プライの貴重なライブ音源。1970年のザルツブルク音楽祭のリーダーアーベント第３夜として8月8日モーツァルテウムで録音されたものです。前半にハンス・プフィッツナー(1869-1949)の12曲、後半にリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の12曲という組み合わせ。同時代人とはいえ、あまりに取り上げられ方の違う二人の作曲家をプライがどう表現するのか、CDが届く前から興味は尽きませんでした。定評あるR・シュトラウスを歌うプライはまさしく水を得た魚。そしてプフィッツナーは…？彼がこんなに美しい曲を書いていたとは知りませんでした。今まで食わず嫌いだったことを後悔するばかりです。この夜の聴衆もきっと同じ気持ちだったのではないでしょうか。プフィッツナーの後の心のこもった拍手がそれを物語っていると思います。アンコールのプライはR・シュトラウスの2曲の後、自ら曲名をアナウンスして再びプフィッツナーを1曲歌い、そして最後はR・シュトラウスのZueignungをHabe Dank！と高らかに歌い上げて一夜を締めくくりました。今から40年も前のことです。聴衆との親密な心の行き交いがプライだったと思い返すこのごろです。