O Filho Do Holocausto

トロピカリアの体現者として知られるヴァイオリニスト 兼SSWニュー・リリースはTVドラマ・サウンドトラック新作。
カシンのプロデュースで、旧知の仲である カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルも参加。

ブラジル音楽シーンのカルトな巨人ジョルジ・マウチネル。ヴァイオリニスト兼シンガー・ソングライターとして知られ、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルとの交流は70年代初頭のトロピカリア全盛期にまで遡る。寡作ながら印象的なソロ名義作も熱心なMPBファンに信望者も多く、近年では2004年にカエターノ・ヴェローゾとの共同名義でアルバムをリリースしたことでも記憶に新しい。そんなマウチネルの2012年ニュー・アルバムは、放送局「CANAL BRASIL」で放映された同名TVドラマのサウンド・トラックとして用意された自作楽曲をまとめた注目作。

自作名曲のリメイクを中心とした全14トラックのコンテンツは、プロデューサーのカシン、ベルナ・セッパスという強力タッグが未来型トロピカリズモを指針とした驚きのミクスチャー・ブラジレイロを表現したレパートリー。代表曲として知られる「Maracatu Atômico」をはじめ、ほとんどの楽曲が2012年5月に惜しくも無くなったネルソン・ジャコビーナとの共作曲であることも特筆。ネルソンの名とプロデューサーである前述の二人を経て、あのオルケストラ・インペリアルのサウンドへと繋がる点でも興味深い。プレイヤー／サウンド・クリエイターとしての才覚を大いに発揮したジョルジ・マウチネルの存在感も然ることながら、ゲストとして参加している朋友カエターノ・ヴェローゾ（#6)、ジルベルト・ジル（#7)とのコラボレートは、やはり最大のハイライトだ。 （メーカー資料より）