カートが、21世紀の新しい音楽の革新者として名高いのは、まったく正当なことといっていい。僕らの世代のあらゆるミュージシャンは、マーク・ターナー、ベン・ストリート、ジェフ・バラードを従えたカルテットでカートが自作曲を演奏するのを、スモールズで毎週のように聴いて育ったものだ。口ずさめるメロディ、濃密なリズム、漲るヴァイブ。僕自身だけでなく、多くの仲間が、この頃の演奏には大きな影響を受けた。
一方でカートは、より伝統的なジャズの表現においても愛され尊敬されてきた。バラードばかりをとりあげたこのアルバムは、ジャズの伝道師としてのカートの一面をはっきりと映し出している。偉大なアメリカのソングブックから選んだスタンダードだけでなく、カートの音楽とそのメッセージを特徴づけるふたりの作曲家、セロニアス・モンクとウェイン・ショーターが、ここではきっちりとりあげられている。
本作でカートは、この直球勝負のミッションに殉じるべくふたりの名高い仕事師と手を組んだ。ベーシストのエリック・レヴィスは、ブランフォード・マルサリスのカルテットでレギュラーとして活動し、過去にベティ・カーターやラルフ・ピーターソンとも共演している。ぬくもりのあるサウンドと、自然なファンキーさが持ち味。一方のドラムのエリック・ハーランドは、マッコイ・タイナー、デイヴ・ホランドにジェイソン・モランなど、その多彩な共演歴で知られている。ハーランドはルーズにもタイトにも叩ける。その滑らかなスティックさばきは仲間の誰もが一目置くところだ。
繊細さと精妙さの表現を主眼としたこのようなアプローチが、この3人にとっていかに慣れ親しんだものであるか、彼らはこのレコーディングを通して存分に証明してみせてくれる。(イーサン・アイヴァーソンによる原文ライナーノーツより抜粋)
カート・ローゼンウインケル(g) エリック・リーヴス(b) エリック・ハーランド(ds)