そして1968年 Begin を発表。この唯一のアルバムBegin は、実に素晴らしい作品で、21世紀の今に聴いても心を打たれてしまう決して色褪せることない名盤だ。このBegin は当時としては最先端だった8トラックものレコーディング機材を組み合わせ、巨額を注ぎ込んで制作され、そのレコーディングへのこだわり&費用は当時のロック史上初と言われていた。その甲斐も虚しく、時代がサウンドに追いつかなかったのか、商業的には飛躍がみられず、多額を投資したコロンビアにとっても痛い結果となり、マーケットから除外されたミレニウムは活動を終え、ソロで其々活動をするようになっていってしまった。カート・ベッチャーはその後、ゲイリー・アッシャーと共に発足したレーベルが倒産、1972年に発表したソロ・アルバム、70年代後半のカリフォルニア・ミュージック名義での作品も大きなヒットには至っていない。
コーラス/ヴォーカル・アレンジャーとして秀でた才能を発揮するカートと、 サンディ・サルスベリーやマイケル、リー・マロリーら、メンバー全員が其々に素晴らしいソングライターであり、その類稀な才能は、唯一のアルバムBegin を聴けば一目(聞)瞭然である。本当に1枚では惜しいグループであったことを何よりも言いたい。あの山下達郎氏もお気に入りである名曲‘5 A.M.’で聴ける愛らしさは、最近ソロ・アルバムが初CD化された サンディ・サルスベリーによるものだし、カートによる ‘I Just Want To Be Your Friend’も佳作、そしてマイケル&ジョーが共同制作したアルバム中最高峰と呼びたい‘There Is Nothing More To Say’も堪らなく美しい名曲だ。