Tango

常に新しいコンセプトを提示してきた女性シンガーが今度は往年のトルコ・タンゴを甦らせた！

　前作『・ テック』（ライス AYR-3045）がミュージック・マガジン誌の〈ベスト・アルバム 2013〉のワールド・ミュージック部門で第４位に選ばれたトルコの美形女性歌手シェヴァル・サム（1973年生まれ）。その作品ではトルコの古典歌謡を伝統的なオーケストラによる豪華な伴奏で２枚のＣＤにわたって繰り広げる濃厚なアルバムでしたが、その前のアルバム『ハス・アラベスク』（同 AYR-5184）ではトルコ独自の大衆歌謡アラベスクの歴史を綴り、さらにその前の『カラデニズ』では黒海沿岸の民謡を、その前の『イスタンブール・シークレッツ』（同 KLR-741）ではクラブ・サウンドを披露するなど、毎回趣向を変えファンを驚かせてきましたが、今回のテーマはなんと、タンゴでした！
　ライスからリリースされている『世界のタンゴ　第４集』（OTR-5316）で明らかにされたように、タンゴはヨーロッパ諸国同様に、トルコでも20世紀初頭に親しまれ、30年代にもなるとトルコ語とオリジナルのメロディをつけた独自の歌謡タンゴが大きな人気を獲得しました。そんな人気も戦後の50年代まで続き、トルコ音楽史において大きな位置を占めたのです。
　本作はそんなトルコ独自の歌謡タンゴを現代に甦らせるという、シェヴァルらしい意欲作です。トルコ語によるタンゴの最初のヒット曲となった「郷愁（６曲め）」をはじめ、300曲近いタンゴを作曲した主要なタンゴ作曲家フェフミ・エゲの諸作品、“トルコ・タンゴの王様”と呼ばれたイブラヒム・オズギュルの名曲などを、トルコの古典楽器を含むタンゴ楽団が、曲によってはうすくエレクトリックなトリートメントを施して優雅で繊細な旋律を聴かせます。さらに多くの映画も使用されたカルロス・ガルデールの有名曲「ポル・ウナ・カベーサ」、そしてピアソラの「リベルタンゴ」までをトルコ語を付けてうたってしまっています！　そして当のシェヴァル相も変わらぬハリツヤのある声を楽しませます。
　これはトルコ音楽ファンや歌謡タンゴファンに独占させるにはもったいなさすぎです。　すべてのワールド・ミュージック・ファンにお聞きいただきたいコンセプトとサウンドをもった最高の１枚！
(メーカー資料より)