ローリング・サンダー HDニューマスター

主に低予算アクション映画の領域で確かな手腕を発揮した職人監督ジョン・フリンが、ポール・シュレイダーとヘイウッド・グールドのオリジナル脚本に基づいて演出を手がけた、今やカルト映画の地位を確立した犯罪劇。

ヴェトナム戦争の捕虜生活から帰還したチャールズ・レイン少佐(ウィリアム・ディヴェイン)と戦友ジョニー・ヴォーデン(トミー・リー・ジョーンズ)は、久しぶりに故郷テキサスの小さな町に足を踏み入れる。だが帰宅したチャールズのことを幼い息子は覚えておらず、妻は町の警官と良い仲になっていた。しかし彼には崩壊の危機に瀕した家庭をどうすることもできない。その後町を挙げての帰還祝いで、チャールズは新車のキャディラックと捕虜生活の日数(7年間)を換算した2555ドル分の銀貨を、安酒場に勤める女リンダ(リンダ・ヘインズ)から贈呈される。リンダはチャールズに惹かれていた。ある日帰宅したチャールズを、国境地帯に巣食う四人の無法者が待ち構えている。彼らは贈呈された銀貨の在り処を吐かせようと、チャールズを拷問にかけて彼の右手をディスポーザーで粉々にし、偶然戻ってきた妻子を射殺し銀貨を奪って逃げてゆく。チャ-ルズはも撃たれて瀕死の重傷を負うが、その後搬送された病院で奇跡的に回復、右手の義手を装着して復讐に乗り出す…。

シュレイダーが自らの脚本『ザ・ヤクザ』(74)、『タクシー・ドライバー』(75)で描き続けてきた主題――暗い情念に囚われる孤独な男、彼が敵のアジトに乗り込んで怒りを爆発させる血みどろのクライマックス――がタイトな娯楽映画のフォーマットの中で見事に開花した逸品。クエンティン・タランティーノは、本作のタイトルにちなんだ名をもつカルト映画再公開・発掘部門の配給会社「ローリング・サンダー・ピクチャーズ」を設立・運営したことがある。

【映像特典】
予告編

【封入特典】
解説リーフレット(川口敦子+遠山純生、24頁)

【スタッフ】
製作 ノーマン・T・ハーマン
監督 ジョン・フリン
脚本 ポール・シュレイダー、ヘイウッド・グールド
原作 ポール・シュレイダー
撮影 ジョーダン・クローネンウェス
音楽 バリー・ディヴォーゾン

【キャスト】
チャールズ・レイン:ウィリアム・ディヴェイン
ジョニー・ヴォーデン:トミー・リー・ジョーンズ
リンダ・フォルシェ:リンダ・ヘインズ
ジャネット:ライザ・リチャーズ
クリフ:ローラソン・ドリスコル
マーク :ジョーダン・ガーラー

ポール・シュレイダーの脚本をジョン・フリン監督がタイトに演出したバイオレンス・アクション。心を閉ざしていたベトナム帰還兵チャールズ。銀貨を狙う者によって妻子を殺された彼が、戦友の力を借り復讐を果たす。(CDジャーナル　データベースより)