リスト：バッハの名による前奏曲とフーガ（初稿）、他　シェーンハイト（オルガン）

リストは1856年、ロイプケは翌1857年、そしてレーガーは1902年と、メルゼブルク大聖堂で初演された重要な3つの作品を集めたアルバム。リストの『バッハの名による前奏曲とフーガ』は、ヴァイマールでの演奏用に大幅に改訂された第2版（1870年）が有名ですが、ここに収録されたのは1855年に作曲された第1版。1855年のメルゼブルク大聖堂のオルガン奉献式用に構想されましたが、実際には式には間に合わず、翌56年に初演されています。
　その年（1856年）にリストの弟子となったのがユリウス・ロイプケ。1857年には早くも彼の最重要作品で、ドイツ・ロマン派様式の傑作と評されるソナタを2曲書いています。ピアノ・ソナタ変ロ短調と、このアルバムで聴けるオルガン・ソナタがそれ。詩編94の9つの詩に基づいて作曲され、初演ではロイプケ自身がラーデガスト・オルガンを弾いて行っています。
　レーガーのソナタ第2番は、リストやロイプケの約50年を経た1901年に作曲。ミュンヘンで書かれましたが、初演は勿論メルゼブルク。レーガーらしい完成度の高い作品です。「音楽はバッハに始まり、バッハに終わる」と語ったレーガーをフィーチュアすることによって、リストに連結するという円環の仕組みも意図された選曲と言えるでしょう。
　ミヒャエル・シェーンハイトは、MDGレーベルに、リストのオルガン作品集（現在第2集まで）をリリースしています。（ユニバーサルＩＭＳ）

・ロイプケ：オルガン・ソナタ ハ短調『詩編第94番』
・レーガー：ソナタ第2番ニ短調 op.60
・リスト：バッハの名（B-A-C-H）による前奏曲とフーガ（1855年初稿）
　ミヒャエル・シェーンハイト（メルゼブルク大聖堂ラーデガスト・オルガン）