リッカルド）
　マシュー・ローズ（ジョルジョ）
　コンチェルト・ケルン
　エヴェリーノ・ピド（指揮）

・トマ：『ハムレット（アムレ）』〜遊びの仲間に入れてください
　ナタリー・デセイ（オフェリー）
　トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
　ミシェル・プラッソン（指揮）

・バーンスタイン：『キャンディード』〜華やかに着飾っても
　ナタリー・デセイ（クネゴンド）
　ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
　アンドルー・デイヴィス（指揮）

・マイアベーア：『プロエルメルのパルドン祭』〜軽い影よ（影の歌）
　ナタリー・デセイ（ディノラ）
　モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団
　パトリック・フルニリエル（指揮）

・ドニゼッティ：『ランメルモールのルチア』〜苦しい涙を流せ（イタリア語）
　ナタリー・デセイ（ルチア）
　フランク・フェッラリ（エンリーコ）
　マシュー・ローズ（ライモンド）
　ヴォルフガング・クローゼ（ノルマンノ）
　コンチェルト・ケルン
　エヴェリーノ・ピド（指揮）