この2年後にはデ・シーカ、ヴィスコンティ、そしてフェリーニの3人の監督による3部作の『ボッカチオ‘70』。フェリーニの第2話では「奥様は魔女」を想わせる素敵なハープから始まる、美しさと可愛らしさが共存する名曲の「A SPASSO PER ROMA」、ラテン・タッチの「BEVETE PIU’ LATTE」が素晴らしいです。
そしてヴィスコンティの第4話では、うっとりするような「SLOW DI PUPE」、ヴィヴラホンが可愛い大好きな曲「RADIOLINA」…など、この作品もロータお得意のキャッチーな曲が楽しめる好盤です。余談ですが、本作にはデ・シーカ監督の第1話のトロヴァヨーリ作品も収録されており、その7曲目はピチカート・ファイヴの「三月生まれ」の元ネタ。イタリア映画が好きな方々には堪らない素晴らしい名画のオン・パレードはまだまだ続きます。
その次は御存知『8 1/2』。フェリーニ・フリークにも人気高い名画ですが、同じくサントラも人気の1枚です。夢見心地な「E POI」や小気味よい洒落た「GUIDO E LUISA」、「LA PASSERELLA DI ADDIO」など秀逸です。60年代後半はヴィスコンティの『山猫』。この作品は、エレガントに仕上げていますが、「POLKA」や「QUADRIGLA」のようなコミカルで可愛らしい曲も聴けます。そしてフェリーニの『魂のジュリエッタ』。この作品では電子ピアノ/電子オルガンのロータ節全開の「A MORE PER TUTTI」や「IL BALLERINA DEL CIRCO SNAP」、トロヴァヨーリを想わせるスキャットにバカラック的キャッチーなバックトラックの「FACETTE SCINTILLANTI」が素敵。 そしてゼフィレッリの『じゃじゃ馬ならし』、ドヌーヴ、J.フォンダら数々の美女をモノにした監督ロジェ・ヴァディムとヌーヴェル・ヴァーグを代表するルイ・マル、そしてフェリーニの『世にも怪奇な物語』、『ロミオとジュリエット』のサントラを手掛けています。70年代に入って『サテリコン』『フェリーニの道化師』とフェリーニ人気の2作品を手掛けます。 そしてその2年後『ゴッド・ファーザーU』を手掛けます。こちらもメイン・タイトルの秀逸さ、ロータ風に味付けされたピアノやオルガンをフィーチャーした「THE PICKUP」や、「LOVE THEME FROM GODFATHER」など、内容の濃い作品です。70年代はフェリーニ作品を除いては、この『ゴッド・ファーザー』シリーズが代表されます。ちなみパート3はコッポラ監督の父であり、NBC交響楽団の第一フルート奏者でもあったカーマイン・コッポラが音楽を手掛けています。