Baraka

ライとジプシー・ミュージックが出会った！
ジプシー・キングス直系のギターとリズムで超爽快

これはユニーク！　ワールド・ミュージック・シーンではこれまでにもあっと驚くようなコラボレイションが行なわれてきましたが、本作もまた人々の記憶に強く残りそうな作品です。なんと南フランスのジプシー音楽と、アルジェリア生まれのライが出会いました！
　シェブ・アイサは、日本でもライ・ファンの間では知られた存在である中堅男性シンガー。1972年にアルジェリアで生まれた彼の母やその母（祖母）は女性だけの観客を前にしてうたう地元の（儀式的な）歌手でした。そんな母たちを見て育った彼は、12歳にして母たちと同じ観衆の前にたってうたい始め、音楽の道に進むことを決意します。1986年にライのグループに参加し、アルジェリア国内をトゥアー。その翌々年にはライの本場オランに進出し、1989年にデビュー・カセットを発表しました。そして同年にリリースしたセカンド・カセット・アルバムがヒット。1996年からはフランスに移住し、“ライの貴公子”シェブ・マミの助力もあり、ライのスター歌手のひとりとして活躍しています。
　対するチコ＆ザ・ジプシーズは、2010年にも来日した人気バンド。リーダーのチコはジプシー・キングスの創立メンバーで、同バンドの黄金時代を支えた人物でした。90年にジプシー・キングスを脱退した後は、92年にチコ＆ザ・ジプシーズを結成。以来、精力的にアルバムを発表し、いくつかのアルバムは国内盤（ＥＭＩ）も配給され、根強いファンを獲得しています。
　そんな実力派アーティスト２組がじっくり向き合ったコラボレイション作品がこちら。いずれもワイルドなコブシを聴かせる男臭いヴォーカルですが、ジプシー・キングス直系のギター・ワークとリズムで爽快に聞かせます。ラシッド・タハのカヴァーで有名になったマグレブ移民賛歌「ヤー・ラッヤー」のカヴァーも収録し、ワールド系ポップ・アルバムとしてとにかく気持ちの良い１枚に仕上っています。今年の夏はこれで乗り切りましょう！