After The Dance

＜TK's Mellow Treasures＞第4弾 Wolf編
まだまだあった！TK傘下の超マイナー・レーベル（ディスコグラフィは3枚？）、Wolfから発表されたジョエル・ドーン・プロデュースによるラルフ・マクドナルド周辺作品！ ニューヨーク系ミュージシャンのオイシイ所が参加したフュージョン・ファン見逃し厳禁の掘り出し物2タイトル同時世界初＆紙ジャケCD化!!

ブルーノート、ストラタ・イーストにも作品を残しているベテラン・サックス/フルート奏者、ハロルド・ヴィックがリチャード・ティー、スティーヴ・ガッドらスタッフの面々を迎えて制作した’76年作品。グローヴァー・ワシントンJr.路線のアーバン・メロウ好作品ながら、フュージョン・ファンにはこれまで馴染みが薄く見過ごされてきた盤。同時期に発売されたマーヴィン・ゲイ『I Want You』収録ナンバー「After The Dance」やピーター・アレンのヒット曲「I Go To Rio」のカヴァーなどを収録！

収録曲はヴィックの作／共作曲、ラルフ周辺からの提供曲、そしてカヴァーという3パターン。やはり目立つのは、タイトル曲として本作冒頭を飾るマーヴィン・ゲイ＜After The Dance＞で、イートンの編曲による豪勢なストリングスに乗って、ソプラノのマイルドなブロウが滑り出す。考えてみれば、グローヴァーのファーストもマーヴィン＜Inner City Blues＞をタイトルに冠し、それを1曲目を配置。ティーやゲイルも一緒にプレイしていた。そのあからさまな引用はチョッと苦笑モノながら、名曲中の名曲と好アレンジが結びつけば悪かろうはずがない。

更なるカヴァーは、スタイリスティックスによるフィラデルフィア・ソウルの定番＜You Are Everything＞。そして面白いのは、続いての＜I Got To Rio＞だ。これはドーンがアンティジア人脈を動員してプロデュースしたピーター・アレンのオリジナル。ドーン制作は74年の『CONTINENTAL AMERICAN』だが、こちらはブルックス・アーサーが手掛けた翌75年作『TAUGHT BY EXPERTS』の収録曲だ。…ということは、ドーンがアレンに敬意を表してのカヴァーだったか、あるいは一種の当てつけだったのか？　この曲だけベースにウィル・リー、パーカッションにドン・ウン・ロマンを入れ、イントロから疾走するかのようにノリノリの演奏を聴かせたのも、ドーンの意地だったのかも知れない。なおこの曲はパブロ・クルーズがカヴァーし、79年に全米48位とスマッシュ・ヒットしている。

それでも本作を少しクールに見ると、やはりヴィックのサックスには少々一本調子のところがあり、スキルフルでもなければ、グローヴァーほどメロウなプレイを聴かせるわけでもない。でもそれを仲間たちがしっかりサポートし、なかなかの好盤に仕上げている。個人的には、ヴィックがスタッフ・ライクなグルーヴに煽られてグイグイとブロウする＜Ghetto Fantasy＞や＜I Got To Rio＞、＜Things Ain’t Right＞あたりが白眉。その泥臭くてブッ太くいブロウは、ソフィスティケイトされたグローヴァーの音色とは明確に異なる。そこがヴィックのユニークさだ。〜解説より

＊アナログ盤からのマスターとなります。

Harold Vick（ts,ss）
Richard Tee（p）
Arthur Jenkins（cl）
Stephen Gadd（ds）
Anthony Jackson（b）William Lee（b on M-4）
Eric Gale（g）
Ralph MacDonald（per）
Dom Um Romao（per on M-4）
Recorded, mixed and mastered at Regent Sound Stusios, New York, N.Y. 1976

◆監修・解説:金澤寿和
◆USオリジナル盤を可能な限り忠実に再現した紙ジャケット仕様
◆オリジナルレーベルコピー（盤面）＝レーベルカード封入
◆日本オリジナル企画
◆世界初CD化
◆初回限定生産