Tears

90〜00年代に、かのディアンジェロが確立したオーセンティックな部分を持ちつつ完璧な自己主張を放つ個性的なソウル・ミュージック。ネオ・ソウルやニュー・クラシック・ソウルなどと様々な呼び名も生み出され、触発された多くの才能あるアーティストが誕生したが、今回デビュー作がここ日本でも流通される一風変わった名前のG'BEAUも間違いなくその系統の一人に挙げられるであろう作風。そしてそんな系譜の中でG'BEAUの特色として真っ先に挙げたいのは美しいメロディ、美しい音楽への探究心といった部分。これは大きなアドバンテージだろう。

まずアルバム・タイトル曲「The Tears」の究極のスロウ。この切なすぎるメロディ、世界観はなかなか作れるものではない。多重録音のヴォーカルはたしかにディアンジェロの影響が大きいが、このメロディ・センスは明らかにG'BEAUの完璧な個性だろう。ビートルズやビリー・ジョエルのカヴァーもひたすら美しさといった観点で料理。主にその路線、多重ヴォーカルを駆使しつつジャズの風味を多々醸し出しながら進行させていく中「DoUDo」の素朴なライト・ゴスペル、ラストの「Real Soon」のややヘヴィーなブルージー・テイストなあたりはやや勇み足な感もも否めないが・・・。決して強靭なヴォーカリストというキャラクターではないが、間違いなく今後が期待できる才能であることは確かなG'BEAUのデビュー・アルバム！
（メーカーインフォメーションより）