雷鳥の森 大人の本棚

M.r.ステルン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622080510
ISBN 10 : 4622080516
フォーマット
発行年月
1970年01月
日本
追加情報
:
20cm,237p

内容詳細

戦争の記憶、森の静寂、野生の動物。簡潔で力強い文体の本書は、今日の世界から失われつつある人生の深さと豊かさを描く。現代イタリア文学の最長老作家の、伝説の名短篇集。自然と人生をテーマに情感豊かに綴る。

【著者紹介】
マーリオ・リゴーニ・ステルン : 1921年、イタリア北東部、アルプス山麓の町アジャーゴに生まれる。第二次大戦でロシアに出征し、そこからの酸鼻をきわめた退却行を記した第一作『雪の中の軍曹』は、ネオ・レアリズモの白眉と評された。兵役の期間をのぞいて故郷に留まり、大地に根ざした庶民の姿と野生の世界をテーマに、多くの秀作を送り出している。その文学は近年になって、混沌の時代を解く鍵としてさらに重要性が認識されつつある

志村啓子 : 1947年、神奈川県二の宮に生まれる。東京外国語大学イタリア語科卒業。高等学校での教職を経て、自宅に“寺子屋”を開く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • アン さん

    第二次大戦下のヨーロッパ。ドイツ軍の捕虜となるもオーストリアの収容所を脱出し、故郷のイタリアを目指し山並みを越えて歩く兵士の姿「向こうにカルニアが」。三人の兄弟と次第に慣れ親しむ2匹の猟犬の様子が綴られる「アルバとフランコ」。戦場へ赴く列車で貧しい者達の運命に想いを巡らす「ポーランドでの出会い」が印象的。簡潔で力強い文章で紡がれる戦争体験と帰郷、狩猟と家族との生活。忘れることのない戦争の哀しみを胸に再生へと。豊かなアルプス山麓の森に誘われるようで、著者の自然への畏敬の念や故郷への愛が心に響く短編集です。

  • たま さん

    イタリア北部オーストリアとの国境近くの森が舞台と聞き読んだ。著者のステルンさんは1921年生まれ、従軍し東部戦線で戦いドイツの捕虜となる。巻頭の「向こうにカルニアが」はグラーツの捕虜収容所から徒歩で故郷を目指す、その緊迫感と望郷の思いに打たれる。アメリカやオーストラリアへの移民の挿話に20世紀前半のイタリアの貧しさを、「昇任試験」で戦後のネオ・リアリズモ映画を、雷鳥猟のユーモラスな描写に季節も場所も違うが『マルセルの夏』のプロヴァンスのウズラ猟を思い出す。素朴さ、誠実さ、力強さが魅力の作品集である。

  • seacalf さん

    『野生の樹木園』が素晴らしかった北イタリアの作家リゴーニ・ステルン。「至福の想いを噛みしめて」、「これこそが生きる醍醐味だ」と語られる猟の様子を中心に描かれた短編集。雷鳥といってもすぐに思い浮かべるあの雷鳥だけではなく、森の王者と呼ばれるキバシオオライチョウを追う。その狩りの様子はタイトルから想像する以上に崇高なものに感じられた。戦争の影が思いの外色濃い話が多いが、語られる世界に没頭すると自分もポレンタで腹を満たした後、北イタリアの森でグラッパを飲みつつ、野生の動物達と対峙してみたいという気持ちになる。

  • 内島菫 さん

    作者自身が、「わたしは小説家(ロマンツイエーレ)ではない。事実のみを語る、語り部(ナツラトーレ)だ」と述べているように、文学臭さに満ちた「小説」が苦手な私も、拒絶感を抱かずに読める、本当のことが書かれた一冊。戦争もイタリアも雷鳥猟も見たことも体験したこともないが、目に見えるものだけが現実ではないという現実を描いている作品群であることが、私には感じ取られた。「貧しい者たちに殺し合うことを強いる」という作品中の表現ほど、戦争を的確に表した言葉はない。そしてその貧しい者たちは、「だれもがみな同郷の人」なのだ。

  • ぱせり さん

    森に分け入って雷鳥を撃つ。消えること無い戦争の記憶。作者の体験も、友人たちの体験も山の谷間に吸い込まれていくよう。人も動物たちも植物も、みな移り変わっていくのだろうに、何も変わらないように見える自然。何者にもたじろがず、抵抗もせず、泣きも怒りもせず、笑いもせず、ただそこにある。そのことはどこまでも強く信頼できるのでした。

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