Grand Hotel Cosmopolis

こんなクレズマーを待っていた！
ポリティカルでパンキッシュでオルタナティヴなクレズマー作品！！

かつてユダヤ人社会における結婚式や祝い事などで演奏されていた音楽として知られるクレズマー（クレツマーとも）。ユダヤ文化を代表するこの伝統的な音楽は第二次大戦後ユダヤ人のアイデンティティを取り戻す動きの中でリヴァイヴァルし、アップデイトされ、現在では様々なミクスチャー・ミュージックにその要素が取り入れられるようになりました。またクレズマーのサウンドを看板にした日本人音楽家も数多く、我が国でも人気の高い音楽スタイルです。そんなクレズマーの異色作がカナダ人ＳＳＷジェフ・バーナーの名義で登場することになりました。

ジェフ・バーナーは1971年カナダ・バンクーバーの生まれ。幼少の頃よりピアノやアコーディオンを演奏していた彼でしたが、青年期にはパンク・バンドで活躍するようになりました。さらにそのバンド在籍時に彼が書いた曲がバンクーバーの人気バンド“The Be Good Tanyas”によって取り上げられ大ヒットし、それに伴ってジェフの名前も広く知られるように。その後2000年代には東欧の国ルーマニアに赴き、本場のクレズマーを現地のマスターたちから直接学んだ彼は、独自のクレズマー作品を次々とリリースし、ユダヤ文化をカナダの地で広める活動を行うようになりました。またその一方でこれまでに何度か選挙で立候補するなど、社会活動にも非常に積極的。かつてパンク・バンドを組んでいた彼だけに、ポリティカルな部分にも大変興味を持っているという訳です。

そんなジェフが作り出した最高にポリティカルでパンキッシュでオルタナティヴなクレズマー作品が本作『グランド・ホテル・コスモポリス』です。ドイツのアウクスブルクに実在するホテルからインスピレーションを受けて制作したという本作では、クレズマーならではの薄暗いメロディ・ラインにパンク・ロックのエネルギー、そして社会へのフラストレーションを示すリリックを盛り込み、従来のクレズマーから大きく進歩した音楽性を披露。ジェフ自身が弾くアコーディオンやクラリネット、ヴァイオリンなど、クレズマーではお馴染みの楽器にロック・バンドのスタイルを取り入れたパワフルな伴奏をバックに、パンク・ロック仕込みのジェフの味わい深いヴォーカルが大変印象的。こんなに熱量の高いクレズマーもなかなかお目に掛かれません。

東欧音楽ファンだけでなく、パンキッシュなレベル・ミュージックなどをお好きな方にもお薦めしたい１枚です。

●日本語解説／帯付き


（メーカーインフォメーションより）