ホリー・コールは1963年、クラシック音楽を愛好する両親からカナダのノヴァ・スコシア州、ハリファックスに生まれている。家族は全員がピアノを演奏する音楽一家で、兄は高校を卒業するとバークリー音楽院にジャズの勉強の為入学している。 16歳のとき兄を頼ってボストンに赴き、初めて生のジャズと出会った。その後、数年後にトロントに移ったホリーは、1989年の11月、記念すべき初めての作品、EP『Christmas Blues 』を発表している。
95年には『Temptation』、97年末には『Dark Dear Heart 』を発表するが、前者ではトム・ウェイツの作品を採り上げ、後者ではジョニ・ミッチェルの"River" 、ビートルズの"I’ve Just Seen a Face"を歌った。特に後の曲はラジオのオンエアーで人気を博した。そして、2000年リリースされた『Romantically Helpless』でそうしたいままでの様々な楽曲をこなしてきた実績を基に、スティーブ・フェレーラのプロデュースによって彼女の隠れた面までが姿をあらわした、ホリーにとっては今後の飛躍を予感させるアルバムだった。
このアルバムには、シナトラでお馴染みの"Come Fly With Me,"や古いヒット曲の"That Old Black Magic"に加えてポール・サイモンの"One Trick Pony"を収録。さらに長年のコラボレイターのデヴィッド・ピッチ作のアルバム・タイトル曲"Romantically Helpless,"さらにアーロン・デイヴィスの"Make It Go Away"を収録した、ある意味でのホリーの音楽歴をひとまず集大成した作品となっている。